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東京・九段会館 二・二六事件などの舞台 当時の様式を残し高層ビルに

  • 2022年9月13日

東京の「九段会館」が、元の建物の一部を残しつつ高層ビルに建て替わり、内覧会が行われました。陸軍の青年将校らが首都・東京の中枢を占拠した二・二六事件で戒厳司令部が置かれるなど昭和史の舞台ともなった「九段会館」の新たな姿のほか、現代の技術で当時の様式を保存・復元する苦労や工夫などについて聞いてきました。

昭和史の舞台「九段会館」 二・二六事件では戒厳司令部

東京・千代田区の九段会館は、戦前の昭和9年に「軍人会館」として建てられました。陸軍の青年将校らが首都・東京の中枢を占拠し、政府要人らを殺害した昭和11年の二・二六事件で戒厳司令部が置かれるなど昭和史の舞台ともなりました。

戦後は結婚式場や宿泊施設 九段の象徴のひとつに

戦後は結婚式場や宿泊施設として運営され、東京・九段の象徴のひとつとして、多くの人でにぎわいました。しかし、東日本大震災で天井が落下し死傷者が出たことなどから、揺れを吸収して抑える高層ビルへの建て替えが決まり、ことし7月、工事が終わったことを受け、内覧会が行われました。

新たな姿 当時の様式を残す施設と17階建てビル

ビルは元の九段会館の一部を残し、現代の技術で当時の様式を保存・復元した施設と、オフィスなどが入る17階建てのビルに分かれています。

このうち。九段会館の象徴といわれ黄色から深緑までのグラデーションがある屋根瓦は、昭和の中頃に途絶えた「瀬戸瓦」でできていて、今回、職人や釉薬メーカーなどが試行錯誤を重ねて色合いなどを再現したということです。

また、宴会場などに使われる部屋の壁に施された波のような模様は、職人が専用のこてを作って一つ一つ模様と色を付けたということです。
保存・修復にあたっては、建物を再現しようにも、当時の“竣工図”も残されておらず、使う資材も現代では調達が困難なものばかりだったということです。

工事を行った鹿島建設工事事務所 神山良知 所長
「復元のための調査で判明した驚くべき昭和の職人の技術をなんとか再現しようと今ある技術を注ぎこみました。作り込みをここまで再現し、完成度はかなり高く、歴史的な意味を後世に伝えることができる建物だと思います。ぜひ、見て楽しんでほしい」

事業主の東急不動産の伊藤悠太さんは「震災の経験から安心安全を目指した建物になった。地域の方に愛され、象徴になっていくような、多くの人に親しんでもらえる施設になってほしい」と話していました。ビルは10月1日に開業し、一部が一般に開放されます。

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