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JAXA探査機「SLIM」無事 月周回軌道に 月面着陸は1月20日未明

  • 2023年12月27日

日本初の月面着陸を目指している無人探査機「SLIM」。

JAXA=宇宙航空研究開発機構は、12月25日、月を周回する軌道への投入に成功したと発表しました。月面への着陸は計画通り、2024年1月20日未明を予定していて、成功するかが注目されます。

月面着陸は、これまで旧ソビエト(1966年)、アメリカ(1966年)、中国(2013年)、そして、ことし(2023年)新たにインドが成功し、今回成功すれば5か国目になります。

「SLIM」…月周回軌道に投入成功

日本初の月面への着陸を目指す無人探査機「SLIM」は、ことし9月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、飛行を続けています。

 

「SLIM」が月周回軌道投入後に撮影した月面画像(日本時間2023年12月25日撮影 )

12月25日、JAXAは、「SLIM」を午後4時50分ごろ、月を周回する軌道に投入することに成功したと発表しました。

JAXAによりますと衛星の状態は正常で、月面への着陸は計画通り、1月20日の午前0時20分ごろを予定しているということです。

月面着陸は、これまで旧ソビエト(1966年)、アメリカ(1966年)、中国(2013年)、そして、ことし(2023年)新たにインドが成功し、今回成功すれば5か国目になります。

「SLIM」の月着陸イメージ

「SLIM」では、目標着陸地点までの誤差をこれまでの他国の探査機に比べて10分の1以上縮めた100メートル以内の「ピンポイント」での着陸を実証する計画で、月探査をめぐる国際競争が激しくなる中、高い技術が求められる日本初の月面着陸が成功するかどうかが注目されます。

謎の多い「月の起源」の解明へ

「SLIM」は、月面に着陸したあとは、謎の多い「月の起源」の解明につなげるため、月面の岩石に含まれる鉱物の種類などの測定が計画されています。

11月28日は、こうした測定を行う「SLIM」に搭載されている「マルチバンドカメラ」を運用するための模擬訓練が滋賀県にある立命館大学の施設で行われました。

訓練には、JAXA=宇宙航空研究開発機構や、立命館大学のメンバーなどおよそ10人が集まり、「SLIM」に搭載されているものと同じカメラを遠隔で動かし、撮影する範囲を変える操作手順を確認しました。

また、実際にカメラで測定できるのは月着陸後の数日間に限られる見込みでスムーズな運用が鍵となることから、カメラで撮影したデータをもとに遠隔で明るさなどを調整する訓練も行われました。

「マルチバンドカメラ」を開発した立命館大学宇宙地球探査研究センター 佐伯和人センター長
「今回の測定は月や地球の起源など、多くの謎の解明に役立つ。着陸まで訓練を重ね、今回の機会を最大限にいかしたい」

月面着陸 JAXA「成功すれば今後の宇宙開発に道」

「SLIM」による日本初の月面着陸と、その後の探査について、JAXA=宇宙航空研究開発機構の開発責任者、坂井真一郎プロジェクトマネージャがNHKの取材に応じ、「難しいチャレンジだが、成功すれば今後の宇宙開発に道を開くことになる」と期待を語りました。

JAXAの月探査機「SLIM」には、立命館大学などが開発した岩石の成分などがわかる「マルチバンドカメラ」が搭載されていますが、撮影するには目的の岩石の近くに着陸する必要があります。

このため「SLIM」には、狙った場所に誤差100メートル以内で降り立つことができる「ピンポイント着陸」と呼ばれる独自の技術が搭載されています。

「SLIM」が月の上空を飛行するスピードは時速5700キロにもなるということで、着陸の難しさについて坂井プロジェクトマネージャは「例えるなら通常の8倍ほどの速さで飛行する旅客機を甲子園球場のマウンドを目指して着陸させるようなもので、かなり難しいチャレンジになる」と説明しました。

その上で今回の調査の意義について、「月の岩石の成分が地球と似ていれば、月が地球からわかれてできたという仮説を強めることになる。逆に、成分が全く違うなら外からやってきたものが地球に引き寄せられて月ができたという説が有力になり、月の成り立ちを知る上で重要な手がかりが得られるはずだ」と話しました。

また、世界で月探査の競争が激化していることについては、「これまでは、探査機を安全に着陸させることを優先して降り立つ場所を選んできたが、これからは地球での地質調査と同じように探査の目的に合わせて着陸する場所を選ぶ時代になっていくだろう。探査機を狙った場所に着陸させる技術を日本が確立できれば、国際協力で進める宇宙開発に参加しやすくなり、今後の宇宙開発に道を開くことになる」と期待を語りました。

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