イチオシ!「佐々木成美キャスターが取材! アイスに込めた熱い思い」

記録的な暑さとなったことしの夏。暑い中、食べたくなるものと言えば「アイス」ではないでしょうか。宮城県内で作られているアイスに注目し、作り手の〝熱い〟思いに迫りました。

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まず訪れたのは富谷市内のスーパー銭湯です。「お風呂上がりのビール!」…と行きたいところですが、この場所で人気なのが、カラフルな「アイスキャンデー」です。

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ソーダ味やグレープ、あずき、ずんだなど、味は全部で10種類。昭和レトロな見た目が人気を集めて、県内だけでなく全国の観光地などでも売られています。

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作っているのは白石市内の創業70年余りの老舗の餅屋。日下清さんとるみ子さん夫妻が営んでいます。

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店内には〝アイスキャンデー〟と書かれた赤い旗。色あせた布や字体から昭和レトロな雰囲気が伺えます。

日下清さん
昭和25年の創業のときに両親が作った旗。
自転車の後ろに刺して〝ちりんちりん〟と鐘を鳴らして町中販売して歩いていた。
当時は5円で売っていた。

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今もこだわっているのは昔ながらの手作りです。この日はずんだ味のアイスキャンデーのもとを型に入れ30分ほど冷やします。

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その後、抜き取るのも手作業です。るみ子さんは手早くとアイスキャンデーを型から抜いていきます。

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この作業、私も体験させてもらえることに。るみ子さんの様子を見て簡単にできるかと思ったのですが…。手早く行わないと、型にアイスがどんどん吸い付いてしまい、力いっぱいに頑張っても抜くことができませんでした。(翌日、手首が筋肉痛になるほどでした)。
るみ子さんが夏の時期に作るのは1日におよそ600本です。機械を使った生産に比べれば少ないですが、手作りだからこその魅力があると、とにかく手作りにこだわっています。

日下るみ子さん
手作業で行った方がお客さんがおいしいと言ってくれる。量は作らなくとも、手作りでおいしいものを作って喜んでいただいた方がいいと感じている

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それを強く感じたのは3年前。店が火災で全焼し、何もかもがなくなってしまいました。
これからどうしていいのか途方に暮れていた時、「手作りアイスキャンデーの再開を待っています。」など、全国から届いた手紙や多くの電話でのメッセージに背中を押されたといいます。

日下るみ子さん
「励ましの言葉や、一つのちっちゃい言葉が原動力になって今動いている」
日下清さん
 アイスキャンデーを待っているお客さんがいるのかなと思ったときに、やはり作り続けていかないといけないなと。その思いだけです」

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日下さんの店では主要なおもちもすべて手作りで、アイスキャンデーも機械などの導入はこれまで一度も考えたことはなく、手作りにこだわり続けています。多くの場面で効率化が進む今の時代、手間暇がかかっているアイスキャンデーから、温かい気持ちをもらった取材になりました。

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次にやってきたのは石巻市内の創業140年以上の菓子店です。アイスケースに入っていたのは…。海の「かき」に「ほや」、「ウニ」など今まで見たことのないアイスの数々。150種類もある名物の「変わり種アイス」です。

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勇気を振り絞り…!カップのふたを開けてみました。思わず驚きの「えっ!」という声と笑いが漏れました。「ウニ」アイスは酒蒸しした大きなウニがごろっと入っていますし、石巻名物、「石巻やきそば」アイスは海苔や目玉焼きまで再現されていました。

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そして恐る恐る、石巻焼きそばアイスをひと口…。
アイスの甘さと、ソースのしょっぱさが口の中で混ざりあいました。
そして、ゆっくりとかみしめていくと…。もちもちとした食感を感じました。なんと麺も入っていたのです。アイスひと口で石巻焼きそばがしっかりと再現されていました。

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変わり種アイスを30年ほど前から作ってきた店主の佐藤惠昭さんです。

佐藤惠昭さん
「えーっ!」とびっくりしてそのあと食べておいしいなという評価も結構来ます。

小さく手軽なカップアイスで多くの人に石巻をPRしたいと試行錯誤を重ねた結果、今では全国から「この食材でアイスをつくれないか」という依頼が絶えないそうです。

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日々新しい味に挑んでいる佐藤さん。新商品は、オリーブの葉の粉末を使ったアイスです。津波で被災した土地で復興のシンボルとして育てられている石巻のオリーブから着想を得ました。今は、石巻の生産者から紹介された県外で無農薬で育てられているオリーブを使っているそうですが、アイスを試食してもらったりと生産者と交流を重ねながら、いずれは石巻のオリーブを使って作れるようになりたいと話していました。

佐藤惠昭さん
食べて「うまい!」と言ってくれる、その笑顔が見たくて、少しでも石巻が宣伝になればいいかなという思いで作り続けたい。

これからどんなアイスが開発されるのか、地元石巻出身者としても目が離せません。
今回取材した2つのアイスにはどちらにも作り手の熱い熱いこだわりが込められていました。

【取材:佐々木 成美キャスター】



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