現在放送中の、連続テレビ小説「らんまん」。
植物に情熱を注ぐ主人公・万太郎の姿が印象的ですが、そのモデルで「日本植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎博士と「植物」を通して交流を重ねていた薬局が東京・文京区にあります。
明治初めに創業した老舗薬局と牧野博士とのつながりなどについて取材しました。
東京大学・赤門前から歩いて2分のところにある文京区・本郷の「高島堂薬局」です。
店頭にある調剤室では、昔ながらの「はかり」と「分銅」を用いながら、薬の調剤が行われています。
こちらの薬局で処方されるのは、いわゆる「漢方薬」です。
植物や鉱物などに由来した「生薬」を混ぜ合わせて作られます。
生薬のほとんどは、代々、受け継がれる百味箪笥で管理し、常におよそ160種をそろえています。
10年ほど前に、先代から薬局を任された5代目の戸田哲司さんです。
道具や知識と共に、代々受け継がれる“ことば”があると言います。
戸田哲司さん
「高島堂はもともと『自前のお薬を売りなさい、ほかのお薬を売ることは誰でもできるよ』と言われていて、それは、結局(症状ではなく)その人、その人にあった薬を作ってあげなさいということなんですよね」
創業は漢方薬が主流だった明治3年です。
東京大空襲で店が焼失するも、創業以来、同じ場所で、薬を販売してきました。
店の顧客には著名人も多くいます。
川端康成さんとか、平塚らいてうさんとです。
なかでも、お世話になったというのが、現在放送中の、連続テレビ小説「らんまん」。
植物に情熱を注ぐ主人公・万太郎の姿が印象的ですが、そのモデルで「日本植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎博士です。
東京大学で植物学の研究をしていた牧野富太郎博士から年賀状が送られています。
3代目にあたる先々代は、牧野博士の研究室に通う仲だったと言います。
右:3代目の娘・雨宮洋子さん
3代目の娘・雨宮洋子さん
「父(3代目)は植物採取に牧野先生に連れて行っていただいて、漢方は良いモノだっていうことで脈々と続けて守ってきた」
薬局には、いまも多くの人が薬を求め訪れます。
少し頭に熱を持ったり、重い感じなどはありますか?
日常は変わりませんけどね。少し治ってまいりました。
低気圧が近づいてくると、ちょっと頭が痛くなったりとかいうのは?
患者さんに合う薬を作るため、体調を細かくチェックしています。
5代目・戸田哲司さん
「店に入ってきた時から見ているので、服装とか、お顔色とか、肌の色艶とか、お話をしたときの声色とか、声の大きさとか、そういうのから見ています」
聞き取りは30分続くこともあると言います。
よく観察してくださってお薬を調合して下さるので感動ですよ。
良くして下さろうという、その思いで聞いて下さるから何でも話せます。
5代目・戸田哲司さん
「良い生薬をつかって、患者さんの相談を真摯に良いお見立てができて、地域の人に利用をしてもらえると一番うれしいです。いま大体160年くらいなので200年まではいきたいです」