毎晩、歯みがきで親子バトル。仕上げみがきを嫌がられてなかなかできない… そんな悩みはありませんか? 歯みがき嫌いの解決策からむし歯予防のアイデアまで、みんなでシェアします。

専門家:
土岐志麻(小児歯科専門医)

歯みがきを嫌がられて、なかなかやらせてもらえない…

毎晩、歯みがきタイムは親子バトルです。ママが仕上げみがきしようとすると、息子(2歳7か月)は激しく抵抗します。パパがやさしく誘っても、「いや!」と言ってたたいてきます。結局最後は、問答無用でおさえつけて仕上げみがきします。口を開こうとしないので、どこを磨いているのかわかりません。歯みがきできるいい方法があったら知りたいです。
(お子さん2歳7か月のママ・パパ)

―― すくすくファミリーのみなさん、歯みがき嫌いをどう解決していましたか?

  • 子どもにパパ・ママの歯を磨かせて、その間に子どもの歯を磨いていました。子ども用電動歯ブラシを導入して、仕上げみがきもスムーズになりました。
  • 好きなキャラクターのシールを貼った手鏡を持たせていました。自分の歯が見えるので興味を持つと思います。
  • 歯みがきやむし歯の本を読んで、理解してもらうようにしました。自分のむし歯治療の写真を見せて「こうなっちゃうよ」と言い聞かせました。

古坂大魔王さん(MC)

私の治療で抜いた歯を娘に見せたらぞっとしていましたね。それからきちんと磨くようになりました。

―― 土岐さん、子どもが歯みがき嫌いのとき、どうしたらいいでしょう?

1度に全部ではなく、1日で考えてもいい

回答:土岐志麻さん

みなさんとても苦労されていますよね。たしかに、寝る前の歯みがきが基本ですが、1度に全ての歯を磨くのは負担になる場合もあります。例えば、上の歯、下の歯、奥歯などで、歯を磨くタイミングを分けて、1日のうちで全ての歯を磨くように考えてもいいと思います。朝や昼など機嫌がよいときがあれば、そのタイミングで磨きにくい場所をきちんと磨くこともポイントです。

鏡は、小児歯科の治療のときにも使う

回答:土岐志麻さん

「鏡を見ながら」という話がありましたが、実は小児歯科の治療でもよく使います。子どもは、何をされているかわからないことを受け入れにくいものです。鏡を使って「今からここを磨くよ」と言って見せてあげることで、受け入れてくれる場合が多いのです。このアイデアは家庭でも使っていただきたいと思います。鏡は、子ども自身が歯みがきを練習するときにも使えます。

―― 乳歯はいずれ永久歯に入れ替わりますが、乳歯のうちから歯みがきをしたほうがいいのでしょうか?

12~13歳ごろまで乳歯を使うことも

回答:土岐志麻さん

例えば、いちばん奥の第二大臼歯まで生え変わるのは12〜13歳ごろで、それまで乳歯を使います。成長過程にしっかりかんで食べて体をつくっていくので、乳歯もきちんと歯みがきしましょう。口腔機能の発達のために乳歯を大切にすることも重要です。


デンタルフロスをはじめてみる

回答:土岐志麻さん

歯ブラシに抵抗がある場合は、デンタルフロスをはじめてみるのもおすすめです。

実は、歯ブラシで磨ける部分は、歯の表面積の6〜7割です(歯の本数によって異なります)。残りの汚れは歯と歯の間にたまります。歯ブラシが通らないので、デンタルフロスで少し磨いてあげると、最も汚れがたまりやすいところをきれいにできます。
特に、歯と歯の間が狭くて、ぴったりついている上の前歯などは、積極的にフロスを使ってください。例えば、歯ブラシでうまく磨けなかったら、3日に1度はフロスだけでもよいかもしれません。ぜひフロスを試してみてください。

鈴木あきえさん(MC)

子どもの歯がビッシリしてるので、歯科医に「フロスを使ったほうがよい」と言われて、フロスを使っています。カラフルなフロスや小さいフロスもあります。子どももフロスが楽しいみたいです。

―― デンタルフロスをやり過ぎて歯の間が広がることはありませんか?

もともと少し動く許容範囲があり、広がることはありません

回答:土岐志麻さん

歯には少し動く許容範囲があります。そこにフロスを通して戻すわけです。それで広がることはありません。

―― デンタルフロスで子どもが痛がらないように、どの程度の力加減がいいでしょう?

