鳥取 十両 落合関に土田翼アナがインタビュー!
- 2023年05月11日
鳥取県倉吉市出身の十両・落合(19)。鳥取城北高校では、高校総体で2年連続の「高校横綱」に輝いた。去年12月、元横綱・白鵬の宮城野親方が率いる宮城野部屋へ入門。 幕下15枚目格付け出しで
デビューした今年1月の初場所では、7戦全勝で幕下優勝。 昭和以降で初となる1場所での十両昇進
という快挙を果たした。 そして、新十両として臨んだ3月の春場所で10勝5敗と2桁勝利をあげた。
デビュー以来、快進撃を続ける落合に先月行ったインタビューの模様をたっぷりとお届けします!
まずは春場所、本当にお疲れ様でした。
鳥取に帰ってきて久しぶりの地元はいかがですか?
地元の鳥取が大好きなので、元気を貰っています。
地元に帰ってきたら必ずすることはありますか?
まずじいちゃん、ばあちゃんに会って。亡くなったばあちゃんのお墓参りとかは必ずするようにしているんですけど。あとは近所のよく通っていた食堂に行くとか、家族と過ごすのが楽しいです。
活躍されて地元での反響はどうでしたか?
たくさんの人から声をかけて貰いますし、「いつも観てるから頑張って」と声をかけて貰うことが本当に嬉しくて。頑張ろうという気持ちになれるので。
感謝の気持ちを忘れずに相撲道に精進することが自分の務めかなと思っています。
力士としての生活は?
宮城野部屋での生活は慣れました?
そうですね。師匠をはじめ、女将さんも優しいですし。兄弟子の先輩方も本当に優しくて、楽しい部屋です。基本は相撲漬けの生活というのは(高校の時と)変わらないので。
髪の毛も結構伸びましたね。見慣れてきましたか?
実はまだこれ全く伸びていないんですよ。少し毛が生えたくらいで油を塗って後ろに流しているので。伸びたように見えているんですけど。油を落としたら短いです。
洗うのが大変と伺ったのですが。
そうなんです。普通のシャンプーではなかなか落ちないので。力士が愛用する海藻の成分が入った固形シャンプーで洗うと落ちるんです。ただ、プロになったという証拠なので嬉しいです。
新十両として臨んだ春場所を振り返って
新十両として臨んだ春場所。ご自身で振り返っていかがですか?
いま終わってみて結果を見れば、10勝5敗という良い成績だったと思うんですけれど。プロになった以上、勝たないといけないですし。まずは、勝ち越しの8番というのがみんな目標になるんですけれど。自分も今場所は「必ず勝ち越したい」という思いで出場しましたし、
8番勝ってからは、欲を言えば2桁勝ち越したいという思いがあったので。
10勝できたということは、素直にとても嬉しかったですね。
今場所、ご自身の中で良かった点は?
だいぶ落ち着いてきたなというところ。相撲の内容はあまり良くないところもたくさんあったんですけれども。土俵に上がって戦うまでの中で、落ち着いてできているな、というのが自分で動画を振り返っても思います。
初場所から非常に落ち着いているなと感じていたんですが。
初場所と春場所では違いましたか?
初場所はもうあまり緊張してどうしようもならない場面は無かった。落ち着いていた方ではあると思うんですけど。さらに今場所は落ち着いてやれたかなと感じます。前日に明日の取組をどう戦おうかなと考えて寝るんですけど。それをアップから淡々とこなしていけた、というのが落ち着いていると思ったのかなと思います。
十両として迎えた今場所、立ち合いはどのように行こうと考えていたんですか?
自分は立ち合いのスピードと角度。低い立ち合いというのが武器なので。そこを格上の方々相手に出して通用できればな、通用したらいいなという思いだったんですけれども。良い立ち合いも悪い立ち合いもあったんですけど、そこは今後の稽古で改善していかなければいけないなと思いました。
十両になって初めて千秋楽まで15日間連続での取り組みになったと思うんですが、
大変だったこと、難しかったところはありますか?
