放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

高齢者のネット利用,5年で600万人増加

ニールセン社の12月10日の発表によると,米国内で65歳以上のシニア層のインターネット利用者は,2004年11月に1,130万人だったが,2009年11月には55%増えて1,750万人となっていることがわかった。利用時間も04年の月平均52時間から,09年は58時間に増加した。利用の内訳を見ると,eメール,写真の送受信,SNS,ニュースや天気の閲覧など他の年齢層と同じくバラエティーに富んでおり,特にこの世代の特徴として趣味,旅行,健康,投資情報を求める人の割合が高いと,ニールセンの担当者は分析している。

ABC,朝の顔にステファノポロス氏

米ABCテレビは,朝の2時間の看板番組『グッド・モーニング・アメリカ(GMA)』のアンカー,ダイアン・ソイヤー氏が夕方のニュース番組に移籍するのに伴い,その後任に日曜朝の討論番組『ディス・ウィーク』を務めてきたジョージ・ステファノポロス氏(48)が決まったと12月10日,発表した。同氏は,クリントン政権で大統領補佐官を務めたあとABCに入り,政治解説委員として大統領選挙報道や討論番組を担当してきた。モーニングショーは,ネットワークの収入源の中心であるため,同氏にはNBCに遅れをとっている朝の視聴率を押し上げることが期待されている。

米・消費低迷のなか,テレビ回帰の兆候

米会計事務所大手のデロイト社は12月15日,メディア比較調査の報告書「2009 State of the Media Democracy」を発表,アメリカで消費不況が長引くなか,テレビの視聴者数が増加していることが明らかになった。全米の14~75歳の2,046人を対象にした同調査では,回答者の3分の1以上が生放送,オンデマンド,DVRなどでテレビを見ることが最も好ましいメディア活動だと回答し,4分の3近くが,不況により映画やコンサート,スポーツイベントなどのチケットや,DVD,ビデオゲームの購入を減らさざるを得ないと考えていること等がわかった。

米出版社,共同で新デジタル出版社設立へ

米出版大手のタイム社,ニューズ社など5つの出版社が新たにデジタル出版を専門に手がける事業を共同で立ち上げることになった。同事業に参加するのは上記 2社のほか,コンデナスト社,ハースト社,メレディズ社で,新聞・雑誌・書籍の電子化と広告,ネット販売の規格を統一し,電子書籍端末などで閲読できるようにする。また多様な機器・ディスプレイで利用できる単一のプラットフォームの開発なども目指すとしている。

米ラジオ局所有大手シタデル社が破産

アメリカ第三位のラジオ局所有・運営会社,シタデル・ブロードキャスティング社が12月20日,ニューヨークの連邦破産裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。申請によると景気低迷による広告収入の激減で業績が急速に悪化し,総資産額14億ドルに対して負債総額が25億ドルに達していた。1984年に創業した同社は,2006年にウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のABC放送からラジオ事業を買収し,事業規模を一気に拡大,全米に222のラジオ局を持つ会社へと急成長していた。

PBS,ニールセンの視聴率に参加

アメリカの公共テレビPBSは12月21日,これまで測定対象として参加していなかったニールセンの視聴率調査に加わると発表した。商業放送局では広告スポットを販売する際,ニールセンの視聴率調査結果が重要な指標になっているが,PBSではこれまでニールセンの毎日の視聴率統計には参加しておらず,月例報告のみを受けていた。今後,『Frontline』や『Sesame Street』など多くの番組で詳細な視聴率調査結果をとっていくことにしている。これについてPBSの担当者は「どんな視聴者が番組を見ているかを把握するとともに,PBSへ協賛金を出してくれている企業や団体への説明責任にもつながる」と話している。