子どもって何歳くらいから友だちと遊べるの?
知らない子が公園にいると、一緒に遊べない。
この先、幼稚園や小学校で友だちができるかな?
子どもの友だち関係が広がっていく時期、親はどう関わればいいのでしょうか?

どうする? 子どもの友だちづくり

専門家:
坂上裕子(青山学院大学 教育人間科学部 准教授/発達心理学)
柴田愛子(保育施設代表)

他の子と接する機会が少ない。コミュニケーション能力の発達が心配

保育園に通っていないので、他の子に比べて社会性やコミュニケーション能力などの発達が遅くなってしまわないかと心配しています。同じ年齢の子どもと遊ばせるようにしたほうがいいのでしょうか。
(1歳 男の子のママ)

今は、親や大人との信頼感を積み重ねる時期。焦らなくても大丈夫です。

回答:坂上裕子さん

1歳ごろは、パパやママ、信頼できる大人との間でやり取りを楽しんだり、「自分がこんなふうに行動したら、相手はこんなふうに関わってくれるんだな」ということを体験しながら、信頼感を積み重ねていく時期です。まだ対人関係の土台を作っている途中ですので、焦らなくても大丈夫ですよ。

守られているという安心感をベースにして、少しずつ興味が外に向いていきます。

回答:柴田愛子さん

児童館などに遊びに行くのもいいと思いますが、この時期、まずは「自分はこれが好き」「これ面白い!」「あそこに行ってみたい!」という自分の意思を伸ばすことが大事です。お友だちとの関係は、そんなに急がなくてもいい。パパやママとのコミュニケーションで十分です。守られているという安心感をベースにして、少しずつ興味が外に向いていきますよ。


何歳くらいから他の子と遊ぶようになるの?

子どもは何歳くらいから他の子と遊ぶようになるのでしょうか。1~2歳くらいではお友だちと遊べなくても大丈夫ですか?

発達とともに変わる子どもの人間関係

子どもの人間関係は、発達とともに変化していきます。
どのように変わっていくのか、子どもたちが遊んでいる様子を見ながら確認してみましょう。

1歳に満たない時期は、親や保育士など、大人と遊ぶ時期。
葉っぱで遊びながら保育士とコミュニケーションをとっています。

1歳くらいになると、他の子の様子を眺めたり、使っているおもちゃが気になったりして、友だちの存在を意識し始めます。でもまだ「一緒に遊ぶ」ことはほとんどありません。
あくまでも遊びの中心は「自分の興味があるもの」です。
右の場面では、石が入っているペットボトルを倒すと「からら〜ん」といい音がするので夢中になっています。

2歳くらいになると、同年代の子どもに関心を示し始めます。同じ場所で、一緒に同じことをして遊ぶのが楽しい時期です。
でも、他の子と上手にやりとりをすることはまだ難しく、トラブルになることも多いころです。

3歳くらいになると、他の子と楽しさを共感できるようになり、「ごっこ遊び」が始まります。
でも、友だちの思いをくみ取ったり、自分の気持ちを調整しながら遊んだりすることは、まだ難しいといわれています。

4歳くらいになると、おもちゃの貸し借り、遊びの順番待ちなど、社会的なルールへの理解が始まります。
自分とは違う人の視点で、ものごとを考えられるようになり、自分の考えもある程度、言葉で伝えられるようになるといわれています。


友だちと楽しく過ごすのは3~4歳くらいから。一人遊びも大事にしてあげましょう。

回答:坂上裕子さん

1~2歳の時期は、夢中になるモノがあるときには、とにかくまずはそのモノについてじっくり楽しむことに一生懸命です。そして、そのときには周りの人にもあまり目が向きません。でもそれも、子どもにとってはとても大事な遊びの時間の一つですから、大事にしてあげたいですね。
他の子と一緒に楽しく過ごすことができるのは3~4歳くらいからです。しかし、子どもが思う「友だちと遊ぶ」という状態は、みなさんが考えているものとは少し異なるかもしれません。大人は、「友だちと遊ぶ」というと、言葉でやり取りをしたり、物の貸し借りをしたりすることをイメージしますが、子どもは発達段階によってそれぞれの遊び方があり、友だちとの関わり方が変化していきます。

