ページの本文へ

かながわ情報羅針盤

  1. 首都圏ナビ
  2. かながわ情報羅針盤
  3. 夏の甲子園優勝の慶応監督・主将に坂本有花キャスターが聞く

夏の甲子園優勝の慶応監督・主将に坂本有花キャスターが聞く

  • 2023年9月4日
右から慶応高校・森林貴彦監督、大村昊澄キャプテン、坂本有花キャスター

夏の全国高校野球で107年ぶりの優勝を果たした慶応高校の森林貴彦監督と大村昊澄キャプテンにインタビュー!「エンジョイ・ベースボール」や「今後の抱負」について伺いました。全文をご紹介します。

(横浜放送局キャスター・坂本有花/記者・高橋哉至)

決勝戦をVTRで振り返る森林監督と大村選手

107年ぶりの夏の甲子園優勝 監督とキャプテンの思いは

坂本キャスター

優勝おめでとうございます。すてきなメダルをご持参いただきましたが、メダルをかけられた時はどんなお気持ちでしたか?

大村昊澄選手
大村選手

ずっと日本一を目指してやってきて、本当にメダルをかけられた瞬間は何かいままで辛かったこととか、しんどかったことももちろんいっぱいあったんですけど、それをすべて忘れて、いままでやってきてよかったなという気持ちになりました。

森林貴彦監督
森林監督

私は閉会式ではかけてもらえないので、いつもらえるのかなと思いながら選手を見てて、後でちゃんと届いたので安心しました(笑)。このメダルをかけられるのは全国で一校だけなので、そういった意味では本当の重み以上の重みを感じながらメダルをかけさせてもらいました。

周りの方々の反応はいかがでしたか?

本当に多くの方からお祝いとかお礼とかそういったかたちで連絡をいただいて、どれだけたくさんの人に応援していただいたのか、支えてもらったのかを改めて感じています。

本当にチームの雰囲気のよさとか盛り上がる感じがこの試合に詰まっていたなと感じましたが、決勝戦を振り返って大村選手と森林監督はどのように感じていますか?

楽しかったのひと言に尽きるかなと思っています。 「エンジョイ・ベースボール」というのを掲げてやってきて、もうそれをまさに言葉通り、表現した試合だったなと思っています。ずっと日本一という目標を掲げて、宣言してやってきたので、いろいろプレッシャーに感じる部分がありましたし、いろいろ厳しい練習があったり、厳しい思いをしたりしたこともあったんですけど、そういう思いも全部この瞬間のためにあったんだなと思いました。

この決勝戦を迎えるにあたって、本当にシナリオができすぎたぐらいのシナリオだなと感じてまして、春の選抜大会で仙台育英さんに負けて、その仙台育英さんの投手力とか守備力をどうやって突破して、なんとか夏もう一度仙台育英さんとやりたいと、できれば決勝戦でやりたいと思いながら、選手たちはみんな練習を頑張ってきたので、本当に夏の決勝戦が仙台育英さんとやるということになって、まずはもうそこでできすぎた話だなと思いました。そして、うちは107年ぶりの優勝を目指し、仙台育英さんは2連覇を目指してどちらが実現するのかという試合で、私が客観的な別の第三者の立場だったとしても、楽しみな試合だなと。そういう試合に自分たちが出場できるということがなによりもうれしい、楽しい、ワクワクする、そういう気持ちで臨みました。

シナリオどおりということばがありましたが、大村選手もマンガみたいな展開だとおっしゃってましたよね。仙台育英と決勝で戦うと決まったときはどうでしたか?

仙台育英高校さんの山田キャプテンとも抽選会の時に、「決勝でやれたらいいね」と会話をしていて、本当に実現してすごいなと感じました。

どういうところを春から磨いてこの夏に向けて練習されてきたんですか?

仙台育英さんのピッチャーは本当に素晴らしいピッチャーが何人もいるので、バッターとしてはとにかく1球の甘い球をしとめる、1球でしとめるという集中力を持つように練習してきましたし、そのための技術を磨いてきたというところだったので、それがどれだけ通用するのかというのを試す最高の舞台が最後に整ったわけですから、決勝戦は本当に楽しみな試合でした。

甲子園優勝は、神奈川大会から含めると12連勝でしたよね。 印象に残っている試合はありますか?

まず横浜高校戦、県大会の決勝。本当にあの試合は正直きつかったんですけど、でも、その優勝インタビューで言ったとおり、本当に野球の神様っているんだなという気持ちになりましたし、しんどい展開ではあったんですけど、選手誰一人あきらめてなくて、最後までいい表情してやるべきことをやっていれば、必ず神様は見てくれてるからと声をかけて、そしたら本当にそのことばどおりになって、野球の神様っているんだなというような試合でした。甲子園は比較的自分たちの応援がすごいなと感じる試合が多かったんですけど、でもあの試合は逆で、横浜高校の雰囲気になりかけている横浜スタジアムだったので、その雰囲気の中ではやりにくい雰囲気だったですし、どちらかといえば、横浜高校の優勝を望んでいる人が多いだろうなという雰囲気の中で、言ってしまえば、アウェーという中でプレーするのもしんどかったですし、最終回のあの場面までビハインドという展開ももちろん厳しかったですし、そういういろいろな面で厳しいところはありました。

私は県大会の決勝を現地で見させていただいたのですが、横浜高校との厳しい試合の中でもみなさんの笑顔というのがすごく印象的でした。苦しい展開でも笑顔でいつづけられる理由は何かありますか?

厳しい試合ではあるんですけど、でもそれ以上に楽しいという思いが強くて、甲子園を懸けた勝負をこんな満員の横浜スタジアムで、横浜高校というもう本当に最高の相手とやれているという今のこの瞬間が楽しくてしかたなくて、厳しい思いもありましたけど、その何倍も何倍も楽しい思いのほうが強くて、笑顔でいられました。

こだわり続けた“エンジョイ・ベースボール” その真意は

楽しいということばがありましたが、森林監督にお伺いしたいのですが、「エンジョイ・ベースボール」の概念を改めて教えていただけますか。

「エンジョイ・ベースボール」というのはいろいろな考え方もありますし、慶応にはもともと底流としてあるような考え方で、それぞれの監督が解釈しながらやって来てるんですが、私自身は、野球を楽しむ。その野球も少しでもレベルが高い野球を楽しむ。楽しむためには当然、レベルを上げていくためには、厳しい練習もしなければいけないし、自分の課題もクリアしていかなければならないし、地道な練習の積み重ねの先にレベルが高い野球ができる、あるいは甲子園という高いステージで、そして仙台育英さんとかいろいろなすばらしい相手と試合ができる。そういう勝負ができるということ自体が楽しいんだと。ですからレベルの高い野球を楽しもうというような意識で捉えていますので、ただ今の力で負けても勝ってもニコニコ笑ってやればいいなというのは全然なくて、その裏にはやっぱり本当に努力を積み重ねてレベルをあげていかなきゃいけないと。そうしないと本当に楽しめないよというような意識で選手たちと一緒に練習してきました。

森林監督がおっしゃったように負けてもヘラヘラするという感じではなくて、心の底から楽しむってすごく難しいことじゃないですか? 選手たちよく体現されてますよね。

そうですね。そこまでの道のりの中で彼らがやって来たこと、それが自信になりそして実力になり、だからこそこの舞台で、いい顔して笑顔であったり、あるいは前向きな顔であったり明るい顔であったり、そういう顔で野球ができたんだと思いますので、まさに「エンジョイ・ベースボール」でやりたかったことを体現してくれた選手たちには本当に感謝してますし、誇りに思います。

「エンジョイ・ベースボール」の森林監督の原点はどういうところにあるのですか?