本当に難しかった、大変だったのは一日一日を切り替えるというのが本当に難しくて。やっぱり勝ったら嬉しいし、負けたら悔しいし。一喜一憂せずに同じ気持ちで15日間やり切るというのがすごく難しかったですね。
そこをどうやって切り替えていったんですか?次の日に向けて。
その日勝てば勝った自分の相撲の余韻に浸ったりとか、負けたらずっと悔しかったりとかあったんですけど。お風呂に入っている1時間だけ相撲のことを忘れて、何か楽しいこと自分の好きなことを考えて、リラックスしていました。先輩とかとお風呂に入って楽しく話して。よく笑うということがリラックスに繋がって、自分の気持ちを安定させてくれたなと思っています。ただ、振り返ると、肉体的に精神的に心技体ともに強くならないと15日間は到底戦えないな、と思いました。
特に何日目が一番辛かったですか?
中日を終えてから。実はそこまではあまり緊張していなくて。疲れとかもあまり感じなかったんですよ。このままあと7日頑張れるなという気持ちだったんですけど。10日目をこえてから一気に疲れが来て。朝起きれないとか身体がずっとダルくて。こんなに疲れるんだというのも体感しましたね。10日目を終えてからのあと5日間が本当にしんどかったですね。もう
やるしかないという思いと、冷静にその日その日に自分がやるべきことをやろうという感じで、何とかできたのかなと思っています。
春場所で一番印象に残った取り組みは?
春場所の中でご自身の中で一番良かった取組は何日目だったと感じますか?
相撲の内容を言えば初日の幕下・塚原さんとの戦いが一番良かったと自分では思います。ただ、これからの相撲のことを思えば新十両のまだ新弟子の自分が幕内優勝経験者の逸ノ城関や浅乃山関と戦わせて頂けたというのが一番自分としてはありがたいし、嬉しかったですね。小学校から相撲が大好きで、やっぱり自分が中学生とか高校生の時にテレビで大活躍されていた方々なので。まさかこんなにテレビで憧れていた方と自分が同じ土俵に立って勝負できる日が来るというのを思ってもいなかったので。ただ、嬉しさと、先日WBCで大谷翔平選手が「今日だけは憧れを捨てましょう」とチームメイトに言っていた言葉に僕もすごく共感したというか。その日だけは憧れるという思いを捨てて勝ちにいきました。結果は負けましたけど、
そういう思いが伝わった相撲だったなと自分では思っています。
リスペクトをしつつも、戦うときは勝つぞという気持ちで臨まれていたんですね。
取組を終えて得たものも大きかったですか?
まず逸ノ城関と同じ土俵に立った時に、すごく怖かったですし。やっぱり大きくて。こんなに大きいんだって思いましたし。でも、そこでひるまずに向かっていけたというのが、自分の中でこれからの相撲人生に役立つのかなと思いましたね。 鳥取に帰ってくると(身体が)大きい大きいと言われますけど、東京に帰ると自分が一番小さいので。笑)
ただ、小さい身体で大きい相手を倒すというのが観てる人たちを魅了すると思うし、子どもたちにも小さい身体でも努力すれば勝てるという夢を与えると思うし、自分がそういう立場になりたいなと思ってます。
中日や9日目に足技で相手のバランスを崩していましたが、日ごろから練習されていた?
もともと狙ってやっていた訳ではなくて。苦しい体勢なったときに自分ができることがあれしかなくて、ああいう形になったんです。でも、部屋に技の上手い方がたくさんいて、師匠もそうですけど、その方々の相撲を見ていく上で自分が吸収できることがたくさんあるので、
良い練習ができているのかなと思います。
場所中、宮城野親方からはどんな言葉をかけられました?
その日その日の取組のこともアドバイス頂きますし、場所中どういう風に過ごすのかというのも。師匠は新十両の場所は、ずっと寝ていたという風に言われていたので。自分も本当にあまり寝られない方なんですけれども。そんな自分を忘れてしまうくらい寝られて、疲れていたので。15日間戦うというのは、本当にすごいスポーツ、競技だなと思いました。
地元・鳥取からの応援に対する思い
十両になって初めて今場所から母校・鳥取城北高校から贈られた化粧まわしを付けての土俵入りがありましたが、どんな思いで臨んでいましたか?