歯の丸みに沿わせて入れて側面の汚れをとる

回答:土岐志麻さん

フロスを歯ぐきまで垂直に入れると痛いので、フロスを歯の丸みに沿わせて入れて、側面の汚れを取るようにしましょう。

また、片方の歯の側面をきれいにしたあとに、もう1度同じところにフロスを入れて、反対側の歯の側面の汚れをとります。このようにフロスを2回入れるのが本来の方法です。


授乳中のむし歯が心配… 歯みがきはどうしたらいい?

娘は1歳になり、上の歯4本と下の歯2本が生えそろいました。まずは慣れることを目的に、1日1回、歯ブラシに触れる時間をつくっています。ただ、娘は授乳中で、寝るときにおっぱいが欠かせません。飲んだらそのまま寝てしまうので、むし歯にならないか心配です。授乳中の歯みがきは、どんなタイミングがよいのか迷っています。
(お子さん1歳1か月のママ)

食事の汚れを歯みがきで取ったあとに授乳する

回答:土岐志麻さん

授乳だけがむし歯の原因になるわけではありません。例えば離乳食をはじめていれば、離乳食に含まれる炭水化物などの糖類もむし歯の原因になります。寝る前の授乳が欠かせないのであれば、授乳前に歯みがきをして、いったん離乳食などでたまった汚れをしっかり取っておきましょう。むし歯菌のえさになるものを減らしておくわけです。
私も、添い寝をしながら子どもたちにおっぱいをあげていましたが、その前に歯みがきをしてました。子どもたちがむし歯になったことはありませんでしたよ。

乳歯の磨き方のポイント

解説:土岐志麻さん

歯が生えはじめた赤ちゃんにも汚れを取るには歯ブラシが効果的です。離乳食がはじまったら、少しずつ歯ブラシを使って、歯みがきの習慣をつけましょう。仕上げみがき用の歯ブラシは、ヘッドが小さく、やわらかい毛のものを使います。

磨き方のポイントは「こちょこちょ磨き」です。

乳歯はやわらかいので、力を入れ過ぎず、1本ずつしっかり歯ブラシをあてて、小さく「コチョコチョ」動かしながら磨きます。歯の丸みに沿わせるようにあててください。

歯の裏側も歯ブラシをあて、やさしくかき出すように動かして磨きましょう。

磨く順番は、上の前歯からです。上の前歯は、下の歯に比べると唾液がまわりにくく、むし歯になりやすいんです。長い時間じっとしていられない子どもも、先に気になる汚れを磨いておくと安心です。

赤ちゃんのころから歯みがきに慣れるための準備を

解説:土岐志麻さん

子どもは、歯ブラシなどの知らないものが口の中に入ってくると、拒否反応が起きてしまいます。赤ちゃんのころから口のまわりをマッサージのように触ってあげて、口に中にいろんなものが入ってくることに慣れさせてあげましょう。

特に鼻と上唇の間は、おっぱいを吸うための原始反射があり過敏になっています。10回ぐらい伸ばしたり、少し押さえてあげたりしてください。何歳からでも、気がついたときでよいので、やってみてください。

―― すくすくファミリーのみなさん、どんなむし歯対策をしていますか?

  • 生後9か月のころから、離乳食のあとに口の中を布で拭いています。
  • 水分補給は、基本的に水にしています。
  • ジュースなどは特別な日だけで、おやつは1日1回、15時だけです。
  • 私の歯のメンテナンスと一緒に、赤ちゃん歯科のメンテナンスを受けています。

―― 土岐さん、みなさんの対策を聞いていかがでしょう?

3歳ぐらいまでは甘味料を控えるとよい

回答:土岐志麻さん

子どものむし歯でいちばんの問題になるのは食事の内容です。3歳ぐらいまでは、基本的に甘味料を控えておきましょう。例えば、しっかり歯みがきができてないと思う日は、ジュースをやめてお茶にするなど、食生活の調整が基本になります。

明るい場所でむし歯のチェック

回答:土岐志麻さん

この写真の白く線になっている部分は、汚れではなく、初期のむし歯です。白濁といいます。この状態で放っておくと、むし歯が進行して、白い部分が茶色に変わっていきます。

でも、正しい磨き方やケアをすることによって再石灰化して、むし歯が治り、回復できます。この白濁は薄暗い場所だとわかりにくいので、日中の窓際など、明るい場所で歯みがきをすると気づきやすいと思います。

初期のむし歯はコントロールできる。早めのケアを

回答:土岐志麻さん

初期のむし歯はコントロールできます。早めの受診・ケアをしてください。歯の心配は小児歯科へ相談しましょう。赤ちゃんでも大丈夫です。


むし歯菌は、どうやったらうつるの?

