徳島発!清流の水を使った「人と自然をつなぐ」クラフトビール
- 2023年07月21日
去年6月、徳島県美馬市に徳島の豊かな自然をモチーフにしたクラフトビールを作る醸造所がオープンしました。人と自然の距離を近づけるビールを作りたいと、地元出身の男性が開きました。
徳島の自然を表現した
クラフトビール
徳島の自然を表現したクラフトビール、「パドルブリュー」です。
剣山を源流に持つ清流、穴吹川。
醸造所はそのほとりにあります。
川を愛する醸造家
美馬市出身の新居拓也さんです。
剣山で山小屋を営む家に生まれた新居さんにとって、自然は幼いころから常に身近なものでした。
「徳島の自然を山とか森とか川とか気候とか、そういうものをすべて詰め込んだビールを作るのが一つのテーマですね。」
10代の頃から、カヌーで世界中の川を旅してきた新居さん。多くの川を見てきたなかでわかったのが、きれいで飲める水がある川が意外と少ないことでした。きれいな水の貴重さや自然の大切さをビールを通して伝えたいと考え、原料として選んだのは、地元を流れる穴吹川の水でした。
「穴吹川の水ってすごく甘くて、おいしい水には価値があるんだよっていうことをビールを通して広めていくっていうことをしたくて。」
穴吹川の水を温め、細かく砕いた麦芽を混ぜ合わせます。
ここで使うのは、カヌーのパドルです。
「かき混ぜるときの動きなんかカヌーをこぐときと全く一緒です。前にこぎ進んでいくっていう前向きな思いも込めてます。」
目指すのは「人と自然をつなぐビール」。
そのビールが生まれた土地に興味をもってもらえるものを作りたいと考えています。
ビールで森のいまを表現する
7月上旬、新居さんは新しいビール作りのために森へ入りました。森には手入れが行き届かず、杉の木が増えすぎていました。この現状をビールを通して伝えたいと思ったのです。
「ビールの味わいだけじゃなくてその背後にあるメッセージも伝えられるんじゃないかって。」
そこで考えついたのが「森を感じられる」ビールでした。間伐した杉の木をチップにして、醸造中のビールにつけ込みました。
「霧がいっぱいかかった山から持ってきたすごくみずみずしい木なので、ちょっといままでと違う感じになるかもしないです。どんな香りなんだろうって思ってくれたらいいんで。で、また山の仕事とかに興味持つ人が出てきたらいいじゃないですか。」
身近な水の大切さを子どもたちに
新居さんは、地元の子どもたちに身近な水の大切さを伝える活動も行っています。
この日は穴吹川の水を使ってゆずサイダーを作りました。
なんかおいしかった。ここにしかないって思ったら貴重に思いました。
きょうのことを覚えててくれたら大人になってからもっと大きな気づきがあるんじゃないかと思って。世代によっていろんなアプローチがあるんじゃないかなって思ってます。
人と自然をつなぐビール
杉のチップを入れて5日。ビールの味を確かめます。
「けっこうしっかり杉の香りが出て。いつもよりみずみずしい。すごくいいです。これを飲んだ人が新しい気づきとかを持ってくれたら、もっと自然に関心を持ってくれるようなそういう風なものにはなってるんじゃないかなって思います。」
人と自然をビールでつなぎたい。
新居さんの挑戦は始まったばかりです。