部活動のミライ② 「地域移行の課題―人材編」
- 2024年03月19日
部活動の地域移行を進めていくには、指導者や運営スタッフの確保といった「人材」面の課題と、謝礼や施設利用料などの「財源」面の課題があります。
今回は「人材」について、県内で先駆けて取り組んでいる事例と共に考えます。
第1回「部活動の ”地域移行”とは?」はこちらから。
地域で支える、観音寺のマーチングバンド部
観音寺市大野原町にあるマーチングバンド部は、もともと小学校の部活動でしたが、3年前に地域移行して、地域クラブになりました。
小中学生なら誰でも参加できるようになり、中学生が小学生にアドバイスをするなど、新たな繋がりも生まれています。
楽器を吹いているのがかっこいいなと思って。とっても楽しいです
友達もめちゃくちゃ増えました
なかでも大きく変わったのは、指導者の負担が軽くなったことです。
小学校の部活動だった時から指導を続けてきた、長尾美賀子さん。
長尾さんが教員時代、いちばん忙しかった時期のスケジュールです。
部活動の指導時間だけでなく、帰宅後も家事を終えると、会計や大会の申請、保護者への連絡など運営業務に追われる日々。土日も練習や、大会・イベントなどがある日も多く、家族との時間があまり取れなかったといいます。
本当にすることがたくさんあるので、土日もなくずっと働いていたというイメージがありますね。
そこで立ち上がったのが、卒業生の親や退職した先生たち。名付けて「サポート隊」。
長尾さんが1人で担ってきた運営の多くを引き受けました。
わが子がやっていて、すごく成長させてくれたありがたみと、恩返しっていうのがあるかもしれないですね。
例えば大会だけでも、サポート隊の役割はこれだけあります。
10月下旬、全国大会に向けた四国予選の日。
会場に到着して、まず取りかかるのは、楽器の荷降ろし。
楽器を運搬するのは、地元で自動車会社を営む高橋さん。トラックは無償で提供しています。
先生を助けるという意味で(手伝っていて)、毎年(ステージが)出来上がるのが楽しみですね。
他にも、運び入れた楽器を組み立てたり、その場で道具の手直しをしたり、
リハーサルの映像を撮影し、子どもたちの最終調整の手助けをしたり。
本番では、ステージへと楽器を押し出すサポートもします。
サポートも受けてやりきった子どもたち。
金賞を受賞し、全国大会への出場が決まりました。
みんながここまで頑張れたのは協力がいっぱいあったからね。ありがとうございましたって心から。
ありがとうございました!
部活動は運営の仕事が大変
先生たちが担っている部活動の仕事を、「指導」と「運営」で分けるとすると、運営の部分が結構大変なんです。それを地域の皆さんががっちり担っていただけると、先生が指導に専念できるという良さがあります。
土日も出て、大会で審判をしたり、(大会会場の)駐輪場の整備をしたり、先生方は本当に大変なんです。
番組のアンケートにも、運営業務についての負担の声が寄せられました。
「大会の申請や会計の管理など運営面も担うのがきつい。保護者への対応。家族との時間が取れない。」(20代・教員・バレーボール部)
「大会運営にかかる準備(例えば審判の伺いや割当表作成)は、全てボランティアであり、多大な時間と労力を使っているのにも関わらず、何も手当が出ないこと。引き受けざるを得なかった教員の善意により成り立っている。」(30代・教員・バスケットボール部)
教員の負担を減らすためには、地域の大人などが運営を支えていく必要が出てきますが、問題はその財源をどのように確保していくか、ということです。
次回は、その「財源」面の課題について考えます。
※なお掲載している情報は放送当時のものです。