子どもは「友だち」と意識しなくても、一人遊びから発展して関わりが生まれます。

回答:柴田愛子さん

「遊ぼう?」「いいよ」「貸して」「どうぞ」などのやりとりがあってこそコミュニケーションだと思いがちですが、1~2歳の頃は、そういうやりとりがなくても、人が遊んでいる様子を横目でチラッと見て、そこから刺激をもらい、遊びが豊かになっていくことがあります。一緒に遊んでいるように見えなくても、周りの刺激があることで、その子の遊びが豊かになっていくのです。そして、その遊びから発展して子ども同士の関わりが生まれていきます。子ども自身は、「友だち」とは意識せず、「その場に一緒にいる子」くらいにしか思っていないかもしれません。


3歳を過ぎても知らない子がいると一緒に遊べません。このままで大丈夫?

3歳半の娘がいます。家族の中では楽しそうに遊んでいますが、外に行くと声が小さくなってしまいます。保育園でも特定の子としか遊べません。公園などに行っても、私と二人で歩いているときは歌を歌ったりおしゃべりをしたりするのですが、他の子がいると急に静かになって帰りたがったり、他の子が来ると遊ぶのをやめて「おうちに帰る」と言ったりします。3歳を過ぎていますが、このままで大丈夫なのかと悩んでいます。
(3歳6か月 女の子のママ)

焦って親のペースで声をかけず、その子が動き出すのを待ってみましょう。

回答:柴田愛子さん

時期にもよりますが、遊びに興味がある子と、人に興味がある子がいます。今、お子さんが何に興味を持っているかをよく見てあげてください。自分が興味を持ったことを自分のペースでやりたいのではないかと思います。
新しい場所に行って知らない人がいると、誰でも少し萎縮してしまいますね。大人だってそうです。そういう時は、何に興味があるのかな、どこから心を開く隙間を作っていこうかな、と観察するしかありません。
公園に行くと、親は、「せっかく来たのだから遊んでほしい」「滑り台をしてほしい」などと思い、子どもが動き出す前に声をかけてしまいます。その気持ちもよくわかりますが、お子さんはきっと、「ここはどういうところなの?」「初めて見るあの子は大丈夫かな?」と、慎重に様子を見ているところです。自分なりに安心できて初めて、ようやく一歩を踏み出すので、そのためにはやはりある程度の時間が必要です。表情や体が硬い間は、遊びに誘われるのも嫌がります。楽しそうな表情になる瞬間を見逃さず、そのときに少しはたらきかけてみるといいかもしれません。
自分から楽しい遊びを見つけて少し動き出すと、どんどん心を開いて、他の子がいても楽しく遊べるようになりますよ。


子どものペースを見守るってどういうこと?

主役は大人ではなく、子ども自身。その子がどうしたいかを見てみましょう。

回答:柴田愛子さん

大人が主役ではなく、「子ども自身が主役」だととらえましょう。
子ども自身が遊びたければ遊べばいいし、今日は見るだけにしたいなと思っているなら、見るだけでもいい。その子自身がどう感じているか、どうしたいかを、まずは見てみましょう。

「ここにいるから大丈夫よ」というサインを送りましょう。

回答:坂上裕子さん

お子さんが初めての場所や知らない人の前で、緊張したり警戒したりしているとき、親は、「私はここにいるから大丈夫よ」というサインをお子さんに送ってあげてください。
それは、遊び方に手出しをしたり、口出しをしたりするということではなく、「お母さん(お父さん)は、ちゃんとここにいるから大丈夫」という気持ちを込めて、そっと手を握り、じっと見守っているだけでいいと思います。親の存在感がしっかりと子どもに伝わる形で何も言わずに見ているだけで、親ができることとしては十分だと思います。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

友だちは「できる」もの。「つくる」ものではありません。

柴田愛子さん

「友だち、つくらなくちゃ」と、強迫観念のように思われる方もありますが、友だちは、遊んでいるうちにだんだんできるものであって、つくるものではないと思います。だから大丈夫。友だちはできますよ。

子どもが自分で友だちをつくりたいと思うまで見守る。

坂上裕子さん

子どもは、「自分でいい方向に変わっていきたい」という思いを持っています。自分で「もっと友だちをつくりたいな」とか、「こういう自分を変えていきたいな」と思う時期が必ず来ると思うので、長い目で見守ってあげてほしいと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです