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「暑さ」の影響はクリスマスケーキにも

  • 2023年12月22日

クリスマスケーキに暑さの影響!?

 

日に日に寒さが厳しくなる師走。山形県ではあちらこちらで積雪し、ことしも冬が来たなと感じます。
冬のビッグイベントのひとつ、クリスマス。たくさんのいちごが生クリームのホールケーキにのった様子は見ているだけで幸せな気持ちになりますよね。
このクリスマスケーキに欠かせない、いちご。いちごが暑さの影響で不作となっています。

いちご農家は暑さと物価高で厳しい状況

山形県内では主に東根市や飯豊町などの農業用ハウスで栽培されていて、県によりますと、ことし夏の記録的な猛暑の影響で苗の生育不良などの被害が確認されているということです。

このうち、いちごを毎年2トンほど出荷している飯豊町の農業法人では、例年1つの苗から5回ほど収穫できるということですが、ことしは苗から伸びる芽が少なく十分に成長しなかったり、花が咲いても、成熟しない実が多くなったりしていて、収穫量が3割ほど減る見込みだということです。

 

生産者をさらに苦しめているのが物価高です。
この農業法人では去年から続く電気代・燃料代の高騰によって増える経費が経営を圧迫しています。
いちごの成長に欠かせない日照時間を確保するため夜間に点灯する電灯や
農業用ハウスの中の空気を循環させるための送風機などを稼働する電気代は
2年前までは月8万円程度でしたが、去年から10万円前後に増えました。

 

また、冬の間、農業用ハウスで使用する暖房の燃料代は、
2年前までは月に40万円ほどでしたが、ことしに入ってからは多い月で50万円余り
かかるようになったということです。
 

売り上げに大きな影響が出ている。
いちごの卸値が跳ね上がっているとも聞くが、
おいしいいちごを食べてもらえるように、厳しい状況でも頑張りたい

いちご不作で仕入れ値高騰 ケーキ店の決断は

一方、クリスマスケーキを販売する洋菓子店では、
いちごの仕入れ値が今後上がるのではないかという不安を抱える中、苦渋の決断をしたといいます。

飯豊町の農業法人からいちごを仕入れている、同じ町内にある洋菓子店では、
クリスマスケーキおよそ450台を毎年この時期に販売しています。

収穫量が減少しているいちごの仕入れ値が最大で2倍ほどになることも想定し、
ケーキにのせるいちごの量を減らすことを検討していました。

しかし、「1年に1度のクリスマスケーキを子どもたちが楽しみにしている。
今後、いちごの仕入れ値が上がったとしても店が涙をのむ形にする」として
生クリームや卵などのほかの原材料の仕入れ値も上がってはいるものの、
いちごの量やケーキの価格を据え置くことを決めました。

 

いちごと暑さの関係は?

いちごの生産量日本一の栃木県で生産者の技術支援などをおよそ15年担当し、
いちごの生育に詳しい栃木県経営技術課の小林泰弘さんは、
「夏の暑さの影響で苗や花芽の発育が遅れ、クリスマスの時期に例年と比べて収穫量が増えていない」と指摘しています。

 

ことし夏の記録的な暑さが落ち着き、いちごの生育に適した気温に下がる時期が例年と比べて1週間から10日ほど遅れたことから、発芽や実がなる時期も1週間から10日ほど遅れたということです。
いちごは例年、1つの苗で5回ほど花芽を出し、1回目のいちごは実が大きく、2回目以降がケーキ用に適しているとされています。

ただ、ことしは暑さの影響で全国的に花芽の生育が遅れ、ケーキ用に適した大きさのいちごの収穫がクリスマスの時期に間に合わないケースが多いということです。

また、小林さんは、苗を育てる時期である夏の暑さが厳しかったことから、花が咲きにくく実がなりにくかった可能性も指摘しています。

小林さんは「暑さがここまでいちごの生育に影響した年はなかった。暑さの影響を受けにくい品種を開発するなどして対応していきたい」と話していました。

  • 永田哲子

    NHK山形 記者

    永田哲子

    2020年入局
    警察担当や米沢支局勤務を経て、2023年8月から行政担当
    保育士資格を持っています!
    自然・文化・歴史など置賜地方の魅力を深く知って山形がもっと好きになりました。
    おしょうしな~!

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