放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾,公共テレビ理事長更迭巡り混迷

台湾の公共テレビは12月28日,執行部を指揮・監督する理事会の会合を開き,13対1の多数決で現理事長の鄭同僚氏を更迭し新理事長を選出することを決めた。ところが30日に開かれた監事会では,28日に出席した新しい理事8人の資格に問題があるとして,理事会の決議を無効とする決議を採択した。公共テレビの理事人事をめぐっては,国民党が2008年の総統選挙で勝利した後,理事の人数を13人から21人に増やし,審査委員会が新規に8人を選出していたが,野党民進党からは「国民党系の理事を多数送り込んで公共テレビの中立性を侵すもの」として強い反発が出ていた。

香港,2社が新規の地上テレビ局申請へ

香港の通信事業者City Telecomは12月31日,香港の放送業務管理局に対し地上テレビ局の免許申請を行ったことを明らかにした。また,有料テレビ事業者のCable TV(通称i-Cable)も近く免許申請をする見通しだが,当局は新規参入におおむね肯定的な立場を示している。香港の地上テレビ市場はこれまでTVB とATVの2社寡占体制にあり,特にTVBがテレビドラマを中心に圧倒的な強さを見せてきたが,有名なタレントを他局に出演させないよう「囲い込む」などのやり方が他局から強い批判を浴びていた。

韓国,IPTV同時放送加入者数は150万人

韓国ではIPTVの実用サービス開始1周年を前に,放送通信委員会が12月10日,IPTV同時放送加入者数が149万人余り(12月8日時点)となったことを明らかにした。これを事業者別に見ると,KT84万人,SKブロードバンド34万人,LGデイコム31万人となっている。加入者急増の背景には,2009年下半期に入り,各事業者が携帯電話,インターネット,IPTVを組み合わせたサービスを開始したことなどがある。6月の時点で46万人余りであった加入者数は半年で100万人以上増えたことになる。

中東,アラブサットがAl-Alamの伝送再開

サウジアラビアの衛星アラブサットは,11月4日以降,事前通告なしにイランのアラビア語衛星チャンネルAl-Alamの伝送を停止していたが,Al- Alamによると,12月11日,伝送を再開した。しかし,同じ日にAl-Alamの伝送を停止したもう1つの衛星ナイルサットは伝送を再開しなかった。両アラブ系衛星の伝送停止で中東地域をカバーできなくなったAl-Alamは,急遽アトランティック・バード4A衛星による同地域向けの伝送を再開していた。

インド,NDTV Imagineが米メディア傘下へ

インドの大手メディア企業ニューデリー・テレビジョン(NDTV)は,12月8日, 子会社NDTV Networksを通じ間接投資しているヒンディー語娯楽チンネルNDTV Imagineの株式の76%を6,700万ドルで米大手メディア企業タイム・ワーナーの子会社ターナー・アジア・パシフィック・ベンチャーズ(TAPV)に売却すると発表した。加えて,タイム・ワーナーは新規増資の株式を5,000万ドルで引き受けることになっており,合わせるとNDTV Imagine株の92%がタイム・ワーナー傘下に入ることになる。NDTV Imagineは2008年1月に開局したが,ヒンディー語娯楽チャンネル乱立による激しい競争で赤字に苦しんでいた。NDTVはNDTV Imagine売却により本来のニュースチャンネル中心のメディア企業に回帰する。一方のタイム・ワーナーは既に子供向けチャン

ネルなどを通じインド市場に参入しているが,NDTV Imagineの獲得で更に新たな展開を目指すと見られている。

インド,政府がインド放送協会会長の辞表受理

インド政府は,12月18日,ドゥールダルシャン(テレビ局)とAll India Radio(AIR)を傘下に置く公共放送機関プラサール・バーラティー(インド放送協会)のアルン・バットナガル会長が提出していた辞表を受理した。「1990年インド放送協会法」に基づき,後任の会長が任命されるまでの間はCEOが経営委員会を主宰することになる。バットナガル前会長は経営委員会内部でのB.S.ラッリCEOとの対立を理由に,09年5月,政府に辞表を提出していたが,総選挙への影響を懸念した政府が決定を先送りしていた。前会長の任期は11年3月までだった。