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いつまで続く物価上昇 今後の見通しや物価高の対策はどうなる?

  • 2023年9月26日

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる消費者物価指数。
2023年8月の指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年(2022年)の同じ月より3.1%上昇しました。上昇率は7月から横ばいで、3%以上となったのは12か月連続です。

専門家は「これまでの物価上昇ペースが極めて速かったので、来年にかけては緩んでいくだろう。ただ、注意しなくてはならないのは、緩んでも上昇はするので生活への悪影響は続き、消費者にとっては厳しい」と話しています。

8月の消費者物価指数 去年同月比3.1%上昇

総務省によりますと、先月・8月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が2020年の平均を100として去年8月の102.5から105.7に上昇し、上昇率は3.1%でした。

上昇率は7月から横ばいで、3%以上となったのは12か月連続です。

このうち「生鮮食品を除く食料」は9.2%上がり、大幅な上昇が続いています。

具体的には、「鶏卵」が35.2%、「炭酸飲料」が16.7%、外食の「ハンバーガー」が13.4%、「アイスクリーム」が12.7%、上昇しました。

「エネルギー」では、「電気代」の上昇率がマイナス20.9%と、政府の負担軽減策などを要因に比較可能な1971年1月以降、最大の下落幅となっています。

総務省は、電気代と都市ガス代の負担軽減策で、生鮮食品を除いた指数は1.03ポイント押し下げられ、これがなければ上昇率は4.1%程度になったと試算しています。

総務省
「今月末が期限だった政府の電気やガス料金の負担軽減策が、当面続けられることになったので、食料や賃金とともに、物価全体に与える影響を注視していきたい」

物価上昇の現状 専門家は

物価上昇の現状について、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストに聞きました。

Q.3%以上の物価上昇率が12か月連続していることをどうみますか?

予想以上に物価上昇が長期化していることは否めない。
当初、物価上昇は原油価格の上昇によるもので一時的だという見方もあったが、食料品を中心にどんどん伸びが加速した。

Q.物価上昇の長期化の中で消費の二極化の指摘も

サービスの消費はコロナへの警戒感が和らいで好調だが、物の消費はかなり弱い。
特に弱いのが食料品で非常に値上がり幅が大きく、平均でおよそ10%、食材によっては2割や3割上昇しているため、高い食材を買い控える動きもある。

また、回復している外食でも二極化が見られる。
高級店は値上げをしても価格に見合う価値を提供できていれば来客数は減らないが、一方で安さを売りにしている店は値上げしてしまうと売りがなくなってしまうので苦戦している会社も多い。

Q.今後の物価の見通しと賃金上昇への波及は?

これまでの物価上昇ペースが極めて速かったので、来年にかけては緩んでいくだろう。
ただ、注意しなくてはならないのは、緩んでも上昇はするので生活への悪影響は続き、消費者にとっては厳しい。

賃金については数十年ぶりの賃上げ水準が実現しているものの、物価の上昇が賃金の上昇より速いため、生活は苦しくなる。

今年度いっぱいは物価を上回る賃金上昇は厳しく、消費を増やしにくい状況が続く。
来年の春闘がとても大事で、賃金が物価上昇を上回らないと消費は一段と厳しくなる。

新たな経済対策 10月中の策定目指して検討へ

岸田総理大臣は25日、新たな経済対策について、物価高対策、持続的な賃上げの実現、国内投資の促進など、5つを柱とする方針を明らかにしました。

岸田総理大臣は「コロナ禍で苦しかった3年間を乗り越え、経済状況は改善しつつある。国民が物価高に苦しんでいる今こそ、成長の成果である税収増などを適切に還元する」と述べました。

26日に関係閣僚にこうした考えを示した上で対策を具体化するよう指示し、来月(10月)中の策定を目指して検討を本格化させることにしています。

具体策としては、賃上げに取り組む企業への減税措置の強化や、半導体をはじめとした戦略分野の国内投資を促す新たな減税に加え、電気やガス料金の補助制度を来年以降も続けるかを含む、家計の負担軽減策も検討される見通しです。

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