ことし150年を迎えた鉄道による貨物輸送に、注目が集まっています。その背景にあるのは「2024年問題」への対応です。東京都内にあるJR貨物の駅では輸送手段をトラックから鉄道に切り替える動きがすでに出ています。NHKきっての「きっぷ鉄」後藤茂文記者の取材です。
物流業界では、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されることから「2024年問題」と呼ばれて、人手不足の深刻化や輸送量の減少が懸念されています。
このため政府は、緊急の対応策として、輸送手段をトラックから船舶や鉄道に振り替える
「モーダルシフト」を推進し、今後10年程度で船舶や鉄道の輸送量を倍増させる目標を掲げています。
東京・荒川区のJR貨物の隅田川駅です。貨物専用で一般の人は普段立ち入れませんが、今回特別に中に入って取材させていただきます。
鉄道貨物の現場では輸送手段をトラックから鉄道に切り替える動きがすでに出ていて、北海道や東北などと東京を結ぶこの駅での2023年度上半期の輸送量は、前年度の同じ時期に比べて4%ほど増えています。
食品大手のネスレ日本や製薬大手の武田薬品も東北への輸送について、トラックから隅田川駅経由の鉄道利用に切り替える計画を相次いで発表しています。
JR貨物北東京支店 茅野 弘 支店長
「いままでにない動きが出ていて、仙台・秋田・盛岡・青森と、400キロから700キロの中距離で引き合いが増えている。環境にやさしく大量輸送できる強みをPRしていきたい」
さいたま市の鉄道博物館では、貨物列車や客車を引っ張ってきた機関車の企画展が開かれています。
会場では戦前から現代までの機関車の写真や解説のパネルなどおよそ300点が紹介されています。各時代の機関車の模型をずらりと並べられたコーナーも設けられ、内部の機関の構造が分かる展示になっているものもあります。
また、「2024年問題」への対応として、鉄道貨物が注目を集める中、戦後から現代までの貨物列車の写真も展示されていて昭和40年代に新幹線と一緒に写された貨物ホームの様子などいまでは見られない貴重な写真も見ることができます。この展示会は、来年(2024年)1月29日まで開かれています。
鉄道博物館 奥原哲志 主幹学芸員
「鉄道が新幹線だけでなく、機関車というものがあることや機関車のメカニカルな姿を
感じてほしい。存在感や重量感など、改めてこのタイミングで機関車の果たした役割をたどれたらなと思います」