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自転車専用通行帯に違法駐車 23区8割余の路線 走行妨げる状況が

  • 2023年5月30日

自転車の関係する事故が全国で相次ぐ中、車道の端を青く塗装するなどして区切り、自動車と分離する自転車専用通行帯などの整備が進められる一方で、利用者からは違法駐車によって通行帯の走行が妨げられているという指摘もあります。東京23区では2022年10月の時点で、自転車専用通行帯の8割余りに違法駐車があったことがわかりました。

違法駐車と自転車専用通行帯 ビックデータ分析

NHKは、通行帯の違法駐車の実態を調べるため、警視庁が2022年10月の平日の1日に行った調査で得られた東京都内の路上駐車のビッグデータを入手し、独自に分析しました。
分析は、昼と夕方に確認された違法駐車およそ8万2000台の位置や車種などの情報に、通行帯の位置を重ねて行いました。

東京23区 自転車専用通行帯の85%に違法駐車

その結果、東京23区の通行帯134路線のうち85%にあたる114路線に違法駐車があり、台数はのべ1372台に上ることがわかりました。
中には120メートルの区間にのべ13台の違法駐車があった場所もあって、自転車の安全な走行が妨げられている実態が見えてきました。

車種別に見ると、最も多かったのが普通乗用車で505台だった一方、大型貨物車は277台、軽貨物車は220台、普通貨物車は200台と、貨物自動車があわせて697台にのぼり、全体の半数以上を占めました。

自転車専用通行帯で衝突事故も

警察庁によりますと、2022年1年間に全国で発生した自転車が関係する交通事故は6万9985件と、2年連続で増加しました。

また、交通事故総合分析センターの集計によりますと、自転車専用通行帯で自転車が止まっていた車に衝突する事故も起きていて、2022年までの5年間に全国で57人が重軽傷を負っているということです。

さらに、通行帯に止まっていた車を避けようとした自転車が、後ろから来た車と接触する危険性についても専門家などから指摘されていますが、事故の統計がなく、全容はわかっていません。

“命に関わる重大事故起きかねない危険な状態”

都市交通が専門で、自転車の通行空間に関する国の委員会の委員を務める埼玉大学大学院の久保田尚教授は、今回の分析結果や課題について次のように話しています。

〇分析の結果について
想定していたよりも自転車専用通行帯での違法駐車の数が多く、非常に驚いている。東京以外の都市部でも同様の問題が起きていてもおかしくない。自転車にとっては、後ろを確認しながら駐車車両を避けるのはハンドル操作が難しい。幹線道路では自動車もスピードを出しているので、命に関わる重大な事故が起きかねない危険な状態だ。

〇通行帯の課題について
外国と比べて道幅の狭い日本で、歩行者や自転車、自動車に加え、電動キックボードなどの新たな乗り物が共存できるようなルールや構造を考えることは大きなテーマだ。通行帯を『命を守れる場所にすること』を最優先に警察や道路の管理者、住民、物流業界などさまざまな主体がしっかりと話し合い、まちづくりの問題として取り組む必要がある。

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