部活動のミライ① 「部活動の”地域移行”とは?」
- 2024年03月19日
汗と涙、青春の思い出、部活動。
そんな部活動が今、少子化や教員の負担・働き方などの課題が重なり、危機的状況にあります。
子どもたちの、「楽しい」、「やりたい」 という思いを守るにはどうすればいいのか。
日本部活動学会を立ち上げ、各地の部活動改革にも携わる、長沼豊さんと共に考えます。
私は、若いころ13年間中学校の教員をしていて、部活動が大好きだったので、顧問を3つ掛け持ちしていたこともありました。
それだけに、部活動が持続可能な形になってもらいたいと思い、いろんなところで提案をしています。
番組が実施したアンケートには、300件近くの声が寄せられました。
「友達がたくさんできた」(10代・小学生)
「みんなで協力して演奏する楽しさを学んだ」(10代・中学生)
「生徒の頑張りが実を結んだ時に、涙が出るほど感動すること。部活動の3年間での生徒の成長と関わりの深さは中学校教員の醍醐味だと思う。」(50代・教員・バスケットボール部)
部活動に対して、やりがいを感じる声が多く寄せられる一方、教員からは負担だという声も届きました。
「週末、自分の子どもの習い事について行ってやれなかったり、習い事を部活があるために制限せざるを得なかったり、心が複雑である。部活動の生徒も見てあげたいし、自分の子供も見てあげたい。心は常に葛藤している。」(40代・教員・柔道部)
「事実上のボランティア。平日はサービス残業。おかげで過労死ラインは余裕で超えてくる。交通費も出ない。究極のブラックです。」(30代・教員・ソフトテニス部)
部活動は、子どもたちが自分の好きなことができて達成感を味わったり、自己肯定感が高まったりしますよね。一緒にやる仲間と共に連帯感を養ったり、チームワークを学ぶこともでき、教育的意義はたくさんあります。
一方で、大変な思いをして、疲弊している先生方もいらっしゃるんです。
教員の部活動に対する手当の実態は、以下の通りです。
平日の部活動は月額給料の4%を「教職調整額」として支給されているので、平日の時間外勤務手当はありません。
休日は、1日あたり3時間程度の活動に対して、2700円が支給されます。
平日は実質サービス残業になっています。休日に関しては、時給に換算すると900円なので、学生さんのアルバイトと変わらない金額ですね。
また、少子化により、県内の中学校の生徒数はこの20年で5000人減少し、1つの学校だけでは活動が成り立たないという部活動も増えています。
こうした状況を改善するため、国は2023年度から3年間を改革推進期間として定め、部活動の地域移行に取り組み始めています。
まずは休日の部活動を学校から切り離し、地域が運営する地域クラブ活動に移行を始め、ゆくゆくは、平日の部活動も地域に移行しようという方針が立てられています。
第2回、第3回の記事では、地域移行を進める中で見えてきた「人材」と「財源」という2つの課題について考えます。
※なお、掲載している情報は放送当時のものです。