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コロナ5類1か月 インフルエンザやRSウイルス感染症などが流行!?

  • 2023年6月8日

新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから1か月がたちました。こうしたなか医療機関では、新たな懸念が生まれています。
それが、インフルエンザやRSウイルス感染症などの流行です。
専門家は、5類への移行で感染対策も緩和されたことが影響していると指摘します。

芳賀赤十字病院…5類移行で病床削減

栃木県真岡市の芳賀赤十字病院では、8日正午時点の新型コロナの入院患者は1人となっていて、感染者の少ない状況が続いています。

この病院では、新型コロナの感染拡大時には44床がコロナ病床として使われていました。
しかし、5類に移行し、いまは8床に削減しているということです。
この秋以降は、コロナ専用病床を廃止し、一般の病床で対応する方針です。

一方で、「院内クラスター」を防ぐため、患者や家族にマスクの着用を求めるとともに、発熱の症状のある救急患者に対し、新型コロナの検査を行っています。
今後の感染対策をどうすべきか。病院では手探りの対応を続けています。

芳賀赤十字病院 本多正徳 院長
「今コロナは過渡期だと思います。今後どういう風な対策を取るべきか、模索状態でいるというのが現実です」

5類移行で新たな懸念も

一方、5類移行によって新たな懸念を抱えているという医療機関もあります。

虎ノ門中村クリニック 中村康宏 院長
「検査の機会が減っているという所ですね。実態自体が見えにくくなっているのかなと思います。お熱で来られてもマスクのないような方もいらっしゃいますし、強制ができない。接触歴があるかっていうことは、もちろんお伺いするんですけれども、そこまで協力的でなくなくなりました」

5類移行から1か月。今でも新型コロナの患者を連日診察しています。

「コロナの患者さんは1日に2名から5名くらいいらっしゃいますね。学校で友だちがみんな熱で休んでいるとか。コロナが会社ではやっている。クラスターのような状況というのをお聞きすることが増えたかなと思います」

さらに、子どもを中心にインフルエンザなどの感染も増えていると指摘します。

「インフルエンザも増えていると思いますし、RSウイルスもお子様のなかでたくさんでています。マスクしない、手洗いの回数が減ったとかで接触感染してしまうケースが増えています」

社会全体で感染対策が緩和される中、クリニックでは感染症全般への危機感を高めていきたいとしています。

「今までは制度に守られていたところもあると思うんですけど、これからは自分たちでしっかり改めて感染対策って何かということを考えてやっていかないといけない、医療機関独自の取り組みが必要なのかなと思います」

インフルエンザやRSウイルス感染症 増加傾向

国立感染症研究所によりますと、5月28日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は7975人で、1医療機関あたりの患者数は1.62人でした。

インフルエンザは通常12月から3月にかけて流行し、ピーク時と比べると低い水準にあるものの、5月下旬に1医療機関あたりの患者数が流行の目安となる「1人」を超えるのは10年前の2013年以来です。

また、子どもを中心に近年、夏から秋にかけて流行する「RSウイルス感染症」や、乳幼児に多く見られる夏かぜの代表的なウイルス性の感染症の「ヘルパンギーナ」の患者数も増加しています。

5月28日までの1週間におよそ3000か所の小児科の医療機関から報告された1医療機関あたりの患者数は「RSウイルス感染症」で1.95人、「ヘルパンギーナ」で1.33人と、いずれも3週連続で増加しました。

5類移行前の1週間と比較すると「RSウイルス感染症」は2倍に、「ヘルパンギーナ」は5倍に増加しています。

厚生労働省
「社会経済活動が日常に戻る中で、季節的な要因もあり、一定の流行を起こす感染症が今後も出てくるとみられるので様々な感染症の流行状況を注視していきたい」

“5類移行で感染対策緩和されて広がった”

こうした状況について東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、新型コロナの5類移行で感染対策も緩和されたことが影響していると指摘します。

東京医科大学 濱田篤郎 特任教授
「いずれの感染症も新型コロナウイルスの流行が続いた過去3年間、国際的な往来の急減や厳しい感染対策の実施などを背景に、あまり大きな流行が起きておらず免疫がかなり落ちていることが原因にあるのではないか。そこにコロナの5類への移行でマスクなどの対策も緩和され広がりやすくなっていると考えられる」

今後の対策については、次のように呼びかけています。

濱田 特任教授
「誰もが常にマスクを着けるなど以前の生活に戻るというのは現実的ではないが、例えば学校のクラスや家庭など身の回りで感染症がはやり始めたときに対策をすることは有効だ。コロナとインフルエンザに限らず、呼吸器感染症ではせきや熱などの症状があれば、安静にして周りにうつさないよう配慮し症状がつらければ病院を受診することが大切だ。それが症状の回復や感染を広げないことにもつながると思う」

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