やっぱり歴代の城北高校出身の関取になられた方々が付けている化粧まわしですし、鳥取県東部に伝わる麒麟獅子の画が描かれた化粧まわしを付けることで、より一層「鳥取城北」という重みを感じますし。パワーを頂いているなと感じますね。
土俵の上はお客さんからの声援は聞こえるものなんですか?
僕はすごく聞こえましたね。 やっぱりアマチュアでは体験できない気持ちになりましたね。
本当にお客さんが多くて、「落合!」という応援の声も聞こえますし、ありがたい思いしかないです。また3月の大阪場所で鳥取県からも近いということでたくさん鳥取の方々が応援に来て下さって、「落合!落合!」と応援して頂けたことが何より嬉しかったです。
土俵の上に立って涙が出そうになるくらい嬉しかったんですけど、もう目の前には強い相手がいますから、泣いてる場合じゃないんですけど。笑) でもそのくらい嬉しかったです。
そういった応援は力になりました?
はい。お客さんの僕を応援して下さる声というのが、自分の力になっていますし、
応援して下さるみなさんの期待に応えたいという気持ちも強いですし。だからこそ、自分が
努力して土俵の上で頑張る姿、勝つ姿を見せることが何より恩返しなのかなと思います。
場所中、ご両親とはやり取りはしていましたか?
母がすごく心配してくれているので。親父とも連絡を取っているんですけど。家族みんなが場所中、支えてくれていますし。ビデオ通話で家族の顔見れば元気貰えますし。家族の絆、思いは強いなと感じています。家族も極力気を遣ってくれていて、相撲と離れるように明るい話題で話してくれて。一瞬相撲を忘れるというか、それも自分の気持ちを安定させる薬になったと思います。
落合関が大切にしている言葉は?
今、一番大事にしている言葉を色紙に書いて頂けますか?
「愛」です。
愛。なぜ、この言葉に?
師匠(宮城野親方)が言われていたのが、「誰より相撲を愛している」。この言葉がずっと心に残っていて。やっぱり僕も相撲が大好きですし、誰より相撲を愛しているというのは師匠が言うからカッコいいなと思ったんですけど。自分もその言葉をいつか言えるようになりたいなと思ったし、僕も本当に師匠に負けないくらい相撲を愛していますし。この大好きな相撲を色んな方が支えてくれて、応援してくれて。そして、自分が相撲道を全うできること、何より幸せだなと思います。
相撲への愛は場所を重ねるごとに強くなっていますか?
改めて自分が相撲というものが大好きなんだな、というのが、
毎場所毎場所、2場所しか経験していませんけど感じていますね。
どんな時に相撲が好きだなって感じるんですか?
勝った時も負けた時も。やっぱり負けると本当に悔しい。その悔しさがそれくらい相撲が好きなんだなという思いだと思うし。相撲で土俵の上で相手に勝った時は、他では味わえないものがあって、僕の中では。そこが相撲をとても愛しているということなのかなと思います。
鳥取のみなさんへメッセージ
最後に鳥取のみなさんにメッセージをお願いします。
鳥取県のみなさん、3月場所の応援ありがとうございました。 いま次の場所に向けて稽古に精進しています。5月場所では2桁以上勝って、新入幕目指せるように頑張りますので、
これからも応援のほど、よろしくお願い致します!!
落合関は19歳とは思えない落ち着きがあって、インタビュー中は私の質問に言葉を選びながら丁寧に答えて下さる姿が印象的でした。 常に周りや地元、応援してくれる人たちへの感謝の気持ちを口にされていた落合関。 より応援したい!頑張って欲しい!という気持ちが強くなりました。 5月14日(日)に東京・両国国技館で初日を迎える大相撲夏場所での番付は、西の十両8枚目。 鳥取から毎日応援します!!