放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC iPlayer,年間2億7,100万件利用

イギリスの公共放送BBCは2月4日,キャッチアップ・サービスのiPlayerでサービスを開始してから1年間(2007年12月25日~2008年 12月25日)で,合計2億7,100万件のダウンロードあるいはストリーミングが行われたと発表した。また,クリスマスから新年にかけた家族向けの特別編成番組には,800万件のアクセスを記録した。

英政府,デジタル化行動計画を発表

イギリス政府は1月29日に「デジタル・ブリティン中間報告」を発表し,地上デジタル放送完全移行が達成される2012年に,すべての世帯がブロードバンドを利用し,2Mbps以上のアクセスを保障するための行動計画を明らかにした。この行動計画は22項目からなり,送受信におけるインターネット環境の整備だけでなく,デジタルラジオの推進やデジタル・コンテンツの著作権問題に取り組むほか,BBCに競合する第2の公共サービス放送事業者の創設など幅広くカバーしている。

仏地上デジタル,2010年にデジタル移行本格化

仏CSAは1月26日,アナログ放送終了に向けたパイロット計画の3番目として,シェルブールを中心とするノール・コタンタン地域で11月18日にデジタルに移行すると発表した。この地域はノルマンディー半島の最西部で人口は20万。2008年12月に公布されたデジタル移行全国計画にもとづく決定である。その後は全国計画により,2010年初めから2011年11月まで地域ごとにデジタルへの移行が本格的に進められる。23か月間で24地域となるため,時期により2~4地域で同時進行となる。これらは行政区域ではなく,F3のローカル放送の地域割りに従って実施される。

独公共放送,新聞社のウェブサイトに動画提供

ドイツ公共放送連盟(ARD)に加盟する中部ドイツ放送協会(MDR)は,2月1日から,大手新聞社WAZメディアグループ傘下で,ドイツ中部のテューリンゲン州の地方新聞社Zeitungsgruppe Thuringen(ZGZ)のニュースサイトに動画を提供する。動画は,地域向け情報番組「テューリンゲン・ ジャーナル」,「東ドイツのスポーツ」,「MDRニュース」から1日につき3,4本が選ばれ,MDRの子会社を通じて提供される。公共放送が新聞社のサイトに動画提供する試みは,2008年に西部ドイツ放送協会(WDR),バイエルン放送協会(BR),ZDFも開始している。

独仏共同チャンネルArte,HD本放送を開始

ドイツとフランスの公共放送が共同運営する文化・教養チャンネルArteは,衛星HDTV放送を,半年の試験期間を経て,1月1日から本放送として開始した。これはArteのドイツ語版で,使用衛星はAstra 1F,ノンスクランブルで,ヨーロッパ全域で受信可能である。なお,標準画質での衛星放送も継続している。

伊,地上デジタルSTB普及台数,衛星世帯数を超える

DGTVi(イタリア地上デジタル推進協会)のまとめによると,家庭に少なくとも1台の地上デジタルSTBを保有する世帯は2008年末で約760万世帯(全テレビ世帯の34%)となり,衛星放送受信世帯数の約660万世帯(同28%)を超えたことが分かった。2009年後半にトリノ,ローマ,ナポリなどの大都市圏がデジタル移行を予定しており,2009年中には,国内テレビ世帯の約3割強にあたる約740万世帯が新たに移行を終了すると見られる。今年中にアナログ放送の終了を予定している州は,ヴァッレ・ダオスタ州,ピエモンテ州(9月),トレンティーノ・アルト・アディジェ州,ラツィオ州(11月),カンパーニャ州(12月)。

伊,地上局合弁の衛星放送「Tivu`」発足へ

イタリアの地上デジタル放送を補完するサービス「Tivu`」の概要が,1月20日,DGTVi主催の会議で発表された。「Tivu`」は公共放送 RAI(48%),民放大手M e d i a s e t(48%),Telecom Ita lia Media(4%)の合弁出資により設立され,今年6月のサービス開始をめざす。地上デジタル放送がカバーできない地域にも,衛星を使って地上デジタル放送の宣伝や,衛星無料再送信を行うことにより,デジタル転換を支援するのが主な目的である。