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ライドシェアの解禁をめぐり議論 タクシー業界の反応や問題点は?

  • 2023年9月27日

日本語で「相乗り」を意味している「ライドシェア」。
自家用車を使って有料で人を運ぶサービスのことです。
日本では認められていませんが、いま、解禁を巡る議論が出てきています。

「ライドシェア」導入 本格議論の考え示す

外国人観光客が増えている観光地や交通の便がよくない過疎地でタクシー不足が深刻になる中、自民党の一部からは自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」の解禁を求める声が出ています。

これについて、規制改革を担当する河野デジタル大臣は22日の記者会見で「『ライドシェア』をやる人の運行管理、健康管理をどうするのかもあわせて、どういう形でサービスを地域に提供するのかという議論を積極的にやっていきたい」と述べ、政府内で本格的に議論していく考えを示しました。

一方、この「ライドシェア」をめぐっては、松野官房長官は、安全確保などの観点からさまざまな課題があるとして、丁寧な議論が必要だという認識を示しています。

また河野大臣は、別の解決策として、タクシーやバスなどを運転するのに必要な2種免許を取得できる年齢の引き下げや、外国人に対応できるような試験のあり方なども検討していく必要があるという認識を示しました。

「ライドシェア」解禁についてタクシー業界…

自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」の解禁について、タクシー業界は運行の安全確保が難しいなどとして反対しています。

東京・文京区に本社がある大手タクシー会社ではおよそ2000人のドライバーが働いています。コロナ禍からの経済活動の再開や外国人旅行者の増加などでタクシーの需要が増える中、ドライバーの採用を増やしています。

ことし7月から9月にかけての採用人数は、毎月50人あまりでコロナ禍前の2019年の同じ時期の採用人数は月およそ20人だったので現在はその2倍以上です。

コロナ禍でドライバーの離職が相次ぎましたが、新規の採用を増やした結果、ドライバーの数は2019年よりも10%あまり増えています。タクシーの需要が高まっているとしてドライバーの数をさらに増やしていきたいとしています。

この会社でもライドシェアの解禁について反対しています。その理由はタクシーの運行の安全を確保するためにはドライバーの育成をきちんと行う必要があると考えているからです。

タクシーのドライバーは第二種運転免許を取得する必要があり、これに加えてこの会社では2か月あまりの社内研修を受けないとドライバーとして働くことはできません。

研修では▽発進する時や曲がる時に歩行者がいないか必ず目視で確認をすることなど運転中の安全確認や▽接客のマナーなどについて講義を受けます。

さらに運行の安全確保のために出発前の点検も徹底しています。
点検ではドライバーのアルコールの呼気チェックのほか、タイヤの空気圧やオイルの量など20あまりの項目を確認しています。

会社では、時間とコストをかけてドライバーを育成し「安全なサービス」を提供することがタクシー業界の強みだとしています。

「日の丸交通」の富田和孝社長
「強みは安全性です。しっかりと面接して教育にも2か月くらい時間をかけていますので、そういったことがライドシェアには難しいと私どもは思っています」

「全国ハイヤー・タクシー連合会」は「安全と安心が担保された輸送サービスの提供が地域公共交通としてのタクシーの役割で、さまざまな法令順守や安全管理のための現場努力が日夜繰り広げられている。安全・安心に関する問題点が多いライドシェア解禁は、日本における輸送サービスの根幹を揺るがす」としています。

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