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“有害” PFOS PFOAとは? 米軍基地周辺でも検出 水質の目標値は

  • 2023年1月25日

有機フッ素化合物の「PFOS」と「PFOA」は有害性が指摘されていて、東京都や神奈川県のアメリカ軍基地周辺などでも国の暫定的な目標値を超える値が検出されています。これについて専門家会議は、正式な水質の目標値の設定に向け検討を進めることを確認しました。「PFOS」や「PFOA」はどんなものなのか、検出の状況などについてまとめました。

有機フッ素化合物「PFOS」「PFOA」

「PFOS」と「PFOA」と呼ばれる有機フッ素化合物は、工場などの事業所で火災に備えて設置されている一部の泡消化剤などに含まれています。有害性が指摘され、国内では製品の製造が禁止されています。

しかし、禁止前に作られた製品の使用は規制の対象ではなく、外部に排出した場合の環境への影響が懸念されるとして、環境省は、事故などで外部に排出された際に自治体への届け出が必要な「指定物質」に追加するなどの対策を進めています。

東京 神奈川 沖縄 米軍基地周辺で暫定的な目標値超

有機フッ素化合物の「PFOS」と「PFOA」は、東京都の調査で横田基地に隣接する立川市では井戸水などから国の暫定的な目標値を超えて検出されています。
また、沖縄県や神奈川県などのアメリカ軍基地周辺でも河川や地下水などから国の暫定的な目標値を超える値が検出されていますが、都によりますと、有機フッ素化合物と横田基地との関連はわかっていないということです。

“国内の正式な目標値の設定に向け検討進める”

有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」と「PFOA」について、環境省などが1月24日、水質の目標値について話し合う専門家による初めての会議を開きました。

会議では、「PFOS」などの健康への影響がいまだ明確になっていない中、WHO=世界保健機関が公表している指針よりも厳しい値の日本の暫定目標値は妥当だといった意見が出されました。
そして、当面、現在の数値を維持した上で、今後、示される見通しの新たなWHOの指針など国際的な動きを踏まえ、国内の正式な目標値を検討することが確認されました。

また、今後、「PFOS」と「PFOA」の毒性についての評価なども行い、検討を進めることにしています。

目標値超を検出 23区内の調査地点でも

東京都の調査では、都内の地下水や水道水に「PFOS」や「PFOA」が含まれていることがわかっています。
都の水道局によりますと、定期的に行う水道水の検査では、アメリカ軍横田基地のある多摩地域で都が管理する井戸の277か所のうち、立川市や府中市など34か所で、国が暫定的に設けている目標値*を超えるなどしたため、現時点で取水を停止しているということです。

*国の暫定的な目標値=1リットルあたり50ナノグラム

一方、都の環境局が行った2022年2月の地下水の調査では、多摩地域の自治体のほか、渋谷区や文京区といった23区内の調査地点でも、目標値を超える値が検出されています。

東京都環境局(担当者)
「基地周辺だけでなく、23区内でも目標値を超える自治体が確認されていて、何が原因で検出されているか、判断できない状況だ。健康にどれほどの影響があるかどうか含めて国の議論を注視したい」

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