私は慶応義塾の中学校に入学して、そこで野球部に入って、その後、高校で野球をやったのですが、私が高校のときの監督も、この「エンジョイ・ベースボール」という考え方でしたし、その源流は、以前、大学で監督をされた前田祐吉さん(元慶応大学野球部監督)だと思うんですが、人の言いなりになるだけじゃなくて、やっぱり自分の頭で考えるとか、それから野球というスポーツそのものを楽しむとか、そういった姿勢というのは、代々の指導者の方からずっと受け継いできてるものなので、私も中学高校と野球をやりながら、そういった考えに至りましたし、大学生で後輩のコーチをしながら、あるいはほかのチームを見ながら、やっぱりこっちの考え方のほうが、私はいいんじゃないかと思ってますし、こういう考え方で野球をやるっていうことを世に広めていく必要もあるなと、そう考えてきました。中学高校で野球をやり、大学生でコーチをやり、そのあとまた別の大学院にスポーツの勉強とかをしにいった時にも、ほかのスポーツとの関係の中でもやはり野球の常識と思ってることは、結構、ほかのスポーツから見ると非常識みたいな部分もあって、やはり野球をよりよい方向に変えていくためには、今までよしとされてきたやり方だけではなくて、新しい風を吹かせるというか、新しい考え方を広めていくってことも必要だなと。もちろん今までどおりの野球もあってもいいですし、でもいろいろな野球があることで、高校野球の幅が、あるいは野球、スポーツの幅が広がっていくんじゃないかなというのはずっと考えてやってきたことですね。

この「エンジョイ・ベースボール」は優勝されたことで何か森林監督の中では変わりましたか?

あれだけの大舞台で大観衆の中で、そして前年優勝校と決勝をやらせてもらって、本当にエンジョイできましたし、試合の中でちょっと不思議な感覚だったんですけれど、もちろん試合なので勝ちたいですし、リードしている状況だったら早く試合が終わってほしい、早く勝ちたいという気持ちがある一方で、何かこう不思議なんですけど、ずっと野球をやっていたいなというか。もうこのチームとして最後の試合ですから、この試合が終わってほしくないなって、ずっとこういうすばらしい相手と、こういうすばらしい舞台でずっと野球できたら楽しいなという感覚もありまして。何かこういう感覚って本当に野球を純粋に楽しめてる状態なのかなと。勝負をちょっと超えた、超越したような感覚を得ることができたので、この「エンジョイ・ベースボール」というのが、またこの先どうやって進化していくのか、あるいはもう1度、目の前の選手と、2年生1年生とですね、もしかすると、また一段下がったところから始めなきゃいけないかもしれないんですけれども、これをまさに追求していくということが今後の役目だなと改めて感じました。

大切にした“自主性” 成長を信じた監督とそれに応えた選手たち

大村選手と森林監督

指導する上でかなり自主性ということも大切にされていると思うんですがその自主性を選手たちに育んでもらう上で大切にしてることはありますか?

やはり自分たちで野球が好きで野球部に入ってきてるので、せっかく好きなことやってるんだから自分でうまくなるためにはどうしたらいいかなとか、強くなるためは自分たちでなにをしたほうがいいかなということは考えるという部分は取っておきたいなと。ですから、もちろんこちらから提案するあるいはやってもらう、場合によっては強制するというところもありますけれども、それが全てではなくて、やはり自分で決めるとか自分で考えるという余地を残すようには心がけてきました

その考える余地を残すバランスと指導するバランスはすごく難しいと思うのですが、選手たちとどのように接しようと考えられていますか?

そうですね。そのバランスが確かに難しくて私の中でもまだ答えはないですし、ことしうまくいったからといって来年うまくいくともかぎりませんし、そのときそのときの選手やチームの状況を見ながら変えていくしかないと思うんですが、ただ、やはり選手たちがもっと野球を好きになるとか、野球をやってて楽しいとかまたグラウンドで練習したいなと思うためには、やはり自分一人一人の野球というものを追求する気持ちは忘れてほしくないので、ですから全部手とり足とりとか全部言ったとおりに目の前で管理していこう、やらせたいという思いは私はないので、一人一人が自分の野球を追求してほしいという気持ちをど真ん中に置いて接するようにはしてます。

ことしのチームでいうと、甲子園決勝戦の仙台育英の橋本選手を抑えたところを自主性のポイントとして挙げられていたんですがバッテリーの自主性・成長はどういったところだったとお感じですか?

ピッチャーとキャッチャーでどんな球を投げたらこのバッターを抑えられるかというのは高校生で判断していくのは非常に難しくて、多くの指導者はそこを悩みまして、指導者からある程度サインを出すとか、配球のパターンを決めるとか、そのようなことは多いと思うんですが、ただこの夏に関してはピッチャーとキャッチャーの共同作業の中で、どんなを球投げたらいいかという選択がベンチから見てても間違いはないと思っていましたし、逆に彼らの感覚を尊重したほうが、ベンチから監督が余計なこと言わないほうがうまくいくなという確信は夏の県大会の途中から得ていたので、そこはもう完全に任せてましたし、そのとおりのすばらしい配球をどの試合でもしてくれたので、大したもんだなと思って見てました。

かなり信頼されてるというのが伝わってきますね。選手と監督との間に信頼関係が成り立ってるんだなというのをすごく感じました。 大村選手はその自主性・成長についてどのようにお考えですか?

自分は人に与えられる答えよりも自分で導き出した答えの方が最終的に見たら成長できるなと感じていて、高校野球とかそれ以外においても「これをしなさい」とか「これが正解ですよ」って言われてやるのはすごく簡単だし、特に高校野球においては、チームを運営する上ではすごく簡単だとは思うんですけど、そうじゃなくて森林さんは高校野球だけじゃなくてこれから先の人生を見据えてという意味での高校野球をやらせてくれてるので、その中でやっぱり自分でこう悩んで、試行錯誤して、それで得た答えっていうのはやっぱりすごく貴重なものですし、そういう経験自体がやっぱり人として成長できるなと感じているので、それが高校野球だけじゃなくてこれから先社会に出てからとかこれから先の人生を長い目で見た時に、その経験が必ず生きてくると思うのでそういう人生においての勉強も野球部でさせて頂いてるなと感じています。

大村選手の自主性で言うと、すごく言葉の選び方がすてきだなと私は感じています。例えば野球の神様がいるとか、あと神奈川県大会の横浜高校との対戦で最後9回マウンドに上がりましたよね。その時、みんなに甲子園に行こうって、すごくいい表情で言われてたのが印象的でそういうのもやっぱり自分で考えて言葉を紡いでるんですか。

そうですね。自分で頭の中に浮かんできたことばを素直に伝えようという気持ちでいます。

大村選手はこの夏、チームとしてここは「自主性が出た」とか「成長したな」と感じたところはありましたか?

一番感じたのは雰囲気で、県大会はもう、まだまだ成長できる部分いっぱいあるなというふうに思っていて、一部の人しか声出さなかったりとか、盛り上げるのも自分とか森林さんが「元気出していこうよ」と言ったときに盛り上がるみたいな部分が多かったんですけど、でも試合を重ねるごとにいろいろ選手が、日替わりで「ここ頑張ろうよ」とかそういう声がどんどんどんどん増えていって、自分たちでここが重要な場面だなとかここは盛り上がるべきだなとかここはこういう声掛けするべきだなというのを、試合を通して学んでいって、自分で頭を使って、しっかりそれをことばにして、伝えてるというところが印象的だったので、 そこが一番自主性とか今までやって来た野球が表れた瞬間なのかなと思っています。

森林監督が掲げていらっしゃる「エンジョイ・ベースボール」というのは、より高みで楽しむということで、勝利を目指すこととのバランスは難しいと思います。どのように指導するように心がけていらっしゃるのですか?

