NHKスペシャル

病の起源 第3集 腰痛
~それは二足歩行の宿命か?~

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8割もの人が一生に一度は患うと言われる腰痛。古代シリアの農耕遺跡から出土する変形した腰の骨は、人間は昔から腰痛に苦しんでいたことを示している。
腰痛は、二足で立ち上がった人間の宿命なのか?アフリカで今なお狩猟採集の生活を送っているハザ族を調べると、腰痛は見つからない。腰痛は、人間が長距離を歩くことをやめ重労働の農耕を始めて以降、急速に増え出したと考えられている。原因と考えられているのは、十代のときに始まる椎間板の劣化である。椎間板は、歩くことなどによって適度の圧力が加われば、劣化が進みにくいが、反対に過度の圧力が加われば、劣化は進んでしまう。劣化が進めば、椎間板の周辺部にまで損傷が広がり、様々なタイプの腰痛を生んでしまうのである。人間が腰に弱点を抱え込んでいることは否定できない。
そして今、骨にも椎間板にも異常が見られないにもかかわらず、激しい腰の痛みを訴えるケースが問題になっている。患者は、原因が分からないまま様々な治療を放浪することになる。最近、その現代の腰痛を引き起こす意外な原因が明らかになってきた。痛みは腰ではなく脳の中で作られていた。大きな原因はストレスと考えられている。ストレスは、どのようなメカニズムで人間の弱点の腰を襲うのか、時代を映す鏡のような病、腰痛の正体に迫る。

  • 柄本明