誤飲、やけど、ケガ。子どもに、もしものことがあったとき、どうすればいいのでしょうか? 飯村知広さんに、いざというときの対応と応急手当について教えてもらいました。
今回は、家庭で多いケガの応急手当です。

講師:
飯村知広(チャイルド・ライフェス横浜 小児救急看護認定看護師)
保護者が応急手当の方法を知っておくことで、もしものときもしっかり対処できるようになります。

やけど

やけどは、自分で動き回れるようになる1歳ごろから増えます。原因として多いのは、熱い飲み物、炊飯器や電気ケトルの蒸気などです。皮膚が薄く弱い子どもは、大人よりも重症化しやすいのです。

やけどの応急手当

やけどの応急手当は、とにかくすぐ冷やすこと。流水で10~20分、痛みがなくなるまで冷やします。

服の上から熱湯をかぶったときなどは、服を着たまま流水をあてます。無理に脱がせると、皮膚がはがれることがあるのです。
体の小さい子どもは低体温になりやすいので、冷却中は意識の変化にも注意しましょう。

救急車を呼ぶ目安

次のような場合は、救急車を呼ぶことを考えてください。

  • やけどの範囲が広い
    保護者が「これはちょっと範囲が広いな」「ひどいな」と感じるとき。

  • 顔のやけど
    顔のやけどの場合は、時間がたってひどくなってしまうことがあります。やけどの跡が残ってしまうこともあります。

  • 皮膚の色が白い・黒いやけど
    やけどした部分の皮膚の色が白く(黒く)なっている場合は、119番通報をしてください。


頭をぶつけた

子どもにもっとも多い事故は「落ちる・ころぶ」で、特に頭をぶつけると心配です。

こんなときはすぐ救急車

次のような症状がみられたら、救急車を呼んでください。

  • 意識がない
  • 大量の出血
  • だんだんぐったりしてきたとき
  • 衝撃が大きかった/1m以上の高さからの転落、コンクリートなどかたい場所にぶつけた、交通事故など

「頭をぶつけたとき、すぐに泣いたら大丈夫」と聞くことがありますが、安心とは限りません。症状は3時間以内に出ることが多いのですが、24時間は変化をよく観察するようにしてください。

頭をぶつけたときの応急手当

出血がある場合、ガーゼやハンカチで傷口を強く圧迫して、10分以上止血します。

出血がないときは、氷のうなどで10~20分冷やしましょう。


切り傷・鼻血

こんなときはすぐ救急車

次のような場合は、救急車を呼んでください。

  • 切り傷:傷が大きく、出血が大量で止まらない
  • 鼻血:止血しても15分ほど出血が止まらないとき、呼吸が苦しくなったとき

切り傷の応急手当

流水で傷口をよく洗い、汚れを落とします。消毒液を使うと、傷を治す組織にもダメージを与えてしまうことがあるので、最近は使いません。

出血が止まらない場合は、ガーゼやハンカチで10分ほど強く圧迫して止血します。

血が止まってから、ばんそうこうなどを貼りましょう。

鼻血の応急手当

指で小鼻を押さえ、およそ10分間止血します。途中でやめると、ふたたび出血することもあるので、指を離さないようにしましょう。
ティッシュや脱脂綿は使いません。鼻の中に入れると、奥まで入って取れなくなったり、傷口を余計に傷つけてしまうことがあるためです。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです