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定点把握 東京都のコロナ感染者数 数値どう見れば?5類移行で

  • 2023年5月18日

東京都は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行して初めて、定点把握による感染者数を発表し、5月14日までの1週間で1医療機関あたりでは2.40人でした。
前の週に比べて1.7倍になっていて、専門家は「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」としています。
東京都内のクリニックの状況や、定点把握による発表された数はどう見ればいいのか、詳しく解説します。

定点把握 前週比1.7倍に

新型コロナの感染者数は、これまでは毎日、医療機関などから全数が報告されていましたが、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したのに伴って、一部の医療機関が1週間分を報告する定点把握に変わりました。

これを受けて都は18日、5月8日から14日までの感染状況や専門家が分析するモニタリング結果について、公表しました。

それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、414か所から報告があった感染者数の合計は994人で、1医療機関あたりでは2.40人でした。

都は、感染の推移を分析するため、全数を把握していた去年10月から5月7日までの各週についても、定点把握で集計し直していて、それによると、前の週は1.41人で、今週は1.7倍になったこととなります。

専門家
「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」

東京都内 患者数増のクリニックも

東京都内のクリニックの中には、新型コロナウイルスの陽性になる患者の数が、大型連休の前と比べて増加しているところもあります。

東京・新宿区のクリニックの発熱外来では、新型コロナの陽性となる患者が大型連休前の4月は1日1人から2人ほどだったのに対し、大型連休明けの5月は、1日3人から5人ほどの日が多く、およそ2倍に増えています。

一方、発熱外来を訪れる患者の数は、1日15人ほどと大型連休の前後で変わっていないということです。

これまでの傾向では新型コロナの陽性となる患者が増える際は発熱外来の患者も増えていたということで、クリニックの医師は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したあと、症状があっても受診しない人が増えている懸念もあるとしています。

また、ワクチンを接種済みの高齢者が陽性になるケースが以前より目立つようになっているということです。
 

「落合駅前クリニック」安藤策郎院長
「マスクの着用が自己判断になったり、会食やコンサートなど人が集まる機会が増えたりしたことで陽性患者が増加したと考えられる。『定点把握』になり、人々の新型コロナに対する意識が薄れていることもあるかもしれない。
感染症の分類が変わってもウイルスの性質が変わるわけではないのでこれまで失われてきた人との交流などを楽しみながら引き続き基本的な感染対策をとることが大切だ」

モニタリング項目どう変わる?

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行し、感染動向や医療提供体制への負荷を分析するモニタリング項目は新規感染者数、発熱相談件数、入院患者数、それにゲノム解析による変異株の監視などに限定されます。

このうち、新規感染者数については、医療機関などがすべての感染者数を報告する「全数把握」から、季節性インフルエンザと同じ都内419の医療機関が報告する「定点把握」へ変更されました。

都は、全数を把握していた去年10月から5月7日までの各週についても、定点把握で集計し直していて、これまでと同じように、前の週やそれ以前の数値と比べて感染の推移を分析するほか、専門家が見解を示します。

一方、PCR検査などの陽性率や、重症患者数、それに感染状況と医療提供体制の4段階の警戒レベル分けは項目からなくなりました。

都は18日から9月まで、毎週木曜日にホームページで分析結果を公表し、9月以降については感染状況や専門家の意見を踏まえながら検討することにしています。

関東各地の数は?

5月14日までの1週間、関東地方の各県で定点把握された感染者数です。

千葉は3.08人
埼玉は3.02人
茨城は2.71人
栃木は2.64人
群馬は2.41人
神奈川は2.33人

定点把握 数字をどう見れば?

井上アナ

改めて定点把握とは、どのような数字なのでしょうか。

記者

定点把握というのは、一部の医療機関で確認された感染者数から感染の推移をみるものです。
インフルエンザの流行状況をみるため発表されている数値と同じ方法で計算されます。

都の場合、まず、都内の419の医療機関から報告される感染者数の合計を足し上げます。その数を医療機関数で割った一医療機関あたりの平均値が定点把握の数値となります。

18日、都が公表した数値は2.40でした。ひとつの医療機関に1週間で平均2.40人の感染者がいたということになります。  

 

この数値からどういったことがわかるのでしょうか。

 

都は、感染の推移を分析するため、全数を把握していた去年10月から5月7日までの各週についても、定点把握の形式で集計し直しました。
それがこちらのグラフです。下のグラフは、これまでの全数把握によるものです。

 

グラフの推移をみると同じような増減になっていますね。

 

それぞれ、全く違う調査方法になるので単純に比較することはできませんが、都はこれによって感染者数の増減が分析できるとしています。
今回の数値について、専門家は前の週と比べて「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」と指摘しています。  

 

そうすると現段階では数値から判断するのは難しいということになりますね。

 

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、「5類に移行したことで感染しても診断を受けない人が増えることが予測され、数字に表れない感染者はこれまでよりもさらに多くなるのではないか」と話しています。
こうした指摘もあることから都は発熱相談の件数などほかの数値とあわせながら分析を進めることにしています。
私たちひとりひとりも自身の身の回りの状況をみながら、コロナへの備えを忘れないことが重要だと思います。 

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