非常に難しいところです。やっぱりスポーツですから、勝利を目指すというのも大前提なんですね。目指さないと相手も楽しくないですし、自分たちだって楽しくない。ですから勝利を目指すんですけど、でもその勝利を目指す時に、じゃあなりふり構わずどんな手段を使ってもいいのかとかってことではなくて、ルールやマナーを守るとか、スポーツマンシップにのっとってやるとか、そういう勝ち方を自分たちでイメージしながらやるということが大事で、勝利ということだけをこう求めちゃうと、まさに勝利至上主義ということになってしまうので、私どもで考えているのは、やっぱり一人一人が選手として成長するとか、チームとして成長する。それを追い求めていくと、結果的には勝利にも近づくよねということで考えています。ですから甲子園でも、鈴木佳門を準々決勝や決勝で先発させましたが、それもやはり彼の成長のため、あるいは彼を含めた投手陣の成長のため、チームの成長のためにはそちらがいいと思って判断したので、そういうふうに一人一人の成長を願うという「成長至上主義」と掲げていますが、そういうことが最終的には勝利にも近づくんじゃないかなと。ですから、「勝利と成長」、あるいは「勝利と育成」ということは、うまくバランスをとれば両立できるんじゃないかなというのが、今、考えていることです。

“日本一の主将”へ “高校野球を変える”キャプテンの思い

大村選手にお伺いしたいのですが、帽子のつばに「日本一の主将」と書いてありますよね。その「日本一の主将」になるために何か気をつけたことはありますか?

自分は慶応大学からトヨタ自動車でされている福井章吾さん(元慶応大学野球部主将)のキャプテンシーにすごく憧れていて、その福井さんとお話をさせていただいたときに、「キャプテンでチームは変わるぞ」というふうに言っていただいて、そのこともすごく大事にしていて、実際、1年間キャプテンという役目を務めてきた中で、やっぱり自分が暗い表情をしたりとか、自分が悩んでたら本当にそれがチームに反映されて、チームもよくない状況にいくし、逆に自分が明るく前向きに声をかけ続ければ、自分が頑張れば、本当にチームがいい方向に進んでいったなと感じているので、本当に、自分の調子とか、野球の調子とかだけじゃなくて、常にこう明るく、チームの先頭に立っているんだという自覚を持ってふるまうのが、それがきつい時ももちろんあったんですけど、でも自分が日本一のキャプテンになれれば絶対にこのチームを日本一に導けると信じていたので、そういうつらい思いとかも我慢してというか、乗り越えて、今があるかなと思っています。

「日本一の主将」をつかみとりましたね。高校野球を変えるということばもあったと思うのですが、大村選手は優勝して高校野球を変えられたなという実感はありますか?

高校野球が変わるきっかけを与えられたんじゃないかなと思っていて、何を変えたいかということではなくて、やっぱり自分たちみたいに「エンジョイ・ベースボール」と掲げて、野球そのものを楽しむ、明るくやるという高校がもちろんあってもいいし、言い方が悪いかもしれませんが、管理された中でやる野球が正解かもしれないし、いろいろな高校野球のあり方があっていいと思うし、それが認められるべきだと自分は考えているので、いろいろな多様性が重視される世の中で高校野球も1つの正解にとらわれるんじゃなくて、いろいろな高校野球のあり方、いろいろなチームのあり方、いろいろな個人のあり方が認められて、それが高校野球、甲子園という舞台に集まって、いろいろな学校が戦って、高いレベルで勝負をしてというのが本来あるべき高校野球の姿かなと自分は考えています。

森林監督はいかがですか?

何も言うことはないね(笑)。いつもそうなんですけど、立派なこと言うからもう僕が「もういいです」という感じになっちゃう。本当に今も聞いてて、いいこと言うなと思いながら聞いてたんで。やっぱりうちがこうやって優勝することで、「そうか、じゃあ僕たちの野球部はどうしようか」というのを全国の各チームがまた考えて、それぞれの色でやればいいと思うので。いろいろな色が多彩にある高校野球になればよくて、今まではどうしてもちょっと型にはまったイメージでそうでなければいけないみたいなところが高校野球は強いイメージがあるので、それをまさに覆すというかいろいろなバラエティーに富んでいろいろな色の各チームの個性があっていいんだと。そういう世界になっていくと、ますます高校野球がおもしろくなってくるんじゃないかなと。そういう全国の皆さんのチームと、また切磋琢磨したいなと感じています。

グラウンドには「他喜昇り」「他喜力」「苦楽力」「成信力」という合言葉が掲げられていますが、これはどのような思いなのですか?

