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足立区 京成本線荒川橋りょう “川の氾濫を防ぐ”訓練に密着

  • 2022年5月31日

これから大雨が発生しやすい季節です。東京などを流れる荒川はひとたび氾濫すると都心部も含めた甚大な被害が想定されていますが、足立区の“ある場所”が、堤防の「弱点」のひとつとされています。その場所で、川の氾濫を防ごうという初めての訓練が行われました。

ひとたび氾濫すると甚大な被害が想定

足立区や消防の職員が参加して行われた訓練の場所は、荒川の「弱点」とされる京成本線の橋。時間は午前1時、終電後の線路を使っての訓練です。

足立区 都市建設部 犬童尚 部長
「川が増水すると、越水するおそれが高い。土のうを積んでそれを防ぐための訓練です」

なぜ、この場所が「弱点」なのか。

今回、訓練が行われた足立区と葛飾区の間にかかるこの橋は、荒川の堤防が今の高さになる前に建設されたため、周囲より最大3メートル余り低くなっているのです。

この場所で決壊すると浸水が都心近くまで及ぶと想定されています。

荒川の堤防を守るために

線路や道路の橋の影響で、堤防が低くなっている場所は、他にもあります。

堤防の低い場所は、荒川の下流域だけでも11か所あるといいます。

 国土交通省 荒川下流河川事務所 荒川佳子副所長
「荒川が決壊した際には、首都機能のまひが想定される。2週間以上水がひかない状況。荒川の堤防を守っていかなければいけない」

そこで去年国が行った対策が、コンクリート製の壁(パラペット)の設置でした。

しかし、線路の部分には壁が設置できません。そこで行ったのが、28日の訓練でした。川の氾濫のおそれが出てきた場合、鉄道の運行を止めて、線路などに土のうを積もうというのです。

深夜に実施された訓練に密着

足立区は、川の水位が橋桁の1メートル下になった時点で電車を止めることを鉄道会社と取り決めました。しかし、水位が上がりきるまでの猶予はおよそ2時間。限られた時間内に高さ1メートル余りの壁を作る必要があります。

集まったのは、およそ70人。900の土のうをバケツリレーのように運んで並べて、木製のコテでたたいて締め固めます。深夜にもかかわらず、地元の住民も見守ります。

住民

ことし災害が起こるかもしれないということを考えると、訓練をやっていただけるだけでもありがたい。

土のうの上にのせるのが、高さ80センチの樹脂製の板です。板同士をつなげて土のうで固定。強度は問題ないといいます。

開始からおよそ30分で、堤防の低い部分を補う作業が完了しました。

 足立区 都市建設部 犬童尚 部長
「かなり早い、短い時間でできたのかなと思っています。台風などが激甚化して、いつ河川が氾濫するかわからない状況なので、可能なかぎり訓練をずっと続けていきたいと思っています」

今回、訓練が行われた場所の対岸の葛飾区でも同じような弱点とされる場所があり、6月4日に訓練を行うということです。

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