放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

国際家電見本市,不況で来場者数減

1月8日から12日までラスベガスで開催された国際家電見本市(CES)は,メディア関連業界では最大の見本市のひとつだが,今年は多くの企業が出展の規模を縮小したり,見合わせたりした。CESの主催者,米家電協会(CEA)によると,今年の推定来場者数は前年比20%減の約11万人で,出展企業数も前年比10%減の約2,700社にとどまった。出展内容も,革新的な機器やサービスの登場はなく,全体として新味に欠ける内容であった。

FCC新委員長にジェナコウスキー氏起用へ

FCC(米連邦通信委員会)の新しい委員長に,オバマ新大統領のハーバード大学時代の友人で,技術問題に詳しいジュリアス・ジェナコウスキー氏(46)の起用が固まったと1月13日,各紙が伝えた。ジェナコウスキー氏は大統領選挙でオバマ陣営のインターネット戦略を主導し,オバマ氏の通信政策やテクノロジー政策の立案にも貢献した。過去にクリントン政権でFCC委員長の首席カウンセラーを務め,メディア企業の運営に携わった経験もある。正式な就任には議会の承認が必要なため,FCCでは前委員長のマーチン氏が1月20日に退任したあとはコップス氏が委員長代理を務めている。

ハワイ,本土に先駆けデジタルへ移行

ハワイ州では,米本土に先駆け1月15日に地上デジタル放送へ移行した。これは,2月に実施した場合,アナログ施設の取り壊し工事が海鳥の巣作りと繁殖に影響を与えることが懸念されたため,前倒しで行われたもの。15日正午にアナログ放送が一斉に終了し,FCCや地元放送局がコールセンターを設置して視聴者からの問い合わせに答えたが大きな混乱はなかった。ハワイでは2万世帯余りが地上放送をアンテナで直接受信していると見られており,デジタル対応していないテレビでは,しばらくの間,コンバーターボックスを接続するなどの対応を促す告知が流される。

オバマ新大統領就任式,3,780万人が視聴

1月20日に行われたバラク・オバマ新大統領の就任式の模様を全米で3,780万人がテレビで見たと,ニールセン社が1月21日に発表した。米国内の主要都市で3 世帯に1世帯が午前10 時から午後5時までの間に生中継や録画を試聴したことになる。これは1981年のレーガン大統領就任式の4,180万人に次いで多い。しかし,オバマ氏の数字は自宅で視聴した人のみで,職場や公共の場などで見た人は含まれていない。また,多くのメディアがインターネットでストリーミング配信をしたことから,オバマ新大統領誕生の瞬間を視聴した人は過去最多になると見られている。

完全デジタル化対応,エリアによって大きな差

アメリカ国内の完全デジタル化への対応状況に,エリアによって大きな差があることがニールセン社の調査によって明らかになった。ニールセン社が1月22日に発表した調査結果によると,同社の56 の調査地区の中で未対応世帯の割合が最も高いのはニューメキシコ州のアルバカーキ・サンタフェ地区の12.4%,逆に最も低いのはコネチカット州のハートフォード地区で1.76%だった。このほか,テキサス州のヒューストンやダラスなどでも10%前後と対応の遅れが目立っている。

米メディア企業,相次ぐ人員削減

経済状況の悪化に伴う広告収入の減少などの影響で,アメリカのメディア複合企業が相次いで人員削減に乗り出している。ウォルト・ディズニー社傘下のABC テレビジョン・グループは要員の5%に相当する約400人を削減すると1月30日に発表した。削減される部門は地上波のABCネットワーク,ケーブルテレビのディズニー・チャンネルなど放送全部門にわたる。また,映画製作大手のワーナー・ブラザーズは1月20日,全従業員の10%にあたる800人を整理する方針を明らかにした。同社は『セックス・アンド・ザ・シティ』や「バッドマン」シリーズなどで好成績を上げてきたが,ここにきて業績が落ち込んでいた。