紺野初五郎さんは、絶対安全だと考えていた高台からさらに高い場所に避難することで津波から逃れることができました。

(取材・放送の内容を元にしたテキスト)

あの日、自宅兼店舗で強い揺れを感じた紺野初五郎さん。防災行政無線で避難を呼びかける声を耳にします。

「ただいまの地震で、津波警報出た3メートル、高台へ避難してください」と。

紺野さんの地区は海から1.7キロほど離れていましたが、地区の避難所は海抜4メートルほどの所にありました。

大津波警報を知った紺野さん。地区の避難所に人が集まっていると知り、声をかけに行きます。

「(津波)3メートルと言っているけどここで大丈夫なのかと声をかけたんです。そしたら鳴石(公民館)だなとなったんです」

紺野さんたちの地区では低い場所にある避難所に危険が迫りそうな時にはさらに高い所にある鳴石公民館に避難することを決めていました。海抜は26メートルです。

紺野さんたちが向かった高台の公民館です。過去に津波が来たことはありませんでした。

住民たちが公民館に入ろうとした時です。

「警察官がきて「そこまで来たぞ何やってんだ」と/すごい大きい声でした」

津波は紺野さんたちの近くまで押し寄せます。

「凄いがれきの音がバリバリバリって/下の方から色んな方の悲鳴が聞こえました」

紺野さんたちはさらに高台の高田一中へ逃げ、全員が難を逃れます。

絶対安全だと思われていた海抜26メートルの高台まで迫った津波。

紺野さんは、どんなに高い場所に避難していても、さらに想定を超える津波が襲ってくることがあると思い知りました。

「今思えば絶対っていうことはあり得ないなと/信じられない、今でも信じられない」