むし歯菌はいるものと考え、食事の調整や歯のケアを怠らない

回答:土岐志麻さん

実は、むし歯菌がどこからくるのか、はっきりわかっていません。みなさんの口の中に持っている常在菌といわれています。
また、むし歯菌があることと、むし歯を発症することは別の問題です。しっかり歯みがきしたり、食べものに気をつけることでケアしていきましょう。


フッ素の効果、歯みがき剤と歯科での塗布の違いは?

歯にフッ素を塗るといいと聞きます。フッ素入りの歯みがき粉もありますが、歯科医にフッ素を塗ってもらう場合とは違いがあるのでしょうか?
(お子さん2歳7か月のママ・パパ)

歯科医が塗るのは高濃度のもの

回答:土岐志麻さん

ここでいうフッ素は、フッ化物と言われています。定期的に、歯にフッ化物を塗ることで、再石灰化により溶けた歯の表面が回復し、歯が強くなります。また、フッ化物が口の中にあると、むし歯菌が活動できないという報告もあります。
市販されている物は低濃度で、歯科医院で定期的に塗るものは高濃度です。定期的に高濃度のフッ化物を塗り、家では低濃度のフッ化物入りの歯みがき粉などでコーティングするのがおすすめです。

家で使うときは用法・用量を守る

回答:土岐志麻さん

子ども用の歯みがき粉は、甘味があって、子どもがたくさん口に入れようとすることがあります。例えば、1本飲んでしまうと急性中毒などの危険があります。家で使うときは用法・用量を守って、子どもの手が届かない場所に保管するようにしましょう。


指しゃぶりは歯並びに影響する?

娘(5歳)は、寝るときにずっと指しゃぶりをしています。指しゃぶりがないと不安で眠れないかもしれないので、言い過ぎもよくないと思っています。ただ、指しゃぶりが歯並びに影響しないか心配です。もうすぐ小学生なので、やめさせたほうがいいのか悩んでいます。
(お子さん5歳のママ)

永久歯に生え変わるまでにやめられれば大きな影響はない

回答:土岐志麻さん

強制して止めるのは難しいと思います。例えば、指しゃぶりをやめさせても、違うくせに移行することが多いのです。例えば、歯みがきの絵本のように、指しゃぶりをやめる絵本もあります。5歳ぐらいであれば、その方法もひとつだと思います。
かみ合わせについては、永久歯に生え変わるまでにやめられれば大きな影響はないといわれています。それまでに、自分からやめられるような環境づくり・意識づくりをしてあげましょう。
例えば、「6歳の誕生日になったらちょっとやめてみる?」ぐらいの目標の設定をしてあげると、やめようとする子どももいます。今は指しゃぶりしてもいいと考えて、無理に指を抜いたり、「やめろ」と言ったりせず、見守ってあげましょう。


こどものホンネ
先生のこと、どう思う?

子育てでわからないことは、子どもに直接聞いてみよう!

「こどものホンネ」のコーナーでは、SNSの子育て動画で人気の木下ゆーきさんがホンネハンターになって、「こどものホンネ」に迫ります。今回は「先生」について、保育園、年長さんの子どもたちに聞いてきました!

―― みんなの先生(りこ先生・あけみ先生)の、どんなところが好き?

  • 優しいときかな。
  • 優しいときと、怒っているときと、泣いているとき。全部好き。
  • 笑顔のところが好き。かわいい。

―― いちばん好きなところは?

  • ハグしてくれるところ。
  • 僕は自分からぎゅーとやってる。
  • 恥ずかしくて自分からぎゅーとできない。でも、あけみ先生なら甘やかされてもいい。歯がぐらぐらしてるときに、ごはんを食べさせてくれたから。

―― 大きくなったら、保育園の先生になりたいと思う子はいますか?

  • なりたい。りこ先生を見て思った。折り紙を教えてくれたから。昔は宇宙飛行士だったけど、先生を見て保育園の先生になりたいと思った。

―― 「先生すごい!」と思うところを教えて。

  • みんながケンカしたとき、こうしたらいいんじゃないとか、いろいろ考えてくれる。
  • 嫌なことがあって、自分たちで解決してって言われたけど、できなくて声をかけたら「わかった」と言って解決してくれる。

―― 先生に伝えたいメッセージを教えて。

  • いつも世話してくれて、ありがとう。
  • 悪いことをしたときに、解決してくれてありがとうございました。
  • 覚えていてくれたらうれしいから、ずっと忘れないでね。
  • 小学校に行っても忘れないよ。大好き。

みんな、先生が大好きなんですね。子どもたちの先生への愛に胸が熱くなるホンネでした。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです