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クラミジア 尖圭コンジローマ 梅毒 急増の性感染症 症状や治療は

  • 2023年7月3日

国立感染症研究所は、クラミジアや淋病など4つの性感染症について、1医療機関あたりの数を調べる「定点把握」を行っています。「梅毒」の感染者が急増する中、「クラミジア」と「尖圭コンジローマ」という性感染症も、ことし5月に報告された感染者数がここ10年で最も多くなったことがわかりました。主な性感染症の広がりや症状などについてまとめました。

クラミジア・尖圭コンジローマ ここ10年で最多

5月 性感染症の報告 国立感染症研究所
クラミジア     性器ヘルペス 尖圭コンジローマ 淋病
2.76人

0.81人

0.62人 0.85人

※赤字はここ10年で最多

国立感染症研究所は、感染者数が特に多い4つの性感染症について、全国およそ1000か所の医療機関から毎月の感染者数の報告を受けて1医療機関あたりの感染者数を算出する「定点把握」を行っています。

それによりますと、5月の1医療機関あたりの感染者数は、クラミジアが2.76人、性器ヘルペスが0.81人、尖圭コンジローマが0.62人、淋病が0.85人となりました。

このうち、クラミジアと尖圭コンジローマの報告はここ10年で最も多くなりました。また、淋病と性器ヘルペスの感染者数も高い水準で推移しています。

クラミジア 症状と治療

クラミジアは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌が原因で、性感染症の中では最も感染者数が多いとみられています。
目やのど、性器や尿道などのほか、女性の場合は卵管や子宮頚管に炎症などの症状が出ることがあり、放置すると不妊症の原因にもなりますが、無症状で感染に気付かない人も多いということです。
抗菌薬の服用で治療できます。

淋病 症状と治療

淋病は「淋菌」が原因の性感染症で、感染力が非常に強いとされています。発症すると男性は性器から「うみ」が出ることがありますが、女性は症状に気付かない場合が多く、進行すると子宮内膜炎や卵管炎などを起こし不妊症の原因になるということです。
治療には抗菌薬が有効ですが、薬の効きにくい淋菌も増えていて、現在治療に使える抗菌薬は2種類にとどまるということです。

性器ヘルペス 症状と治療

性器ヘルペスは、「単純ヘルペスウイルス」の1型と2型が原因で、性器に潰瘍や水ほうができると歩くのが難しいほどの激しい痛みを感じることもありますが、無症状のことも多いということです。
抗ウイルス薬や抗炎症薬などで治療を行いますが一度感染すると、ウイルスが身体の中に潜伏し、何度も再発する可能性があります。

尖圭コンジローマ 症状と治療

尖圭コンジローマは、子宮頚がんの原因ともなるHPV=ヒトパピローマウイルスに感染することで起きる性感染症です。性器の周辺に小さなとがったいぼができますが、いぼができず、症状に気付かない場合も多いということです。
手術でいぼを切除したり塗り薬を使ったりして治療するほか、HPVワクチンで予防することもできます。

HIV 症状と治療

このほか、国立感染症研究所は、HIV=ヒト免疫不全ウイルスや梅毒の感染状況も調べています。
HIVは感染後、治療をせずに数年から10数年たつとエイズ=後天性免疫不全症候群の発症につながります。
体の免疫機能が低下し、さまざまな合併症を引き起こしますが、ウイルスが増えるのを抑え、病気の進行を抑える治療薬も普及しています。

梅毒 症状と治療

また、梅毒は1999年にいまの方法で統計を取り始めてから最多となるペースで増加しています。
感染しても無症状だったり、症状が出てもすぐに消えたりすることがあり、治療せずに放置すると全身で炎症が起こって深刻な状態になることもあります。

妊婦が感染すると、死産や流産につながるリスクがあるほか、母子感染で子どもが「先天梅毒」になり、皮膚や骨の異常、難聴や視覚障害といった症状が出るおそれもあります。

抗菌薬を一定期間服用したり、抗菌薬を注射したりする治療法が確立しています。

“誰でも感染しうると考えてほしい”

札幌医科大学の安田満病院教授は、ここ数年急増している「梅毒」以外の性感染症も増加傾向にあるとした上で、次のように話しています。

札幌医科大学 安田満 病院教授
「性感染症はより身近な問題になっていて、誰でも感染しうると考えてほしい。女性の場合は、感染を放置すると不妊につながるおそれもある。コンドームを使うなど、感染しないよう気をつけてほしい」

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