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「芸術の秋」東京ビエンナーレ見どころは テーマは“つながり”

  • 2023年10月5日

「芸術の秋」の季節。東京のオフィス街や下町に現代アートが出現する芸術祭、「東京ビエンナーレ」の秋の展示が始まりました。11月5日まで開かれています。作品をめぐって街歩きを楽しむことができるというのですが、どういうところが見どころなのか、井田アナウンサーが取材しました。

千代田区・中央区・文京区・台東区の約40か所で展示

「東京ビエンナーレ」は、東京のまちを舞台に2年に一度開催する大規模な芸術祭です。
2回目の今回のテーマは「つながり」で東京・千代田区、中央区、文京区、台東区のおよそ40か所で作品の展示やワークショップなどが行われています。
作品の多くは、街なかにある歴史的な建築物や公共の空間を活用していて、国内外から集まった現代アートの作家たちが地域住民とともに作り上げました。

千代田区のオフィス街では

井田アナウンサー
「ビル街からちょっと入ると、なんだかちょっと不思議な空間が広がっていますよ。いろとりどりのひもが垂らされていますね」

井田アナウンサーが訪れたのは千代田区のオフィス街です。ここでは、ふらっと立ち寄った人たちとアート作品を作り上げる「Slow Art Collective Tokyo」というプロジェクトが進められています。高層ビルの隙間に設置された大きな骨組みに、好きなようにロープや紐を編み進めていくものです。

東京ビエンナーレ 総合ディレクター 中村政人さん
「まったく知らない人どうしがこの場所に来て、この場所の中で同じ空間体験をしてつながる。あとはコンクリートとガラスの街に竹とかひもとか柔らかい素材ですよね。そういう素材がこの場所の空間の中にまた関係を作り、新しいつながりを生んでいく」

台東区の作品は加工職人の協力で

台東区の会場では、世代のつながりを感じる作品に出会いました。
ジュエリーの卸問屋街である御徒町を舞台にしたプロジェクトです。加工職人も多くいることから、家に眠っていた装飾品などを、こうした人たちの協力で新たな作品に作りかえました。

会場のホテルの一角には、完成した16の作品が展示されています。
そのうちの一つ、このブローチは柿をモチーフにしています。持ち主の母親の形見だという陶器の帯留めを活用しました。

中村さん

こういう形にすると、逆に今度は自分のお子様とかどなたかにバトンタッチできますよね。

j井田アナ

先祖代々伝わってきた思いや思い出も受け継がれているんですね。

神田の関東大震災後の復興期の建物では

井田アナウンサーが最後に訪れた会場は、関東大震災後の復興期に建てられた、千代田区・神田の海老原商店です。ここでは、歴史のつながりを感じることができます。
展示されているのは、大震災から100年間の生活や流行を表す服、およそ200点。
服にはそれぞれの持ち主の思い出やエピソードが書かれたカードがつけられていて、服を通して人々の営みを感じられる展示になっています。

このうち、1940年代のものだという戦時中の「国民服」はきれいな状態で保存されていて、カードには「私の父親の品です。母は数回の引っ越しも必ずこの服を持って行きました」などとつづられていました。

この建物が会場となっているプロジェクトは「パブローブ:100年分の服」と呼ばれています。「パブローブ」とは、「パブリック」と「ワードローブ」を組み合わせた造語で、展示されている服は図書館のように貸し出しもしていて、公共のワードローブのように利用できるということです。

 

なにか気になるものはないですか。

 

70年代の洋服がかわいくて着てみたいなと思いました。

 

 

いいじゃないですか。

 

自分は現代の人だけど昔の人になった気がします。

 

中村政人さん
「これまでの東京の見え方より一歩深まり、一歩違う見え方をするはずなんですね。いろいろな出来事のなかに自分がワクワクするような心開くような瞬間が作れないかなと。ぜひ自分の心を開き、スイッチが入る作品を探してみてください。そして、東京の魅力を自分で散策しながら、ひとつひとつ楽しんでほしいです」

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