まず「他喜昇り」というのは、自分たちのチームのスローガンで、「他喜昇り」という由来が、「他喜力」ということばがあって、誰かを喜ばせたいという思いが、最終的には目に見えない力を与えてくれるというのを信じて、自分たちのために野球やるんじゃなくて、いろいろ支えてくださっている方とか応援してくださってる方のために、恩返しするためにも頑張ろうっていう意味で「他喜昇り」というスローガンを作りました。自分たちが野球をする中で、どうしても毎日毎日野球に打ち込んでいたら、それが当たり前になったり、初心を忘れてしまったりすることはあるかもしれないですけど、そうじゃなくて、野球をやれているのが当たり前じゃないし、コロナで野球をやれなかった世代とか、震災とか災害とかで野球をやれないという人もいる。でも自分たちは今こうやって野球やれているので、そういうことに感謝して、「野球をやらせてくれているすべての人に感謝して毎日毎日過ごしていこうよ、結果を残して恩返ししようよ」という思いが特にこのチームは強かったんじゃないかなと思っています。

そういうことばはどなたが考えられるんですか?

うちのチームで2年ぐらい前から「スーパーブレイントレーニング」という、脳の考え方というか、そういうものをどんどん変えていく、いい方向に変えていくっていうようなトレーニングをメンタルの取り組みとしてやっていて、その中でキーワードで出てくることばなんですね。それをいろいろな講習で学んで、それをいろいろ練習とか試合の中で実際に発揮していく。そういうことの繰り返しの中で身に付いてきていることばなので、選手の中にもだいぶ浸透してきて、それが実際にプレーの中で表現できるようになってきたんじゃないかなと思います。

“最高のチームへ” 新キャプテンへ託す“思い”とは

最後にお二人にお伺いしたいんですが、もう新チームが始動してますよね。 次の世代に引き継ぎたいこと、託したいことはありますか?

1つ言えるのは、「自分たちだけで野球やれてるんじゃないよ」ということは忘れてほしくないなと思います。毎日毎日こう野球に打ち込んで、野球するのが当たり前という生活がずっと続くと思うんですけど、でも、甲子園から帰ってきてからいろんな人に「頑張ったね」とか、いろいろメッセージをいただいて、本当にいろいろな人が自分たちの野球を応援してくれていて、いろいろな人が支えてくれていたんだなというのを今ものすごく実感しているので、今その気持ちをずっと胸に刻んでやっていけば、苦しいことがあっても、いろいろな人が応援してくれてるし、味方はいっぱいいるしというふうに、また立ち直れると思いますし、その反面、自分たちが今まで僕たちの代が築いてきた野球はもちろんあるんですけど、でも、慶応高校の特徴としては、いろいろなチームがあっていいというか、毎年、違う代ができて、違うチームカラーの雰囲気ができてというのが自分たちの学校の特徴だと思ってるので、僕たちが築いてきた野球にとらわれずに自分たちのやりたい野球を目指してほしいですし、これから先、いろいろな困難があると思うんですけど、それも自分たちなりに乗り越えて、新しいもっといいチームを作っていってくれたらいいなと思っています。

前年のチームがこうやって甲子園優勝という実績を残した中での次のチームというのは、非常に難しいと思うんですね。実力も足りないですし、経験も足りないですし、練習期間も足りないという中のスタートなので、あまり焦らずに、今自分たちができることを確実に1歩ずつ進めていくと。それが最終的には来年の夏に向けていいチームを作っていくということにつながると思うので、あまり焦って高い頂を見すぎないで、目の前の一歩一歩を着実に進めていくっていうことを選手と心がけながら、私自身も心に刻みながら、また新しいチームを作っていきたいというふうに考えてます。

  • 坂本有花

    NHK横浜放送局 キャスター

    坂本有花

    兵庫県出身。NHK徳島局や広島局でキャスターをしたあと、横浜局へ。 神奈川の魅力を発信していきます!!

  • 高橋哉至

    NHK横浜放送局 記者

    高橋哉至

    平成30年(中途採用で)入局。大学まで野球部に所属。スポーツの話題や行政などを中心に取材。

ページトップに戻る