徳島 “カワイイ” にこだわる新しい大谷焼 日本一の職人技も!?
- 2023年12月20日
徳島を代表する伝統工芸品・大谷焼。
時代のニーズに合わせて、変わりつつあります。
今回は、特に“カワイイ”にこだわる職人技、次世代に向けての思いに迫りました。
来年の干支 「辰(たつ)」の置物づくりが最盛期
もういくつ寝ると『辰年』よ~♪
この置物が盛んにつくられているのは、鳴門市にある大谷焼の窯元です。
大谷焼は江戸時代後期から約240年の歴史を持っています。
最盛期には数十軒の窯元がありましたが、今はたった6軒のみに。
きょうはそのひとつ「梅里窯」にお邪魔しました。
伝統的な大谷焼・変わりゆく大谷焼
この窯元では、これまでとは一味違った新しい大谷焼づくりが注目を浴びているんです。
伝統的な大谷焼は、土の風合いを残した、茶色で素朴な雰囲気。鉄分を含んだ大谷の土を使うため、かすかな光沢を放ちます。
ひと昔前は、藍染めの藍液を入れるための巨大な「かめ」など、大ぶりな作品が多く作られていました。
しかし、近年では従来の大谷焼のイメージにとらわれない作品も増えてきています。
特にこちらの窯元では、“カワイイ”にとことんこだわり抜いた新しい大谷焼づくりが行われているんです!
“カワイイ” に秘められた職人技
店内には、カラフルで個性的な焼き物が所狭しと並んでいます!
こちらの窯元では100種類以上の商品を全て手作りしているんですって。
一体どんな職人が作っているのかというと・・・
こちら。真剣な表情でまさにいま土を触っているのが、森裕紀(もり・ゆうき)さん。
こちらの窯元の3代目です。
実はこの方、陶芸界である異名を持っています。
土殺しの鬼!!
土殺しとは、かわいい作品を作るために欠かせない工程のひとつなんです。
電動ろくろの上で、土を上下に伸ばして縮めてを繰り返していきます。
そうすることで、土を循環させ、土全体の水分量や硬さを均一にしているんです。
はさむだけなんですけど、上にあげるときに手の力加減を変えながら動かしています。
土の高さは、どんどん高くすることだってできます。
土の量さえあれば1メートル近い高さまで真っ直ぐに伸ばすことができるんです。
森さんは、この高さで日本一にもなったスゴ腕の持ち主なんです!
そして、均一になった土を使って、さまざまな器やコップの形にしていくんです。
日本屈指という森さんの土殺しの技が、かわいい作品作りにどういかされるのかというと・・・
指を使って、飲み口の内側に絶妙な傾斜を作り出していきます。
こうして細部まで形にこだわるため、土の水分や硬さが均一になっていないと、乾燥させたときにゆがみやヒビ割れが起きてしまうんです。
だから、土殺しによって土の質を均一にしてあげる必要があるんですね。
伝統的な大谷焼の色・形も大切ですが、後世に残していくには、
時代のニーズに合わせて、SNS映えするカワイイ大谷焼に変えていくことも大切だと考えています。
家族でつなぐ次世代の大谷焼
森さんの窯元は、50年前、森さんの祖父がこの場所に開きました。
10年前に窯元を継いだ森さんは、一般の方に向けた陶芸教室も開き、その魅力を伝えているんです。
そして、先代のお母さんを始めとしたご家族とお弟子さんとで、出来上がった焼き物の仕上げ作業を行っています。
その中には息子の大地くんも。お父さんの背中を見ながら、一緒に辰の置物を作っているんです。
お父さんの仕事する姿はかっこいい✨
そう言ってもらえるのは、嬉しいですね。
ということで、今回のあす推しポイントはこちら。
「大谷焼さらなる未来へ レッツゴー!」
みなさんも、お正月はカワイイ大谷焼に囲まれて過ごしてみてはいかがでしょうか?