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大相撲 新入幕の伯桜鵬や小結・琴ノ若の激闘を振り返る

NHK大相撲実況歴23年・藤澤武さんに土田翼アナウンサーが聞く!
  • 2023年08月02日

関脇・豊昇龍が初優勝し、幕を閉じた大相撲名古屋場所。
鳥取県関係力士では、倉吉市出身・新入幕の伯桜鵬(西前頭17枚目)が千秋楽まで優勝争いに加わる激闘を見せ、11勝4敗と大活躍!敢闘賞と技能賞を受賞した。
初土俵から4場所目での三賞受賞は歴代で最も早い記録だ。
さらに、元横綱・琴櫻(倉吉市出身)の孫で小結・琴ノ若も11勝4敗と活躍を見せ、敢闘賞を受賞した。鳥取県関係力士が躍動した大相撲名古屋場所を元NHKアナウンサーで
大相撲実況歴23年の藤澤武さんと土田翼アナウンサーが振り返る。

土田翼

大相撲名古屋場所の結果について、おなじみ藤澤武(ふじさわ・たけし)さんと
振り返ります。藤澤さん、宜しくお願いします!

藤澤武

こんばんは。よろしくどうぞ~。

いやあ~伯桜鵬、すごい活躍でしたね!

すごいですね!まだ4場所目ですね。19歳でいきなり優勝争いですから
信じられませんね。伯桜鵬のお父さんは居てもたってもいられないということで、
14日目名古屋に応援に行ったんですよね。
8000人近い大観衆が「伯桜鵬!伯桜鵬!」という大声援。お父さんも一緒に
なって「哲也~!!」ですよ。息子ですからね。笑) 本当によくやりましたよね。
敢闘賞・技能賞2つ獲得というのは、場所を盛り上げたという意味で当然ですね!

伯桜鵬の取組を振り返る前に、
鳥取県関係力士の名古屋場所の成績からみていきます!

鳥取県関係力士 名古屋場所の成績

鳥取県関係力士  幕内・十両の取組結果

まずは、幕内です。
横綱・照ノ富士は、1勝3敗11休。腰を痛め5日目から休場です。
小結 琴ノ若は、11勝4敗。4場所連続で勝ち越し、敢闘賞に選ばれました。 
北青鵬は、番付自己最高位(東前頭6枚目)で臨みましたが、5勝10敗。負け越しです。
新入幕で挑んだ伯桜鵬は、11勝4敗。敢闘賞・技能賞に選ばれました。

続いて、 十両です。 
狼雅は、8勝7敗で勝ち越し。 
水戸龍は、6勝9敗。 
美ノ海は、8勝7敗で勝ち越し。 
貴健斗は、7勝8敗。

鳥取県関係力士 幕下・序二段の取組結果

幕下です。
向中野は、4勝3敗で勝ち越し、秋場所での新十両昇進が決まりました。
新たなしこ名は、天照鵬(てんしょうほう)です。 
尊富士(たけるふじ)は、6勝1敗。入門から5場所連続で勝ち越しています。 
荒馬は休場です。 
延原3勝4敗。
白旺灘(はくおうなだ)3勝4敗。 

最後に序二段です。 
高野は、0勝5敗2休です。
鳥取県関係力士の結果でした。

大活躍!新入幕・伯桜鵬の激闘を振り返る

では、大活躍した伯桜鵬の今場所の取組をみていきましょう! 
特に良かった取組を藤澤さんに挙げて頂きました。解説お願いします!

まず6日目 豪ノ山戦です。(決まり手は、はたき込み)

豪ノ山とは過去3回対戦して、伯桜鵬が3敗ですよね。
伯桜鵬が下から下から攻めていますね。相手のはたきにも付いていっています。
伯桜鵬は足の運びが良かったですよね。豪ノ山は何とかしたかったんですが、
最後は伯桜鵬に首筋をはたかれましたね。動きの速さは豪ノ山が1枚上手なんですが、
伯桜鵬がよく相手を研究しています。下から当てがって足を前に前に出していくことで、
豪ノ山との間隔を詰めていくんですよね。この辺り、結構研究しているのが分かりますね。
豪ノ山が押し切れなかった。伯桜鵬がはたき込みで勝利!

6日目 豪ノ山戦   決まり手は、はたき込み

続いて、11日目、高安戦です。(決まり手は送り出し)

相手は元大関ですね。高安、重いですね。伯桜鵬が右からいなします。
もろ差しになって横から付いて送り出しましたね。
高安は足を痛めているということもあって、動きが鈍いんですよね。
伯桜鵬が右から強烈に押っ付けて、いなして高安に横を向かせて、
相手の懐に入って左腰にくっつきます。そして後ろから送り出し。
上手く高安を攻略しましたね。

11日目  高安戦   決まり手は、送り出し

続いては、12日目。阿炎(あび)と取組です。(決まり手は押し出し)

阿炎は速いです。突っ張って、いなし、はたいてきます。阿炎の動きに伯桜鵬は
よく付いていきますよね。伯桜鵬の足の運びが良いですよ。どんどん付いていきます。
阿炎はスピード相撲が持ち味なんですが、伯桜鵬が間合いを一気に詰めていきますから、
阿炎としては間隔が狭すぎるんです。伯桜鵬が前に前に出て、そのまま押し出します。
伯桜鵬は師匠から言われて、足の運びを速くする稽古を十分に積んでいるんですね。

12日目  阿炎戦  決まり手は、押し出し

最後は、13日目。錦木です。(決まり手は内掛け)

