海外旅行でおなじみのガイドブック「地球の歩き方」編集部とコラボして、地域の魅力を再発見する旅を紹介するシリーズ。第3弾は「埼玉県」です。
編集部きってのベテランスタッフと見つけてきた、埼玉県の知られざる魅力を紹介します。
(首都圏局/ディレクター 古橋大輔)
地球の歩き方「埼玉編」のプロデューサー金子久美さんです。23年にわたって世界40か国を取材してきました。
そんな、金子さんは、生まれも育ちも埼玉です。今も埼玉県に住んでいます。
地元の観光スポットは熟知していますが、まだまだ自分が知らない魅力があるはずだ!と、意気込んでいます。
私たち旅人なので旅をしながら現地を歩いて新しい発見がないか探しています。あるに違いないと思っています!
金子さんがスタッフと共にまず訪れたのは、城下町で知られる行田市です。
実は、明治以降に足袋づくりで栄え、昭和初期には、全国の生産量の8割を占めていた“足袋の町”だったのです。
市内には、足袋や材料などを保管するために建てられた当時の足袋蔵が、いまも80棟ほど残っています。
旅の思い出の品に「足袋」をおすすめしたいと考えた金子さんが訪ねたのは…。
100種類以上の足袋がそろう明治時代創業の老舗です。
お店を切り盛りしているのは、この道65年という戸塚さんご夫婦です。
金子さんは、足袋作りの極意について取材を進めます。
かかとがふっくらするように、押してるんです。昔から“つま”、“まわし”、“仕上げ”で3年と言われています。
現在、6か所になった足袋を作る工場。80年前には200以上あったといいます。
取材を進めるうちに、金子さんのアンテナに引っかかるお話がありました。
それは、「最近、若いお客さんが増えている」と言うのです。
お孫さんのアイデアを取り入れた商品が口コミで評判を呼んでいるとのことで、戸塚さんは思いも新たに足袋づくりに励んでいます。
行田市の「名物グルメ」の誕生にも足袋作りが関係しています。
B級グルメとして全国的に知られるようになった「フライ」です。
見た目はお好み焼きですが、生地はモチモチしていて、秘伝のソースが味の決め手です。
「フライ」は、大正の終わりころから作られ、足袋工場で働く従業員のおやつなどとして人気が広がったといいます。いまでは、行田市民に愛され続けるソウルフードです。
金子さんが次に訪ねたのは、「忍城」(おしじょう)です。「忍城」とは言っても、お目当てはお城ではありません。
水鉢に花を浮かべた花手水(はなちょうず)です。
行田市を訪れる人たちを、“地域全体でおもてなししたい”という思いから始まった取り組みです。
毎月1日から2週間限定で、忍城などの観光スポットや、家の軒先などで、見ることができます。
最後に訪ねたのは、金子さんが埼玉編で大きく紹介したいと考えている場所です。
ラグビーワールドカップの会場にもなった熊谷ラグビー場です。
ラグビーリーグワン初代王者、ワイルドナイツのホームグラウンドで、近くにはホテルやレストランの入ったクラブハウスなども整備され、新たな観光スポットとして金子さんは注目しています。
そんなラグビー場で金子さんの目に止まったのは…。
色鮮やかに描かれた無数ののぼりです。地元の全小中学校の皆さんが手書きで、天気が良い日は、展示されると言うことです。この日は、全部で70枚ほど展示されていました。
鮮やかな青色の上に、夢と大きく書かれたのぼり旗は、市内にある中学校の美術部の生徒たちの作品です。
強いチームが自分たちの住んでいる町の本拠地で活動していると思うとすごく誇りに思うし、自分たちも確かに夢に向かっていける気がする。
年内の発売を予定している「埼玉編」。金子さんは、読んだ人が「現地で『埼玉愛』を感じたい」と思える1冊にしたいと考えています。
地球の歩き方編集部 金子久美さん
「毎日住んでいて身近なのに、知らなかったこと、改めて再発見していましてぜひ紙面の中に、皆さんにお届けしたいと思っています」