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16年ぶり夏の甲子園へ 文星芸大付属高校 注目は?

  • 2023年08月10日

夏の全国高校野球が、ことしも甲子園球場で8月6日に開幕しました。
栃木代表は、夏は16年ぶり11回目の出場となる文星芸大付属高校です。
ことしのチームの強さを探るため、甲子園に出発する前の練習にお邪魔しました。

(宇都宮放送局キャスター 長井ゆめの)

好調な打線 秘密は独特の練習!?

文星芸大付属は、どの打順からでも得点できる切れ目のない打線で、甲子園の切符をつかみました。
その秘密を見つけるべくグラウンドを訪ねると、何やら変わった練習が目に入ってきました。

選手たちは、バットを極端に短く持ってバッティング練習をしていました。
これは「キャッチ」と名付けられた練習で、髙根澤監督が就任した7年前から続けられています。
ボールをバットの芯で確実にとらえる感覚を養うことが目的なんだそうです。

髙根澤監督

「ボールをよく見る、芯でとらえる」ということがひとつ。もうひとつは「正しいインパクトを自分で覚える」ことが狙いですね。

入学したときからこの練習を続け、「力がついた」と話すのが、4番を打つ小林優太選手(3年)です。
持ち前の長打力に加えて確実性も備わったことで、広角に打ち分けられるようになり、栃木大会では打率4割超え、チームトップの7打点と活躍しました。

小林 優太 選手
栃木大会ではチャンスの場面でこの練習が生きたので、やってきてよかったと思いました。自分は長打力が強みなので甲子園でもホームランを打ちたいですが、チームとしては「つなぐバッティング」を心がけていきたいと思っています。

守備の要の二遊間 息の合ったプレーに注目

守備で注目したのが、ともに3年生のショートの大塚和央選手と、セカンドの曽我雄斗選手です。

(左)大塚和央選手 (右)曽我雄斗選手

守備の要の二遊間を組む2人は、実は小学校からの幼なじみ。

曽我選手

小学生・中学生のときは、放課後はほぼ毎日、一緒に遊んでいました。

大塚選手

中学校から今まで、グラウンドに行くのも学校に行くのもいつも一緒です。

2人は、中学校までは別々のチームでプレーしていました。
高校に入学するときに「それまで連続優勝していた作新学院を倒して、一緒に甲子園に行こう」と、そろって文星芸大付属を選びました。

大塚選手

曽我選手と二遊間を組みたいと思い、一緒に文星芸大付属に来ました。この二遊間で栃木大会も優勝できて、本当によかったです。

曽我選手

中学生のときから栃木県ナンバー1の二遊間になろうと約束していたので、それが実現できてよかったです。

お互いのことを知り尽くしているだけに、ダブルプレーの息もぴったりです。

大塚選手

自分たちは、スピードと安定感が強みです。

曽我選手

仲がいいだけでなく、長年、二遊間を組んできたので、大塚選手がボールを取った位置で、投げてくるのかトスをするのか、言われなくてもわかるようになっています。

セカンド 曽我 雄斗 選手
甲子園では、ぜひ2人の守備を見てもらいたいです。日本一の二遊間になりたい。

ショート 大塚 和央 選手
華のある二遊間になりたいです。文星芸大付属らしい野球を全国に見せて、日本でいちばん熱い夏にします。

長井の小話
 

インタビューの立ち位置も、守備と同じく、左が大塚選手、右が曽我選手に。
自然とそうなってしまうんだそう!

投手陣は3本柱

そして投手陣は、エースの澁谷優希投手を中心に、堀江正太郎投手、工藤逞投手と、力のある3人がそろいました。
栃木大会では、ほぼすべての試合を、この3人の投手リレーで勝ち上がりました。

澁谷優希投手

先発の澁谷投手はコントールがよく、速球と変化球を織り交ぜた緩急を生かして打ち取っていくタイプの左ピッチャーです。
栃木大会の決勝でも「まったく緊張せず、楽しく投げられた」と、プレッシャーを力に変えられる心の強さも備えています。

堀江正太郎投手

澁谷投手に続くのは、2年生の右腕、堀江正太郎投手。
140キロを越える速球とキレのあるスライダーが持ち味で、無駄なフォアボールを出さないことを心がけ、コントロールを磨いてきました。

工藤逞投手

そして、主に抑えを務めるのが3年生の工藤逞投手。
力のある速球が持ち味で、春以降、筋力トレーニングやフォームの改造に努めてきたことで、球速は140キロまで上がりました。

先発を務める澁谷投手は「力のある2人が後ろに控えていることで、自分は序盤から全力で勝負できる」と、全幅の信頼を置いています。

澁谷 優希 投手
甲子園では、自分の役割をまっとうして全力でぶつかってきたいです。
投手陣としては無失点を目標に、全員で勝っていきたいと思っています。


チームを率いる入江陽主将

県内最多の90人の野球部員をまとめるのは、キャプテンの入江陽選手です。

練習では準備のときから大きな声を出し続け、仲間たちを鼓舞する姿が印象的でした。
入江選手はレギュラーではありませんが、人望が厚く、満場一致でキャプテンに選ばれたそうです。

入江 陽 主将
ことしのチームは、ひとりひとりの個性が強く、そこが魅力で強みだと思っています。
一球に集中して全力で取り組み、一戦一戦、目の前のことだけを考えてプレーします。

入江選手は栃木大会の開会式で選手宣誓を務めましたが、実は髙根澤監督も32年前、前身の宇都宮学園のキャプテンとして選手宣誓をして、ことしと同じように甲子園出場を果たしていました。
このときは1回戦で敗れてしまったため、ことしのチームには、監督を超える成績が期待されています。

髙根澤 力 監督
春先からいい調子で進んできたので、甲子園でも元気いっぱいに、いいプレーをしてほしいです。ことしのチームはひとりひとり個性があり、明るい子が多いので、失敗を恐れず、文星芸大付属らしい攻撃的な野球をしてほしいですね。

文星芸大付属には「ライオン主義」という伝統があります。
これは「ライオンのように、直面するすべてのことに、いつでも全力投球する」という意味だそうです。

16年ぶりの大舞台でも、「ライオン主義」を実践して、勝利を重ねてほしいと思います。

  • 長井ゆめの

    宇都宮放送局 キャスター

    長井ゆめの

    栃木県さくら市出身
    「とちぎ630」でスポーツコーナーを担当
    最近は高校野球の応援曲をひたすら聴いて甲子園に行ったつもりになっています

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