左肩手術の伯桜鵬 完全復活への決意 “苦しいより楽しみ”
- 2023年10月04日

大相撲、鳥取県倉吉市出身の伯桜鵬(20)。
8月末に左肩の手術を受けて、9月の秋場所を休場しましたが、9月28日に相撲教習所の卒業式に出席。手術を決断するまでの胸の内を明かし、完全復活への決意を語りました。
力強い言葉の数々をほぼ全文掲載します。

東京・両国の国技館にある、力士としての基本や心得を学ぶ相撲教習所。
入門以来、通い続けてきた伯桜鵬は9月28日、卒業式に出席しました。



卒業できてうれしいです。
この教習所に初めて来たときのことをすごく思い出して、本場所より緊張していたなと。
自分は(ことし1月の)初場所がデビューで、すごく寒い中で朝起きて(教習所に)来ていたことを思い出していました。
秋場所休場も焦りなし
休場した9月の秋場所中はリハビリをしながら、大相撲をテレビ観戦していたそうです。
年齢が近い熱海富士(21)が優勝を争いましたが、悔しさは「全くなかった」と落ち着いた表情で答えました。

自分がやるのは、今は肩をしっかり治して復帰すること。
客観的に(秋場所を)15日間見て、面白いなという感想です。
自分の夢を叶えるために手術したので。
とにかくもう、部屋の師匠と間垣親方、そして部屋の方々、家族、そしてトレーナー、すべて、僕も含めてですけど、前を向いて、半年後、来年、再来年の自分の姿を想像できているので。苦しいというより、すごく今楽しみですね。
左肩の状態明かす
ことし5月の夏場所から、左肩にテーピングをして土俵に上がっていた伯桜鵬。

7月の名古屋場所では優勝争いに加わる快進撃を見せた一方で、左肩の状態を悪化させたことを明かしました。

名古屋場所中に3回ぐらい肩を脱臼して。中学校1年生の頃からの古傷なので、その蓄積が出てきたって感じですね。
脱臼をすごく繰り返していて、朝起きたら肩が外れてるような状態だった。痛かったです。もう、相撲も取れないなという。
9月(秋)場所もどうにか出たいという思いで、トレーナーの方々にサポートしてもらいながら、しっかりとリハビリに専念したんですけど、回復することができなかった。
手術への迷い 葛藤
記録的なスピード出世と快進撃で一躍注目を浴びた伯桜鵬。
1月 初場所 | 幕下15枚目付出 | 7勝0敗 優勝 |
---|---|---|
3月 春場所 | 十両14枚目 | 10勝5敗 |
5月 夏場所 | 十両8枚目 | 14勝1敗 |
7月 名古屋場所 | 前頭17枚目 | 11勝4敗 |

手術を決断するまで、迷いがあったと打ち明けました。

3場所で幕内に昇進して、自分がテレビで夢見ていた舞台までスピード出世して、たくさんの方に取り上げていただいて、すごく注目していただいた。
調子に乗っていたわけではないけど、注目されてるところから自分がいなくなるというのは正直嫌だった。
だからこそ、手術という選択がなかなかできなくて。
やっぱり自分が活躍することで、たくさんの方が喜んでもらえる、応援してもらえるというのは、自分にとって本当に最高のことだと思うし、そういういい状態から落ちていくというのがすごく怖かった。
だから、無理やり、なんとか出たいという思いも強かったです。
決断を後押ししたのは…
それでも、地元・鳥取に帰っていた8月16日、鳥取県の平井知事と知事公邸で面会したときにかけられた言葉が、決断を後押ししたといいます。

鳥取に帰ったときに、鳥取県の平井知事から『県民をあげて応援する』というお言葉をいただいて。
“自分がこんなにも応援されているんだ”と思って、手術して、もう一度ゼロからやろうと決めました。
手術の選択が少し遅れたんですけど、自分の中で手術ができたというのは、自分がひとつ成長したなと思っています。
そして、2人の先輩力士の姿も、伯桜鵬の決断を支えました。


部屋の大先輩、炎鵬関を近くで見ていて、首の大けがで関取から落ちてもひたむきに努力されている姿を見させてもらっていた。
横綱・照ノ富士関も(鳥取城北)高校の大先輩で、大けがで序二段まで落ちた中で、横綱になった。
大けがをして復帰している方はたくさんいる。
自分のけがの状態で正直、くよくよしてられないと思うし、たくさんの方に同情されることがすごく情けないというか、恥ずかしいので。
自分もやるべきことをしっかりやって、強くなって戻ってきて、結果を出すしかないと思ってます。
復帰へ向けて ふるさとに“恩返し”

相撲教習所の卒業式に出席した宮城野親方は、伯桜鵬の復帰時期についての質問に「焦らず、ゆっくり」と答えました。
伯桜鵬自身にも焦りはまったくありません。

3週間ぐらいずっと肩を固定していたので、左肩、左腕もだいぶ筋肉が落ちている。肩が動く範囲で、細かい筋肉を動かしながら、筋肉をもう一度取り戻していくという、基本的なことしか今はやっていないですね。
正直、毎日できることをやっているので、いつ復帰しますとか言えないんですけど。
もう完璧に治そうと思っているので、どこまで(番付が)落ちても構わないし。
自分のやれることをしっかりやるだけだと思ってます。

最後に、伯桜鵬から、生まれ育った地元・鳥取へのメッセージです。
鳥取県、ふるさとの皆さんが自分の相撲を応援してくれて、本当にそれが力になっています。
自分が手術して、場所に出られなくて、弱っているときに、すごい温かい応援メッセージ、お見舞いの言葉をいただいて、鳥取の皆さんに恩返ししたいという思いが強いです。