NHKスペシャル

沸騰都市 第4回 イスタンブール 激突 ヨーロッパかイスラムか

アジアとヨーロッパの境界線、イスタンブールのボスポラス海峡。原油を満載したタンカーが、昼夜絶え間なく航行し続ける。東西の十字路に位置する歴史的なこの都市は、好調なヨーロッパ向けの製品輸出を受け、多数の外国企業が進出を果たし、この数年で急速な経済成長を遂げた。ファッション、音楽、若者がひしめく街の様子は西洋の都市となんら変わりがない。

しかし、いま、この都市が、ヨーロッパとイスラムの間で大きく揺れている。スカーフ着用の解禁案に始まったイスラム系与党と、政教分離を求める世俗派の対立が激しさを増しているのだ。実は、経済の分野でも2つの勢力がイスタンブールでせめぎ合っている。

西=ヨーロッパを向き、EUへの加盟を果たすことが成長の唯一の道だと主張する既存勢力の大企業経営者たち。イスラムのうねりは、混乱を生み出すだけだと批判する。一方で、東=イスラムと向き会い、アラブ諸国とのつながりを大切にすることが、我々の取るべき道であるという新興の企業家たちも着実に力をつけてきた。

東西に延びる2つの力。東西の十字路に位置するイスタンブール、混沌の中で勃興する新たなうねりを描く。