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東京都の高校授業料無償化 神奈川県 埼玉県 千葉県 知事の考えは? 所得制限撤廃どうなる

  • 2024年4月23日

東京都は、高校の授業料の支援を拡充しようと、2024年度から所得制限を撤廃して実質無償化しました。これについて東京、神奈川、埼玉、千葉の知事と、5つの政令指定都市の市長でつくる「九都県市首脳会議」のなかでも議論となりました。東京都の制度の概略のほか、1都3県の知事が述べた内容などについてまとめました。

高校授業料の実質無償化 東京都の制度

高校の授業料について東京都では、これまで910万円未満の世帯年収を目安に支援がありました。都立では国の支援で無償化され、私立については、都が、国の支援に上乗せして都内にある高校の授業料の平均にあたる47万円余りを上限に助成するなどしていました。

東京都は2024年度から高校の授業料について支援の所得制限を撤廃して実質無償化しました。条件は、保護者が都内に住んでいることで、都外の私立高校に通っても対象となります。

無償化の議論 九都県市首脳会議

東京都が高校の授業料について2024年度から所得制限を撤廃して実質無償化したことについて、4月22日にオンラインで開かれた東京、神奈川、埼玉、千葉の知事と、5つの政令指定都市の市長でつくる「九都県市首脳会議」で、テーマのひとつとして話し合われました。

神奈川県 黒岩知事・横浜市 山中市長

黒岩知事
「福祉や教育など住んでいる場所で大きな差がつくべきではない性質の行政サービスで格差が生じているのは問題だ。東京都に隣接しているので県民から厳しい声を受けていつも苦しい思いをしている。国による何らかの対応が必要だ」

会議後、横浜市の山中竹春市長は「教育という人的資源の育成に関わるものは国による統一的な制度設計が基本だと思う」と話していました。

埼玉県 大野知事

埼玉県の大野知事は、「本来無償化は国が全国一律で実施すべきだが、一部の自治体が単独で行い不均衡が生じていることは強く懸念している」と述べました。
そのうえで、東京都と差が生まれる背景には、企業の本社がある自治体に税収が集中しやすいため、国による是正措置が必要だと指摘しました。

大野知事(会議後)
「荒川を挟んで東京都と差があることは好ましくないと思う。財源の確保が難しく埼玉県では高校の授業料の無償化をできていないことが非常に歯がゆく思っている。税の偏在を是正することで、不公平を適切に是正していくことが大切だ」

千葉県 熊谷知事

千葉県の熊谷知事は、「財源に大きな差が生じていて、本来は住んでいる地域によって差がつくべきではないのに、そうした状況が生まれているのも事実だ」と述べ住む地域にとらわれない子育て支援策の実現を、財源を含めて考える必要性を指摘しました。

熊谷知事(会議後)
「県民からなぜ高校授業料の無償化をやらないんだと言われるが、『やらない』のではなく『やれない』状況だ。税収の偏りを是正するか、全国一律の子育て支援を行うか、国の責任で議論しなければならない」

東京都 小池知事

小池知事
「東京では子育て世帯は厳しい環境に置かれており、いかにして守っていくかは一刻の猶予もない。高校授業料の実質無償化は、本来は国が責任を持って行うべきであり、国の方策が講じられるまでの間、先行して取り組むことを判断した。そもそも人口1人当たりの一般財源で見ると、都は全国平均と同水準にある。こうした事実を踏まえ、地方交付税も含めた地方税財源の充実確保を、九都県市で足並みをそろえ、国に強く働きかけていくことこそが 何よりも重要だ」

高校授業料の実質無償化は広がるか

会議では、子どもに関する施策について居住する地域によって、差が生じないようにするために、国の責任と財源で無償化するよう要望することになりました。
高校などの授業料をめぐっては、大阪府が段階的に所得制限を撤廃して無償化しようという動きが出ています。

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