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東武「スペーシアX」東急・小田急・西武も 鉄道各社の新戦略【動画あり】

  • 2023年11月17日

首都圏の鉄道各社が、かつてないサービスを次々と打ち出しています。

東武が導入した新型車両「スペーシアX」。スイートルームやクラフトビールを楽しみながら日光・鬼怒川方面への旅行ができると人気です。
西武は利用者が注文した商品を、電車で駅のコインロッカーに運ぶサービスを開始。
さらに、東急は誰もが使える広場を開設して社員を常駐させ、「レンタルヤギ」などの試みも行っています。

鉄道各社のねらいは何なのか?私たちの暮らしはどう変わるのか?取材しました。
(新サービスの動画あり)
(首都圏情報ネタドリ!取材班)

東武「スイートルーム」で日光の旅

この夏、豪華な体験ができる、新型車両が登場しました。東京・浅草と栃木県の日光・鬼怒川方面を約1時間50分で結ぶ「スペーシアX」。

特徴はこだわりの内装です。窓は、栃木県の伝統工芸「鹿沼組子」をイメージ。照明は日光東照宮の「陽明門」をモチーフにしました。

車内で販売するのは創業150年の地元土産物店が作ったクラフトビール。栃木県産のいちごや奥日光の天然水などを原料に使っています。

さらに、最大7名で利用できるスイートルーム。1室の料金は12180円です。(別途、運賃とスタンダードシート特急料金がかかります)

この車両を運行する東武が狙いを定めたのは、外国人観光客。沿線の観光地、日光でインバウンド消費の拡大を目指しています。外国人観光客を呼びこむ切り札として導入しました。

東武鉄道 観光事業推進部 髙橋勇樹課長補佐
「ラグジュアリーな体験の中で、東京から日光までの移動で優雅にくつろぎながら向かっていただく。海外の方にも日本の列車の旅を楽しんでいただきたい」

西武 コインロッカーで夕食を受け取り

西武はコインロッカーを使った配送サービスの実証実験を行っています。

配送員は、利用者がネットで注文した商品を電車で運びます。どのコインロッカーに入れたのかスマートフォンで利用者に連絡する仕組みです。

利用者は自宅への配送と違い、不在で受け取れないケースがなく、便利だといいます。

利用者

今日はチョコクレープとお肉と、プルコギビーフ。 電車の乗り換えとかでこうやってパッと受け取れるので、すごく便利です。

利用者

バタバタしてご飯が作れないときとかに利用させてもらっています。

 

今後は、ネットでは購入できない沿線の老舗の商品などを配送することも検討しています。

西武ホールディングス 経営企画本部 西武ラボ 伊藤航プリンシパル
「駅という非常に利便性の高い場所の機能というのをリデザインしたい。物流のハブや、サービスの交流のできるハブにしたいということで、我々が考えたサービスとなっています」

小田急 「何度も訪れたい箱根」へ

沿線の人口減少への対策。小田急が力を入れているのがファミリーの利用を増やすことです。

そのために去年、小児IC運賃を全区間一律50円にする異例の料金改定を行いました。

さらに、力を入れているのが、沿線にある観光地・箱根。ファミリーが何度も訪れたくなる場所にしたいと考えています。

そのために登山鉄道や、ロープウエー、海賊船などが乗り放題のフリーパスを値下げ。
子ども料金を1500円から1100円にしました。

利用者

私は車で行こうといったのですが、(子どもは)ロマンスカーに乗って、登山電車、ロープウエー、最後に海賊船で帰っていくのが好きみたい。

さらに、箱根の自然を散策するツアーを開始しました。

これまで箱根といえば乗り物に乗って周遊するのが定番。気軽にハイキングが楽しめることがあまり知られていませんでした。

楽しみ方のバリエーションを増やすことで、箱根を繰り返し訪れたくなる場所にしようとしています。

小田急電鉄 まちづくり事業本部 エリア事業創造部 鈴木真理子課長代理
「沿線の520万人を超える皆さんに日常的に訪れてくださる箱根を創出していきたい。お子さんが子どもの頃から何度も訪れる日常になるような世界観を目指しています」

東急 ハードからソフトへ変わる街作り

駅と周辺の街づくりが成功し、成長を続けてきた東急にも、危機感が広がっています。

東急はおよそ100年前、農村を開発し、駅を中心とした高級住宅地・田園調布をつくりました。その後も次々と開発を進め、駅の近くに百貨店などの商業施設がある、「人々の憧れる街づくり」が、会社のスタイルとして定着しました。

しかし、人口減少の影響は深刻です。ここ3年間の東急沿線の人口の増減を示した図です。

赤や黄色は人口が減っている地域。このままだと、乗客の減少はもちろん、商業施設の集客力が落ち、街全体が衰退するおそれがあるといいます。

そこで、これまでのスタイルとは全く違う街づくりに踏み出しました。

あざみの駅からバスで10分ほどの場所に、去年、誰もが自由に使える広場をつくったのです。

この広場には東急の社員が常駐。これまでの街づくりでは抜け落ちがちだった、住民ひとりひとりのニーズを聞き取ることが目的です。

たとえば、この広場にいるヤギは、実は「レンタルヤギ」だといいます。子どもたちが喜ぶのではないかという地域住民の声から、飼い始めました。

※ヤギの飼育は2023年10月31日で終了しました

さらに、「地元の祭りを経験させたい」という住民の希望を聞き、夏祭りを開催しました。

この広場ができて1年あまり。住民同士の新たなつながりが生まれつつあるといいます。

インフラが整った憧れの街をつくって沿線に人を集めてきた東急。鉄道会社がするべき街づくりが変わっているといいます。

東急 フューチャー・デザイン・ラボ 三渕卓統括部長
「今までの鉄道会社のビジネスモデルが、20年後30年後存続しうるのか。その危機をどう乗り越えていくかということを考え始めている。これからは、例えば人々の関係とか、一見見えにくいようなものがインフラとして必要。ソフトの面でのインフラというのをしっかり提示して実装していくことが重要だと思っています」

相鉄線・東急線直通 つながる沿線ウイーク

首都圏ネットワークでは、11月27日(月)~12月1日(金)午後6:30以降、相鉄線と東急線の沿線地域の魅力や課題について、たっぷりお伝えします。
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