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SNSで拡散 “AI生成の偽の災害画像” ファクトチェックはどうする

  • 2022年9月30日

台風15号(2022年)の豪雨の際、SNS上にドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像が拡散しましたが、NHKの取材に対し投稿者は偽の画像であることを認めました。今回の画像を偽画像と判断するために専門家はどんなところに着目したのでしょうか。専門家のアドバイスに加え、偽画像や間違った情報が広がらないようにチェックする動きについてまとめました。

“AIで生成の偽画像” 災害の様子として拡散

台風15号による豪雨の影響で、静岡県で浸水などの被害が出る中、9月26日、ツイッターにドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像が投稿されました。

画像では住宅地が広い範囲で浸水しているような様子が見え広く拡散されましたが、信頼性についての指摘が相次ぎ、NHKの取材に対し投稿者は「AIが画像を生成するサービスを使った」などとして偽の画像だということを認めました。

拡散した画像 専門家が指摘する不自然な点

この画像について、情報セキュリティーを専門とする東京・千代田区の国立情報学研究所の越前功教授に分析してもらいました。

それによりますと、投稿者が使ったとされるサービスは入力した文章に沿った画像をAIが生成するもので、注意深く見れば不自然な箇所は見つかるものの画質が悪いと判別がしづらく、手軽に巧妙な偽の画像を作り出せてしまうということです。

今回の投稿画像では、注意深くみると川の流れが急になくなるなど不自然なところがあるものの、木や川などは、本物と見分けるのは難しいということです。

それに比べると、建物は輪郭がゆがんでいるなど不自然な形をしていて、本物と見分けがつきやすいとしています。

情報源の確認を 似た画像やコメント 疑わしい点は?

災害時の被災地の画像が誤っている場合、避難の判断を間違えてしまったり、確認のため防災機関に負担がかかったりします。
越前教授は、画像が本物かどうか判断する方法として、情報源を確かめることが大切だとしています。
そのためには、似ている画像がないかインターネット上の検索サイトでキーワードを入力して、元となった画像を探したり、投稿へのコメントなどを見て、疑わしい点がないか確認したりしてほしいとしています。

国立情報学研究所 越前功 教授
「AIに学習させ画像を生成させる分野は急速に進歩し画像の精度も高まっていて、本物かどうか見分けるのが難しくなっている。SNSなどの画像はすぐに共有せず情報源を確認してみて、確認できない場合は、AIで生成した画像かどうか疑う必要があると思う。AIを使うと、実際の災害のような画像さえも作り出せることを認識した上で、インターネット上の情報に接してほしい」

情報の真偽を調査 ファクトチェックの機関を設立

SNSやインターネット上で、偽の画像や間違った情報などが広がるのを防ごうと、ネット上の情報の真偽を確かめて公表する機関が設立されます。
「日本ファクトチェックセンター」は、インターネットの関連企業でつくる「セーファーインターネット協会」が10月1日から設置します。センターには、記者経験者などが所属する「編集部」を設けて、個人がSNSやネットで発信した情報の真偽を独自に調べてファクトチェック記事として専用サイトなどで公表し、誤った情報の拡散防止を図るということです。

センターの活動は、ヤフーやグーグルの支援も得ていて、今後、国際的なファクトチェック組織の認証の取得を目指したいとしています。

「日本ファクトチェックセンター」運営委員会委員長 京都大学・曽我部真裕教授
「真偽を自ら調査する本格的なファクトチェック機関が国内に設置されるのは初めてとなるため、多くの人に理解を深めてもらうと共に信頼される機関にしていきたい」

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