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  • 2023年9月4日

日野市 待機児童倍増 問題は人手不足?文京区は初ゼロ(0)に

待機児童 全国2600人余 5年連続で過去最少 こども家庭庁
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保育所などの空きを待つ「待機児童」。 
ことし4月時点で全国で2600人余りと、調査開始以降最も少なくなったことが分かりました。

関東地方では、最も多いのが埼玉県で347人、次いで東京都が286人、神奈川県が222人、千葉県が140人、茨城県が5人となっています。栃木県と群馬県は待機児童はいませんでした。 
待機児童が33人と去年から倍以上に増加した日野市や、初めてゼロになった文京区の現状などをまとめました。

日野市 “保育現場の状況を知って”

東京・日野市では、ことし4月の時点で待機児童が33人と去年から倍以上に増加していて、このうちの大半が1歳児だということです。

市では、待機児童の解消に向けて市内の保育園に要請し、1年限定で1歳の子どもの一部を受け入れてもらっていて、このうち「わらべ日野市役所東保育園」では、定員のほかに4人を受け入れています。

1歳のクラスでは、国の配置基準よりも手厚くした市の独自基準にしたがって子ども5人に対し1人となるように保育士を配置していますが、おやつや食事の時間でつきっきりでの対応が必要な子どもがいるほか、感染対策や熱中症対策の水分補給などの業務もあり、余裕がある状況ではないといいます。

また、人手不足も課題で、園ではほかの年齢でも国の配置基準よりも多く人員配置ができるよう保育士を雇用していますが、常時募集しているものの、ことしは新卒の採用ができませんでした。

さらに、これまでに仲介業者の紹介で2人を採用したということですが、紹介料の負担が必要で、園ではこれ以上の定員の枠を上回る受け入れや地域からの要望がある一時預かりは現状では難しいとしています。

佐藤順子 園長 
「月齢の差で発達段階が違うので子どもにあわせたサポートをするためには、国の基準を上回る数の保育士が必要ですが、連絡帳の記入など事務的な業務もあり、現場の保育士一人ひとりの負担は大きいと思います」

「職場環境や待遇の問題で保育士を志望する人が少ないことや、資格はあるけれども働いていない人もいると思います。手厚い保育をするためにも保育士の配置基準を見直してほしいですし、国や行政には保育現場の状況を知ってほしい」

5年連続 過去最少更新

こども家庭庁によりますと、保育所などの空きを待つ「待機児童」はことし4月の時点で全国で2680人でした。去年と比べて264人減少し、調査を開始した平成6年以降で最も少なくなりました。

過去最少を更新するのは5年連続です。 

都道府県別では多い順に、沖縄県が411人、埼玉県が347人東京都が286人、兵庫県が241人、神奈川県が222人などとなっています。

待機児童がいなかったのは、青森、山形、栃木群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、岐阜、鳥取、島根、長崎、大分、宮崎の15の県で、去年から1県増えました。

待機児童の減少についてこども家庭庁は、保育の受け皿の拡大や、就学前の子どもの数が想定以上に減少し、申込者数が見込みを下回ったことなどが要因だとしています。 

一方で、特定の地域で申し込みが集中するなど需要に偏りがあることや、保育士が確保できず定員が減少したことなどから待機児童が増加した地域もあるということです。

また、ことし4月の保育所などへの申込者数は減少したものの、共働き世帯の割合の増加や、コロナ禍の利用控えが大きく減少したことなどから、今後の推移を注視していく必要があるとしています。

こども家庭庁は自治体と連携しながら受け皿の確保に向けた支援などを続けるほか、今後は、保育所や保育士のもつノウハウを活用した子育て支援の取り組みを地域の中で行うなど、保育所などの多機能化も進めていくとしています。

文京区 初めて「待機児童」ゼロに

「待機児童」が初めてゼロになった東京・文京区。待機児童の数がおととしは1人、去年は2人と減少傾向で、ことし4月時点で初めてゼロになりました。

区立の認可保育園「本駒込保育園」では、0歳児から5歳児までの定員99人のうち、1日時点で0歳児は5人、5歳児は2人の空きがある状態です。

園によりますと、待機児童数が多かった10年ほど前は、0歳児から2歳児までの申し込みが多く、希望がかなわない保護者が目立ったといいます。

文京区によりますと、区の待機児童は平成21年以降、最も多いときで111人に上っていましたが、保育所の整備を進め受け皿の確保に努めてきました。

この保育園でも、ことし4月時点で0歳児の定員10人に対して入園したのは2人と、これまでで最も少なく定員に余裕があることから、9月1日からは新たに0歳児3人が入所することになり、保育士たちがロッカーに名前を貼り付ける作業などを行っていました。

 

ことし4月に1歳の子どもが入園した保護者 
「1人目の時は4月に入れず、年度途中にようやく入れました。いまは定員割れの園もあると聞き、入園しやすくなってありがたいです」

早川由美子 園長 
「以前は『0歳から入れないと保育園に入れない』と悩む保護者もいましたが、いまは選択肢も増えてゆとりをもって入園希望を出している印象です。一人ひとりの成長に合わせた関わりができていると思います」

一方で、区の担当者は地域ごとにみると定員に余裕がない園もあるとしたうえで、マンションなどの建設が進めば今後、待機児童が再び発生する可能性もあり状況を注視したいとしています。

文京区幼児保育課 奥田光広 課長 
「待機児童がゼロになり、ひとまず安心しています。保護者のニーズを聞き取りながら保育サービスを展開していきたい」

専門家“安心して保育を提供できる状況になっていない”

保育の問題に詳しい日本総合研究所の池本美香上席主任研究員は、待機児童が5年連続過去最少となったことについて次のように分析しています。

日本総合研究所 池本美香 上席主任研究員 
「施設の整備を進めた成果が出て、待機児童が減少しているともいえるが、一度ゼロになった後に再び増えた自治体もあり、地域差無く、すべての子どもが確実に保育所を利用できるという見通しが持てる状態にはなっていない。

現状では処遇の低さや配置基準の問題で現場の負担が大きく、事業者や働く人が先を見通して安心して保育を提供できる状況になっていない。保育所に求められる役割も増える中、やりがいをもって働くことができる環境に変えるとともに、今後の保育制度の在り方そのものを議論し、現場に方向性を示すべきだ」

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