中学校で体育館の解体工事の現場監督をしていた金野正伸さん。車の避難誘導に当たるなかで、車での避難の危うさを実感しました。

(取材・放送の内容を元にしたテキスト)

高台にある中学校で、体育館の解体工事の現場監督をしていた金野正伸さん。金野さんは今まで感じたことのない激しい揺れに襲われます。

「何が起きたかわからない周りはがたがたいって/作業員はまだ仕事をしていると思って/大声で叫んだ“危ないから離れろ”って」

休憩場所のストーブを消しに行く途中で、目の前を走る道路を見ると…。

中学校に続く坂道の至る所に大きな地割れが出来ていました。

避難場所に指定されている中学校には次々と住民が避難してきます。

道路が壊れたため、車で渋滞が出来て、避難に支障が出てしまう。

金野さんはすかさず学校側に相談して学校に続く道路に車が入らないようにします。

誘導を始めてから20分。突如、車の列が途切れます。

不思議に思い、坂を上がり、街の中心部の方を見ると…。

金野さんは、迫り来る津波を背に走る車を目の当たりにします。

「その辺に(車が)数台。早く逃げればいいなと思っているうちに川が氾濫してくるのが見えた/街の方からバキバキという音一瞬にしてここから土煙状態で何も見えなくなった/車が数台流されたの見えたし、建物がれき何でもかんでも。いろんなものが押し寄せてきた」

あの日、金野さんが誘導したのは、およそ50台。全員が高台に逃げました。

金野さんは津波のおそれがある場合、自分の足で逃げられる人は、車を使わないようにしてほしいと考えています。

「自分の身は自分で守るしかない/車で逃げた場合でも、渋滞していると思ったら即、車を置いて歩いてでも走ってでもいいから車捨ててでも高台へ避難してもらいたい」

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