【随時更新】県立ホール・新駅 徳島県の方針は?県民の声は?
- 2023年11月17日
徳島県が見直しを検討する県立ホールの整備計画。徳島市の中心市街地を大きく変える県立ホール計画が今後どうなるのか、最新情報をまとめました。
県立ホールの見直し議論
徳島県は飯泉前知事のもと、徳島市役所向かいの旧文化センター跡地などの敷地に、最大2000席規模の大ホールと小ホールを備えた施設の建設を計画していました。
平成5年に徳島市が老朽化したホールの建て替えの検討を始めて以降、市長の交代や計画の変更を経て、県主体で建設することになり、当初県が立てた計画では、費用が216億円で令和9年3月の開館を予定していました。
しかし、ことし4月の知事選で「費用が高すぎる」と計画の見直しを訴えた後藤田知事が当選し、見直しの議論が始まりました。
後藤田知事 “大ホールは縮小”
9月14日、後藤田知事は報道陣の取材に対し、「工期と早く作ること、機能を維持しながら適正な価格でやること、この3つが重要だ」としたうえで、大ホールを1500席前後に縮小して早期の完成を目指すべきだという考えを示しました。
また、小ホールについては「県と市でやることは何か、本来の役割をもう1回見直していこうということだ。徳島市はごみ処理施設を単独で作るなど財政力はある。市が欲しいということであれば関係者も市に要望するのが筋ではないか」と述べ、改めて小ホールは市が建設すべきだと主張しました。
立地場所そのもの見直しへ
11月16日、現在の建設予定地は、警察署や裁判所などの公的機関の近くにあり、中心市街地のにぎわいの創出にはつながりにくいとして、立地場所そのものを見直す計画案を固めたことが関係者からの取材で分かりました。
具体的には、
大ホールは、徳島駅の南西方面にある藍場浜公園のうち「あわぎんホール」と隣接する一角に新たに整備。
小ホールは、「あわぎんホール」を活用するとしています。
徳島市役所の東側の土地については、JR四国の車両基地として整備する計画です。
新たに大ホールの建設予定地となった藍場浜公園の一角は、JR徳島駅から近い上、隣接する「あわぎんホール」を使うことで一体的な活用が可能になるとしています。
また、今回の計画案には、新しいアリーナの建設にも触れています。
現在の建設予定地は、イオンモール徳島の近くで、中心市街地から離れていることが課題となっていました。
そこで県は、JR徳島駅北側にある徳島市立体育館がある土地を候補地の1つとしています。
市立体育館は、徳島市が管理しているので、今後、県と市で協議が進められることになります。
さらにJR徳島駅には北口を新たに設けて高架化することで人の流れを円滑にしたいとしています。
知事は具体的な説明避ける
後藤田知事は11月17日の会見で計画案の見直しについて問われると、
「県議会や徳島市とも理解を得ながらさまざまな議論をしていきたい」
と述べた上で、
「県民や徳島を訪れる人たちのために責任を持てるまちづくりの構想を示したい」
と述べ、今月24日の記者会見で、具体的に説明する考えを示しました。
また、徳島市の内藤市長は
「まだ県から正式に話を伺っていないので、現時点でコメントできない。今後の県議会などでの議論を注視していきたい」
などとコメント。
こうした大きな変更について街の人からは様々な声がみられました。
急に変わるのはちょっと不安もあるし、あまり変えないでほしい。
みんなが行きやすく使いやすかったらいいなとは思う。
別に移るのは不便じゃなかったらいいと思う。
長い間いろんな案が交錯していたから反対する方もいるだろうけど、今回の案は全体的に駅前も復活するというか、駅に近くなるので、いいと思う。
どっちとも言えない。
たしかに利便性はあるが、これ以上、着工が遅れたらどうなるかという問題がでてくる。
今後、県議会では反対意見や変更の経緯を正す質問などが相次ぐとみられます。
また、徳島市議会でも同様の意見が相次ぐとみられ徳島市としての判断も注目されます。
過去には県民へ広くアンケートも
ことし8月には、後藤田知事は県民から広く意見を募る県民アンケートの実施を発表し、飯泉前知事のときに作られた現在の計画を含めた4つの案を提示しました。そして規模や費用、完成時期の異なる4案に県民から多くの意見が寄せられました。
提示された4つの案は以下の通りです。
案①約1900席の大ホールと約400席の小ホールを備えた現在の計画。
費用は試算で213億円、開館は当初より半年遅い令和9年9月。
案②約1900席の大ホールはそのままで、小ホールがない案。
費用の試算は見直しに伴う追加の設計費用を除いて175億円。
開館は当初より1年2か月遅い令和10年5月。
案③大ホールの席数を約1500席に減らし、小ホールの建設はやめる案。
費用の試算は、見直しに伴う追加の設計費用をのぞいて160億円。
開館は当初より1年9か月遅い令和10年12月。
案④新しい計画を作った上で、約1500席の大ホールのみを建設する案。
費用の試算はおよそ140億円。開館の予定は未定。
工事を受注している業者との契約解除を伴うため、損害賠償の請求を受けるおそれがある。
県立ホール 県民の反応は
県は上記4つの案を示したうえで9月1日までの2週間、自由記述で意見を募集したところ、1100件余りの意見が寄せられました。県の発表では「今の計画のまま進めるべき」が約390件で、「計画を見直すべき」の約280件を上回りました。
意見募集の内訳は以下の通りです。
「今の計画のまま進めるべき」・・・約390件
「計画を見直すべき」・・・約280件
(うち 「新規計画で整備」・・・約160件 「現計画を軸に見直し」・・・約120件)
「中止すべき」・・・約40件
物価高騰による費用増加に懸念も
また県は無作為に抽出した県民に電話と書面でアンケート調査も行い、あわせて1700件余りの回答がありました。建設費用に関する質問では、今後、物価変動によりさらに工事費が増えるおそれがあることについて「できるだけ削減するべき」などの回答が、電話で64%書面で69%を占めました。
一方、県立ホールで計画されている大ホールと小ホールのうち、後藤田知事が徳島市が建設すべきだと主張する小ホールの整備は、電話・書面ともに「県が主体となるべき」が50%を超え、「徳島市が主体となるべき」を上回りました。
JR牟岐線の新駅設置は停止
一方、飯泉前知事のもとで県は県立ホールに加えて、ホールへのアクセス向上のため、JR牟岐線の徳島駅と阿波富田駅の間で新駅の設置を検討していました。
これについて後藤田知事は、ことし6月に開かれた県議会で「選挙戦を通じて、県民から『徳島駅と新駅の距離が近い』といった声を多くいただいた」などとして中止を明言していました。
そして9月11日、県はJR四国と締結した協定に基づく詳細な設計業務を一旦やめ、新駅の設置にむけた事業を停止することを発表しました。精算額はおよそ218万円で、県は県立ホール見直しの結果を受けて設置するかどうかを判断していきたいとしています。