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目が不自由でも楽しめる囲碁「アイゴ」普及へ 柿島光晴さんの思いとは?

  • 2023年6月9日

囲碁を通して目が不自由な人が社会との繋がりを深められたらと、そんな思いで「アイゴ」と呼ばれる視覚障害者用の碁石と碁盤の普及に取り組んでいる男性がいます。

それが、23歳の時に病気で視力を失った柿島光晴さんです。

アニメをきっかけに囲碁を始めたことで交友関係が広がり、より生きがいを感じられるようになった柿島さんは、この充実感を多くの人にも感じてもらえればと、全国の盲学校などをまわって普及に取り組んでいます。

「アイゴ」って?

東京・中野区の地下鉄、中野坂上駅の目の前にある囲碁サロンです。
子どもから年配の方まで、囲碁の腕前を競い合っています。
交互に白と黒の石を置いて陣地を取り合うおなじみの囲碁ですが、使用する道具は…

「アイゴ」と呼ばれる、目が不自由な人でも囲碁が楽しめように作られた道具なんです。

黒い碁石の表面には突起がある一方、白い碁石の表面には突起がありません。
このため、突起物の有無で黒か白か分かるんです。

さらに裏側には溝があって、立体的になっている碁盤の目に碁石の溝をはめると、しっかりと固定できるんです。

普及活動に取り組む 柿島光晴さん

この「アイゴ」を広めようと活動している柿島光晴さんです。
柿島さん自身も23歳の時、病気で視力を失いました。

柿島光晴さん
「囲碁の別名は手談(しゅだん)と呼ばれているんです。一手一手打つ中で相手とのコミュニケーションがとれるんです」

囲碁にのめり込むも…つらい時期も

盲学校時代に出会ったアニメをきっかけに囲碁の世界にどっぷりとはまった柿島さんですが、当時の道具は形状が特殊で、誰もが違和感なく碁を打てるようなものではありませんでした。

柿島さん
「当時の碁盤を碁会所に持って行くと、この碁盤で打ちたくないと目の見える方がいらっしゃったんです。だから、碁会所に行きづらくなった時期がありました」

「それでも囲碁は続けたい」と願っていた柿島さん。
17年前に出会ったのが「アイゴ」でした。

「アイゴの最大の魅力は、見える人にも普通の碁盤として見えるところです。これによって私たちは見える人たちとも同じように碁が打てるんです」

囲碁で交友関係広がる “充実感を感じて”

囲碁を始めたことで交友関係が広がり、より生きがいを感じられるようになった柿島さんは、この充実感を多くの視覚障害のある人にも感じてもらえればと、全国の盲学校などをまわり普及に取り組んでいます。

そんな柿島さんの活動を通して、囲碁に魅せられたのが外谷渉さんです。
生まれつきほぼ視力がありません。

子供のころから囲碁やオセロに興味があったものの手が出せずにいた外谷さんは「アイゴ」を知って4年前に囲碁を始めました。

外谷さん
「非常に大きな人生の一部になっているというか、非常にいい出会いだった」

アイゴでいろいろな世界の方々とコミュニケーションがとれる

次第に囲碁熱が高まり、会社の仲間を誘ってに囲碁サークルを立ち上げるまでになりました。現在、メンバーは15人ほどまで増えています。

外谷さん
「囲碁という起点でいろんな方と人脈がつくれて交流ができた。『アイゴ』がなかったら、そもそもスタート地点にたてなかったです」

囲碁を通して、大きな自信をつかんだ視覚障害がある人の姿に、柿島さんは、アイゴの可能性に手応えを感じています。

柿島さん
「囲碁は見える方とも自分たちともただ一対一で打てるという、そこにおもしろさがあり、自己肯定感が高まるものです。『アイゴ』があればいろんな世界の方々と囲碁でコミュニケーションがとれるんです。今後は、障害のない人と一緒に楽しめる囲碁大会というものを開催したいと思っています」

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