岩間瞳キャスターが取材!こだわりの「白石もろきゅうり」

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厳しい暑さとなったことしの夏、
きゅうりをたくさん食べたという方もいるのではないでしょうか。
今回のイチオシでは、白石市のブランド野菜「白石もろきゅうり」を取材!
もともと“もろきゅうり”はきゅうりにもろみ味噌を添えた料理のことでしたが、
やがて、それに適した早どりのきゅうりそのものを指すようになりました。
「白石もろきゅうり」の味だけではない魅力に迫りました。

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まず訪れたのは仙台市中央卸売市場の場外市場。
各地でとれたきゅうりが並ぶなかで見つけたのが…

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白石市のブランドきゅうり「白石もろきゅうり」。
一般的なきゅうりの3分の2ほどの大きさで、
苦みが少なく、まっすぐで形がよいのが特徴です。
見た目の良さから、飲食店からの人気が高いといいます。

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杜の市場 青果担当 渡邊俊弘さん
「おいしく食べるためには食材の美しさも必要になってくると思うので、
まっすぐできれいな白石もろきゅうりを買い求める飲食店の人は多いですね。」

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美しいきゅうりはどのように育てられているのか、
収穫の最盛期でもあった真夏のある日、生産者を訪ねました。
もろきゅうりを育てて42年の川村照男さん(62)です。

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1本、収穫させてもらいました。
ハサミで根元を切ると、若いきゅうりということもあってとても柔らかい!
表面はトゲトゲしていて、切り口からは水も滴ってきました!新鮮な証拠です。

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白石もろきゅうりの生産が始まったのは、昭和45年。
何か特産品を作りたい、と農家たちが集まったのがきっかけでした。
いまは8件で年間10トンほどを出荷しています。
市場関係者によりますと、白石市は高知県と並ぶもろきゅうりの産地で
首都圏や関西への出荷も多く、プロの料理人からの引き合いも強いそうです。

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そこで、京都のある日本料理店に聞いてみたところ、こんな写真をいただきました。
白石もろきゅうりを使った和え物。
店主は「見た目が美しいのでさまざまな料理に使いやすい」と話していました。

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見た目のよさが大きな魅力の白石もろきゅうり。
実は、それを名乗るには厳しい条件があるのです。
1つ目は「真っ直ぐな見た目で均一な太さであること」

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川村さんの収穫作業を見ていると
「これはお尻が太い」「これは頭が張っている、太さが違う」と教えてくれました。
みなさんもよく見てみてください。
左の実は下のほうが太く、右は上が太いのです。
川村さんはこの時点で、こうした規格とのわずかなずれを見極めています。

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さらに、いま見えているきゅうりから畑の状態がわかるといいます。
きゅうりは花が咲いたときに実の形が決まってしまうため、
次にできる実が1本でも多く条件にかなうように日々、水と肥料の量を調整しています。

川村さん
「上が太いと水不足・下が太いと肥料不足というように、毎日収穫をしているときゅうりの状態が分かります。これまでの経験を生かし、日々努力して生産しています。」

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収穫したもろきゅうりは、袋詰めへ。ここでも白石もろきゅうりを名乗る条件がありました。
それは「長さ11.5センチ~14.5センチ」であること。
真っ直ぐできれいであっても、規格からはみ出ていれば白石もろきゅうりにはなれません。
きゅうりは半日で3センチ以上伸びることもあるそうで、収穫は朝と夕方の2回。
こうした手間をかけて「白石もろきゅうり」を名乗れるのは、2割ほどです。
ことしは猛暑の影響でさらに少なくなっているといいます。

川村さん
「皆さんに白石もろきゅうりは安心して買えると思ってもらっているので、質や長さなどの規格は間違いないものを出しています。」

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もちろん味も格別です。妻の民早子さんが用意してくれたのは、名前の由来であるもろみ味噌を添えた白石もろきゅうり。
暑さにこたえた体にきゅうりがしみました…。
柔らかくて甘みも感じられ、まるかじりで食べ応えもあり、とてもおいしかったです。

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少し大きい、曲がっているなど、規格外で「白石もろきゅうり」になれなかったものも
加工品のほか、産直や市場などに「ミニきゅうり」として出荷されています。
民早子さんはそのきゅうりで「わさび漬け」も作ってくれました。
柔らかい食感が漬物にぴったりでした!

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収穫は農業用ハウスも使って、12月上旬まで続きます。

川村さん
「日本全国から白石のもろきゅうりと期待されているので、これからも頑張っていきます。」

川村さんの家では、息子さんがもろきゅうり作りを継ぐということです。

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手間ひまかけて作られた「白石もろきゅうり」。
小さなその実からは生産者の大きな期待と、ブランドを守る高いプライドを感じました。

【取材:岩間 瞳キャスター】



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