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保育士の配置基準 改善へ ~そのポイントは?関係者の受け止めは?~

  • 2023年3月30日

政府は、3月31日、少子化対策の強化に向けたたたき台を公表します。

2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかのラストチャンスだとするなか、繰り返しお伝えしてきた「保育士の配置基準」の改善も含まれる見込みです。

「保育士の配置基準」がどのように改善されようとしているのか。現場の保育士は、どう受け止めているのか。さらなる課題はないのか。

保育現場を取材するNHK首都圏局の浜平夏子記者、教えて下さい。

1歳児と4・5歳児 改善ポイントは?

井上アナ

保育士の配置基準、どう改善されるんですか?

浜平記者

1歳児については今の「子ども6人に保育士1人」から「5人に1人」に。
4・5歳児については30人に1人」を「25人に1人」に改善するとしています。

 

長年、課題とされてきた問題ですよね。

 

そうなんです。4・5歳でいれば、70年以上、基準がそのままとされていました。
現場の保育士からは、今の配置基準では、子どもたちに寄り添った保育が難しいという声が上がっていました。
私たちがお伝えしてきた「保育現場のリアル」でも、現場の保育士の大変さを描いたこんな漫画も紹介しました。

配置基準の改善 必要な理由とは

 

保育士の繁忙感が伝わるマンガですよね。

 

以前取材班が話を聞いた保育園の運営法人の理事長の平松知子さんは次のように話しています。

平松知子さん
「私たちの声が国政に届いて、今の保育士の配置基準は現実的ではないとして反映されることは、一定評価したいです」

また、平松さんは「もっと遊びたいという要望や、気持ちがのらない子どものケアにひとりひとり対応することができる」などとして手厚い配置により、子ども一人ひとりが大切にされる保育になると、改めて強調しました。

そのうえで、平松さんは次のように考えています。

平松知子さん
「これで終わりではなく、配置基準がもっと改善されていくことが必要だと思うので、引き続き現場目線で考えてほしい」

 

保育所では、保育士たちの繁忙感とともに、各地で、不適切保育も相次ぐなど、課題が山積しています。
まだ、具体的にどう改善されるのか、分からない部分もありますが、配置基準の改善に向けた動きそのものは、前向きに受けとめたいと思っています。

保育現場の課題・・・処遇改善にも

 

一方、これが実現したとして、課題はないのでしょうか。

 

やはり、こうした基準の改善にあわせて、保育士の処遇改善も急務だとおもいます。今回のたたき台には、保育所の利用要件を緩和して、親が働いていなくても、子どもを預けられる制度も検討するとしています。
これにより、今より保育士が必要となりますが、処遇が改善されなければ、実現は難しいと感じています。

専門家も、その点を強く指摘しています。

保育の問題に詳しい「保育園を考える親の会」 顧問 普光院亜紀さん
「やっと保育の質の改善に取り組んでくれるのかとほっとしています。これまで、待機児童の問題を解消するため、保育園の量の整備に力を入れて保育士の配置基準は後回しにされてきた背景があります。
それが、昨今の保育現場での事故や不適切な保育に、つながっていると思うで、この機会に保育の質の改善にしっかり取り組んでいただきたい。ただ、今はどこでも、保育士が不足しています。原因は処遇が低いことだと言われています。
配置基準だけでなく、処遇も改善することで悪循環を断ち切る必要がある」

 

配置基準の見直しがあったとしても、それで保育の課題が解決するというわけではないようですね。

 

私たちのもとには、去年秋から、保育士を中心におよそ1000人から、保育所の厳しい実態を訴える声が届いています。
こうした見直しが、現場の保育士はもとより、子どもを預ける保護者にとっても意味のあるものとなるのか、しっかり見守りたいと思います。

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