NHKスペシャル

沸騰都市 第2回 ロンドン 世界の首都を奪還せよ

今ロンドンが、「世界の首都」の地位をニューヨークから奪い返しつつある。
数年前まで多国籍企業は、NY証券取引所で上場するのが常だったが、今や多くの企業がロンドンに押し寄せる。外国為替や外国株式の取引量もロンドンがNYを抜き去った。

ロンドン復活の大きな要因は、インド、ロシア、中国、中東など新興国との結びつきを深めたことにある。同時多発テロ以降、規制が厳しくなったアメリカを嫌った企業・資本・人材が、市場開放を売り物にするロンドンに一気に方向を変え流れ込んだのだ。
その象徴がサッカーの世界最高峰、プレミアリーグだ。ロシアやアジアの富豪が名門チームを次々と買収。莫大な資金力を背景に有名な外国人の選手や監督を獲得し、リーグを大いに沸かせている。今や、半数近くのチームが外国人のオーナーとなった。

テムズ川沿いのモスクワといわれる地区に集まる多くのロシア人富豪たち、ロンドンに次々と進出するインド系企業、なだれ込むポーランド人労働者など、ロンドンは多国籍のエネルギーに満ちている。

自前の成長エンジンをあきらめ、新興国のエンジンを使うことで復活をとげたロンドン。グローバリズムを主導しながら、その精神を失いつつあるニューヨークから主役の座を奪い返そうとしている。グローバリズム主役交代のうねりを描く。