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関東大震災 旧和泉町ポンプ所が解体に 焼け残った地域の奇跡伝える

  • 2023年5月30日

ことしは関東大震災から100年です。当時、東京の市街地の広い範囲が地震による火災で焼失する中、神田和泉町と隣接する神田佐久間町の一角だけが焼け残り、「奇跡」として地元で語り継がれてきました。その遺構ともなってきた旧和泉町ポンプ所が解体されることになりました。

「旧和泉町ポンプ所」役割を終える

東京・千代田区神田和泉町にある「旧和泉町ポンプ所」は、関東大震災の前年の1922年に完成し、秋葉原駅からほど近いところにあります。

6年前の2017年まで、東京都下水道局が下水処理に使用してきましたが、その役割を終えて跡地に千代田区の施設が整備されることになり、解体が決まりました。

祖父母の代からこの町に家がある後藤市郎さん
「遊び場でしたからね、われわれの。この屋上で、たこ揚げたりしました。もうわれわれ生まれた時からここにあったものがなくなって、見納めですものね」

この一角だけ焼け残った「奇跡」

100年前の関東大震災では、周辺のほぼすべての地域が火災で焼き尽くされました。関東大震災の火災動向を調査した地図には燃えたところが赤色で示されています。
この中で。この施設のある神田和泉町と隣接する神田佐久間町の一角だけが焼け残り、「奇跡」として地元で語り継がれてきました。

「奇跡」の理由 言い伝えや専門家分析では

「奇跡」はなぜ起きたのか。言い伝えや専門家の分析では、周囲に耐火性のある建物があったことなど複数の好条件が重なったことに加え、このポンプ所などの水利施設を使って住民たちが必死の消火活動を行ったことが要因とされています。

後藤市郎さん
「100年前の震災で、町の人がこのポンプ所の水を使って必死に消火したという話はよく伝え聞きました。当時を知る人はもうなく、大正時代の建物も町からなくなることになりさみしいですが、町は変わっていくもので仕方ないとも思います」

解体跡地には区の子育て支援施設

解体工事は29日から始まり、現場では資材の搬入や安全のための囲いの設置に向けた準備が進められていました。ポンプ所はことし9月までに解体され、跡地には区の子育て支援施設が整備される予定です。

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