優勝争いで注目された錦木。180キロ、重いですね。伯桜鵬が左から押っ付けて、
得意の左を差しました。そこへ、錦木が前に出てきますけれどスピードが無いですね。
伯桜鵬がしのぎました。ここで、錦木が伯桜鵬の上手が取れないんですね。
伯桜鵬が上手を与えないようにしているんです。そこで、腰をひねって相手をあおって、
左の内掛けですよ。鮮やかですね。相撲界に入って見せた内掛け2つ目ですね。
腰をひねっておいて、出てくる錦木の右足をかけているんですね。

13日目   錦木戦   決まり手は内掛け
(左)内掛けを仕掛ける伯桜鵬

伯桜鵬、本当に多彩な攻めですよね。今場所、敢闘賞・技能賞に選ばれました。
何が好調の要因だったんでしょうか?

身体能力の高さはもちろんのこと。立ち合いが鋭くなった。足の運びが物凄く速くなった。
すぐ相手に付いていけるという。そして、何と言っても怪物級の度胸ですよ。
ビビらないという所がすごいですよね。普通、あんなに上位と次々と当たると震える人も
いるんですね。なのに、伯桜鵬は全然ビビらないですよね。

新入幕の場所なのにすごいですよね。

それから鳥取でずっと世話をしてくれていたトレーナーの方が9日目から名古屋に
入ったんですよね。そして、伯桜鵬の左肩のケアをずっと続けたと。
あと、何と言っても石浦の間垣親方がそばにいるというのが大きいですよ。

伯桜鵬本人も心強いでしょうね。

そうなんです。あらゆるアドバイスでフォローしているんです。
チーム鳥取という感じがしますね。

気になるのが、番付なんですけれども。
現在17枚目ですが、来場所どのくらいまで上がりそうですか?

幕の内の真ん中くらいまでいくでしょうね。成績次第では、秋場所は番付上位に
どんどん当てられますね。来場所も楽しみですね。

番付がどこまで上がっていくのか。来場所も応援していきたいですね。

敢闘賞!小結・琴ノ若の取組を振り返る

続いては、伯桜鵬と同じく11勝4敗と大きく勝ち越した小結・琴ノ若です。
取組を振り返ります!

6日目、関脇・大栄翔戦です。(決まり手は引き落とし)

大栄翔は場所前、琴ノ若の佐渡ヶ嶽部屋に稽古に来ているんですね。まず、琴ノ若が
右を差します。大栄翔が突っ張りますけど、琴ノ若は身体が柔らかいから柳のように
しなって、通じないんですよね。

琴ノ若が受けながしていますね。

そうなんです。そして、最後は琴ノ若が肩透かし気味にいなして引き落とし。
 琴ノ若は足を前に運んで、重心を低くしているのが特徴ですね。

6日目  大栄翔戦  決まり手は引き落とし

続いて、10日目。関脇・豊昇龍です。(決まり手は押し出し)

名古屋場所で初優勝した豊昇龍

優勝した豊昇龍戦です。琴ノ若が差し込んで、もろ差し。豊昇龍が巻き替えるんですが、
琴ノ若がここをチャンスと前に出ますよね。左足を前に出して、重心をグッと下げています。 そこから、右手でのど輪にいきますよね。琴ノ若は無理に身体をくっつけません。
突き落としを警戒しているんですね。最後は、そのまま押し出し。
身体の柔らかさなど持ち味がよく出ましたね。

10日目 豊昇龍戦 決まり手は押し出し

関脇・大栄翔、そして優勝した豊昇龍を相手に素晴らしい取り組みでしたね。

琴ノ若、先場所は、関脇陣にべったり負けてるんですよね。リベンジを果しましたね。
11勝4敗。伯桜鵬と同じ星。来場所は、きっと関脇昇進ですよ。
そうすると、いよいよ大関昇進も見えてくる。お爺さんの琴櫻襲名も見えてくる。
こうなったら稽古にも熱が入りますよ。期待して良いんじゃないんですか。

来場所以降も楽しみですね!

期待の北青鵬は5勝10敗で負け越し

伯桜鵬、琴ノ若と見てきましたけれど、北青鵬は5勝10敗と少し流れに 
乗り切れなかった印象ですね。

やはり、白鵬の宮城野親方に言われている「当たって前に出ろ。攻めろ」と
言われているんですけれど。どうしても立ち合いで北青鵬は受けてしまうんですよね。
今場所の6日目、(送り出しで敗れた)宇良戦でも1分近い大歓声だったんですが、
「さあ~こい」みたいな相手を待つ相撲。攻めないんですよね。
場所後には、夏巡業といって東北・北海道、新潟から北陸を回る1か月の長い長い
巡業があるんですね。北青鵬は地元札幌でしょ。北海道の期待を一身に背負いますから、
勝ち越して地元に行きたかったんですけれども。残念ながら負け越し。 
相当、稽古するでしょうね。

来場所、より強くなってまた戻ってきてくれそうですね。

相当、反省すると思いますよ。周りからの期待の大きい人だからね!

注目の来場所、大相撲秋場所は東京・両国国技館で9月8日(日)に初日を迎えます。
ここまで、藤澤武さんの解説でした。

  • 土田翼

    鳥取放送局・アナウンサー

    土田翼

     平成30年入局。
    愛知県一宮市出身。
     高砂部屋の若松親方
    (元・朝乃若)は
    親戚にあたる。 

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