放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米CBSの名物コメンテーター,死去

CBSの人気報道番組『60ミニッツ』で,30年余りコメンタリー(評論)を担当したアンディ・ルーニー氏が11月4日,手術後の合併症が原因で死去した。92歳だった。ルーニー氏は1949年にCBSに入った後,1968年の番組開始時から60ミニッツに関わった。これまでのコメンタリー担当は1,100回近くに上り,9月に番組を降板したばかりだった。政治経済から身近な話題までを,気取らず,時には怒りを込めて論評したが,好々爺然とした風貌と飾らない人柄で多くの支持を集めた。

米,全土で初の緊急警報試験放送実施

アメリカでは11月9日,テレビやラジオで自然災害などに関する緊急警報を国民に伝達するための試験放送が全国一斉に行われた。FEMA(連邦緊急事態管理庁)とFCC(連邦通信委員会)が共同で実施したもので,地方レベルでは同様の試験が行われていたが,全国レベルでは初めて。今回の試験では,ワシントンのFEMAから信号が全国の放送局に送られ,放送番組が30秒間中断し,警報音に続いて試験放送の実施を伝えるメッセージが放送されることになっていたが,各地で緊急警報が出ないなどのトラブルが相次いで報告された。FEMAでは,今回の試験はシステムを改良するためのデータ収集も主な目的の1 つであったとしている。

米国際放送,2011年は記録的な視聴者数に

アメリカの国際放送を管轄する政府のBBG(放送管理委員会)は11月15日,傘下の5つの国際放送機関による週間視聴者数が2011年は推計で1億8,700万人に達したと発表した。これは前年比で2,200万人の増加で,過去最高の視聴者数となった。視聴者が増加したのはアフガニスタンやエジプトなどで,アフガニスタンでは,成人の75%がVOAとラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーの2局を視聴しているといい,エジプトではいわゆるアラブの春と呼ばれる民主化運動の高まりの中,アルフッラの視聴率が15%へと倍増した。一方でイランやパキスタンでは,電波妨害やラジオの影響力低下などで視聴者が減少した。

米CBSが朝の番組キャスター刷新へ

朝のニュース情報番組でライバルのNBC,ABCに遅れをとっているCBSは,キャスター陣を刷新すると11月15日に発表した。2012年1月から,朝の新番組『ディス・モーニング』に,公共放送PBSで人気のインタビュー番組を担当しているチャーリー・ローズ氏と,ケーブルチャンネルOWNでトークショーの司会を務めるゲイル・キング氏の男女コンビが加わる。CBSは夜のプライムタイムでは高視聴率を上げているが,朝の時間帯は万年3位に甘んじており,今回の刷新では料理コーナーなどをなくし,ニュース重視の番組に方針転換して視聴者獲得を目指すとしている。

ブラジル,情報公開法成立

ブラジルのルセフ大統領は11月18日,すでに国会の上下両院で可決されていた情報公開法を正式に承認し,同法は6か月後に施行されることになった。情報公開法は,政府や国営企業などに文書などの開示を義務づける法律で,連邦政府だけでなく州や市政府,さらには半官半民の企業なども対象とされる。法律では,情報を「極秘」から「取扱制限なし」までの4段階に分類し,このうち「極秘」情報については最大で50年間非開示とされることになった。

AT&TとT-Mobile,合併申請を取り下げ

米国内で携帯電話契約数2位のAT&Tと同4位のT-Mobile USAが,FCC(連邦通信委員会)に提出していた合併申請を取り下げたことが11月24日,明らかになった。司法省が独占禁止法に抵触する可能性を指摘したことに加え,FCCのジェナカウスキー委員長が両者の合併はFCCの承認基準を満たさないと発言したことを受けたもの。AT&Tは2011年3月に親会社ドイッチェ・テレコムからT-Mobileを390億ドル(約3兆1,200億円)で買収することで合意し,成立すればトップのベライゾンを抜いて契約数1億2,000万の米国最大の携帯電話会社になるとみられていた。