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Jアラート誤発信 東京・大島町ではどう動いた 緊急一時避難施設は?

  • 2022年10月6日

2022年10月4日、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際、Jアラートが東京の島しょ部に誤って出されたことが後にわかりました。情報発信の課題が浮き彫りになる一方で、今後わたしたちはどう対処することができるのでしょうか。Jアラートが出された直後の東京・大島町の住民の行動や、行政の受け止めなどをまとめました。

「緊急一時避難施設」誤発信された島しょ部にも

東京都は、法律に基づいて万が一のミサイルの飛来などによる爆風などからの直接の被害を軽減するため、コンクリートの建物や地下街などの頑丈な施設を「緊急一時避難施設」として指定することを進めていて、9月までに都の人口1400万人分の一時的な避難先をおおむね確保したとしています。

10月4日の午前7時半前、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際、警戒を呼びかけるJアラートが東京の島しょ部に誤って出されたことが後にわかりましたが、島しょ部の2町7村には、あわせて102の施設があるということです。

施設まで1キロ 避難せず自宅にとどまる

誤発信ではありましたが、Jアラートが出された直後の行動から課題も見えてきました。
大島町で、島の南部の差木地地区に住む菊地かをりさんは、Jアラートの対象の地域に大島町が入っていることに不安を感じたものの、外へ出て避難することは考えられず、自宅に居続けることにしました。

ただ、振り返ってみても、施設へ避難するのは難しかったと考えています。

菊地さんの自宅から最も近い「緊急一時避難施設」まで1キロほどの距離があります。徒歩で移動するには20分ほどかかる上、車で移動しようにも、同居する義理の母親は車いすを利用していて、母親を車に乗せて出発しても、間に合わないというのです。

施設まで車でも2分半 “間に合わない”

さらに、車で移動するとどれくらい時間がかかるのか、計ってみたところ、およそ2分30秒かかりました。
きのう、ミサイルが青森県の上空を通過したのはJアラートが最初に発信された1~2分後とみられています。

大島町 菊地かをりさん
「全然、間に合わない。ここはなにもないので頑丈な建物に避難してと言われましたが、無理ですね。今の状況を考えると不安ですが、家の中で窓から離れるしかないと思っています。誤報でしたが、これを機会に、避難のしかたや身の守り方を考えたい」

32施設 直後に逃げ込んだ人はなし

大島町には32の緊急一時避難施設がありますが、町によりますと、Jアラートが出された直後、指定された避難施設に逃げ込んだ人は1人もいなかったということです。

大島町 三辻利弘 町長
「避難行動について、周知をはかってきたが、たった数分間に施設まで避難するのは極めて難しいと感じた。建物の中や地下に避難とか、建物がない場合は物陰に身を隠す、常日頃からそのようなことを住民に想定して対応してもらうことが一番大事だと思っている」

情報発信の課題は “システム上の不具合”

Jアラートが誤って東京の島しょ部に出されたことについて磯崎官房副長官は、5日の記者会見で「Jアラートの自動送信をする際過去の訓練による送信先の情報が本来、消去されるべきところ、オペレーターの画面では確認できないシステム上の不具合で消去されなかったことから、必要がなかった東京都の島しょ部9町村に送信されてしまったものだ」と述べました。
その上で、「不具合の修正を取り急ぎ行っているところで、5日中には、作業が終了する見込みだ」と述べました。

一方、東京都は5日、政府に対し、要望書を出しました。それによりますと、「今回のような誤発信は的確な避難などの妨げになる上、Jアラートへの都民の信用を失わせることになりかねない」と指摘しています。
その上で、ただちに不具合の解消や改善を図り、自治体に対して、不具合の詳細や改善状況について明確な説明を行うこと、警戒地域への到達予定時刻や通過地点など、避難に必要となる詳細な情報について迅速かつ的確に情報提供を行うことを求めています。

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