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PFAS対策 浄水器 水質検査の自治体も 多摩地域 血液検査の結果は

  • 2023年9月22日

「PFAS」は、人工的につくられた有機フッ素化合物の総称で、このうち「PFOS」と「PFOA」と呼ばれる2つの物質は、アメリカの研究などで有害性が指摘されています。この「PFAS」について、専門家などが東京・多摩地域の住民を対象にした血液検査で、平均で国の調査のおよそ2.3倍の血中濃度が検出されたとする結果を公表しました。検査の内容や自治体の対策の動きをまとめました。

PFAS 多摩地域789人の検査結果を公表

京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、沖縄県のアメリカ軍基地周辺で国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出されたことを受け、横田基地のある多摩地域の住民789人の血液検査をこれまでに行い、その結果を公表しました。

“平均で国の調査のおよそ2.3倍の血中濃度”

そ れによりますと、検出されたPFOSとPFOAをあわせた平均値は13.9ナノグラムで、これは国がおととし、全国の3地点で行った調査の平均値の2.3倍にあたるということです。

多摩地域の30市町村でそれぞれ10人以上検査を行い、自治体別でみると高い順に、国分寺市で23ナノグラム、立川市で19ナノグラムなどと北部地域が高い傾向だったということです。

京都大学大学院 原田浩二准教授
「都は水道水などの調査で濃度が高い場所の取水を停止しているが、効果が出るのが遅いのか、土壌などほかの要因が考えられるのか調べるべきだ」

武蔵野市 小中学校18校の井戸に浄水器設置へ

多摩地域の自治体のうち、武蔵野市は、ことし6月、災害時の避難所となる市内の小中学校18校にある、飲み水としての利用も想定している井戸でPFASの値を調べたところ、このうち7か所の井戸から国の暫定的な基準を上回る値が検出されました。

これを受け、市は18校のすべての井戸にPFASを取り除く浄水器を設置するため、開会中の市議会に関連の費用を盛り込んだ補正予算案を提出し、9月20日の本会議で可決されました。
市によりますと、この井戸の水はいずれもこれまで飲み水として使われたことはありませんが、できるだけ早く浄水器の設置を完了したいとしています。

調布市 災害用井戸などの水質調査

東京・調布市は、市内の小学校や公園にある災害用の井戸30か所と民間の井戸85か所の希望者を対象に独自に水質調査を行う方針です。これらの井戸のほとんどは飲み水として使う想定はされていませんが、市は安全性を確認するためとしています。

いまの市議会に関連経費を盛り込んだ補正予算案が提出され、市は可決されしだい、順次、調査を進め、年明けの2月に一部の調査結果を公表したいとしています。

環境省 PFASの健康影響についての研究を本格化

環境省によりますと、PFASの一部の物質について、アメリカなどの研究では発がん性や子どもの成長への影響が指摘されていますが、国内ではいまだ十分な科学的知見がないとしています。

環境省はPFASによる神経発達や生殖、それに免疫系への影響のほか、発がん性などについて本格的に研究を進め、健康影響を未然に防ぐ対策を進める方針です。環境省は研究を踏まえて、飲み水などのPFAS濃度を1リットルあたり50ナノグラムとする現在の暫定的な目標値の妥当性の検討などを進めるとしています。

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