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「職場がゆるい」若手の約36% 人間関係よい大企業でも転職…そのわけは?

  • 2023年12月15日

働き方改革が進んでいるにも関わらず、若手の入社3年未満の離職率(大手企業)は約25%と、低下していません。中には、定時で退社できる大企業を入社から2年で退職した人もいます。

会社を辞める若者たちの本音を聞くと、「スキルがつくか不安」「希望する業務を担当できない」といった声が。若者たちの不安の背景に何があるのか。働き方改革時代の若手育成術についても取材しました。(全2回の前編)
(首都圏情報ネタドリ!取材班)

原晋監督(青山学院大学陸上競技部)に聞く若者育成のポイントはネタドリ!見逃し配信で(12月22日まで)。

ホワイト企業でも将来に不安

定時で退社でき、人間関係も良好な大手電子機器メーカーを2年あまりで退職した中根千晶さんです。

退職に踏み切ったのは、将来への漠然とした不安があったからだといいます。

大学時代、部員60名ほどのラクロス部をマネージャーとして切り盛りしてきた中根さん。
部員の性格や心理状況に応じてかける言葉を変えるなど、チームの成長を第一に行動してきました。

社会人としても第一線で活躍したいと考えていた中根さん。ところが、働き方改革の進む職場で戸惑いが。上司や先輩が、業務の負担が大きくならないよう調整してくれた環境に、次第に焦りを感じ始めたといいます。

中根千晶さん
「会社にいれば、着実に20年30年というスパンをかけて、何かしらのスキルがつくんだろうなという自信はありました。ただ一方で、3年後にどういうスキルがあるんだろう、ほかの会社にいる方と比較すると、どうなんだろうという不安は正直ありました」

成長している実感を得たいと、仕事終わりに筋力トレーニングを始めました。

それでも気持ちは収まらず、中根さんは2年前、外資系の会社に転職しました。

「個人での実績が大きく問われる会社なので、それがプレッシャーとなる部分も正直ありますけれど、数字が出ていれば認められる環境なので、すごく成長できているなと思います」

働き方改革が進んだ職場を「ゆるい」と感じ、退職を考える若者が少なくないと指摘するのは、若手社員を対象に意識調査を行った古屋星斗さんです。

調査では、自分の職場が「ゆるい」と感じている人は全体の約36%にのぼりました。

その若手に、いつまでその会社で働き続けたいか聞いたところ、6割近い人が、3年ほどでの退職を想定している可能性が判明。その割合は、職場をゆるいと感じていない人たちよりも多かったのです(リクルートワークス研究所 2022「大企業における若手育成状況調査」)。

リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋星斗さん
「労働環境がよくなってきているのは、すごくいいことです。それは大前提なのですが、若手社員の中には『この会社にいて本当に大丈夫だろうか』という不安な気持ちがきっかけで、離職につながっているケースが少なくありません」

やりたい仕事ができず退職する若者も

就職活動のときとのギャップに悩み、大手企業を3年で退職した男性(20代)もいます。

男性が会社を選ぶ上で軸となったのが、中学生のころから10年にわたり取り組んできたアーチェリーでした。自分の経験を生かして社会に貢献したいと考え抜き、頭に浮かんだのが商社だったといいます。

男性
「マイナースポーツの競技を10年間頑張ってきた経験から、なかなか頑張っても評価されないという経験があったので、まだまだ市場に出ていないけれども価値がある商品を探して世界に広めていくような仕事ができたらと思っていました」

男性は大学3年生のときに、希望する会社でインターンを経験。入社試験でも自分の夢を伝えていたため、それを評価してくれたと思っていました。

ところが、男性は入社から3年たっても希望する業務を担当できず、転職を決断しました。

「社員全員の理想をかなえることは難しいとは思うのですが、自分としては目の前の1、2年はすごく貴重な時間だなと思っているので、思い切って転職に挑戦しました」

20年前と比較すると、学生のうちにインターンシップなどで企業や社会人から学ぶ、いわゆる「社会的経験」をしている人は7割を超え、早くから働くことの準備を始めています。

ところが、若手社員の意識調査を行った古屋星斗さんによれば、「こうした準備を、企業は採用活動だけでしか見ておらず、採用後の育成やキャリア形成に生かしきれていない」といいます。

社員個人が目指すことと、会社の育成方針がすれ違ってしまう問題をどうすればいいのか。
若手に成長実感を持ってもらうための模索を始めた企業や、社員の転職を前向きにとらえようという企業の取り組みを後編の記事でご紹介します。

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